第39回:Street Fighting GIG ― 高校生パンクスの無敵な夜 | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

1980年代の千葉には、妙な自信と勢いだけで何でもできると信じていた高校生パンクスたちがいた。
ルールなんて知らないし、知ってても守る気なんてさらさらない。
そんな俺たちが、ついに“千葉中のパンクバンドを集めたGIG”を企んだ――。

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パンク軍団の中心的存在だったナカムラ君が、ある日突然こう言い出した。
「千葉中の高校生パンクバンドを集めてGIGをやりたい。お前らも協力してくれ」
その一言で、エーイチ、タケシ、サトウ君、そして俺に声がかかった。

まずは会場探し。
こういう時は、マザースでバイトしているオガワ君に相談するのが筋だ。
オガワ君いわく、

「マザースを借りることは可能だけど金がかかる」
「だったら、オーナーが経営してるスタジオでやればいいんじゃないか」
とのこと。
スタジオだって金かかるだろと思ったら、
「営業時間後なら自由に使っていいぞって言われてるんだ」
と、さらっと言う。
(オガワ君のバンドがいつも練習で使ってたらしい)
そこで俺たちは勝手に超拡大解釈した。
“自由に使っていい=客を入れてGIG開いてもいい”
……バカなガキどもだったんだな、ほんとに。

 

画像は当時のもの(GIGの様子)

 

GIGには名前をつけるのが慣習。
誰が決めたのか忘れたけど、「Street Fighting GIG」 に決定。
エーイチがチラシを作り、俺たちは千葉の街をフラフラしてる連中に声をかけまくった。
すると反応が異常に良い。
「出たい!」が10組くらい
「観に行くよ!」が大量
「 100人は集まりそうな勢い
そうなると、悪巧みを始める奴が出てくる。
「金とろうぜ、儲けは山分けだ」
「普通のライブなら2000円ぐらいだから1000円なら出すだろ」
「まさか会場がタダだとは誰も思わねーよ」
……という流れで、入場料1000円に決定。

 当日、夜11時。スタジオに馬鹿野郎どもが集合し始めた。
金を取る以上、1ドリンクくらいは出さなきゃならない。
そこは俺の担当で、バイト先から紙コップと濃縮ジュースの素を“失敬”してきた。
結局、客は50人くらいだったかな。

 

画像は当時のもの(盛り上がらないお客さん)

 

そして オールナイトGIG、開幕したのだが、
内容は……まあ、所詮高校生の素人ばっか。
へたくそで、イマイチ盛り上がらない。
でも、あの頃の俺たちはガキだったからね。
そんなお粗末なGIGでも、楽しくてしょうがなかった。
無事終了。
経費ゼロってわけでもなかったので、分け前は一人2000〜3000円くらい。

数日後、マザースに顔を出すと、オガワ君が冴えない表情。
そりゃそうだ。
あんな大胆なこと、オーナーにバレないわけがない。
案の定、こっぴどく叱られたらしい。
……チャンチャン♪

 

画像は当時のもの(カウンタに座ってるのが俺、中で向こう向いてるのがオガワ君)