第38回:千葉ベイビー、俺たちの1983、清志郎最高! | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

1983年の夏。
千葉の街には、ロックがすべてを変えてしまうような熱が漂っていた。
あの頃の俺たちは、ただ音に呼ばれるように、千葉文化会館へ向かって歩いていた。
パンクスの誇りと、清志郎への愛を胸に。

 

何だかんだと言いながら、RCサクセションは好きだ。

いや、忌野清志郎が大好きだ。呼び捨てになんてできるわけがない。

俺たちは当時、彼のことを“清志郎先生”と呼んでいた。


パンク軍団の中にも、元々はRCサクセションが好きだった奴は多いはずだ。

だけどパンクスには妙なプライドがあって、「RCサクセション好き」を公言する奴は滅多にいない。

俺もエーイチも例外じゃない。
それでも根っこでは好きなんだ。大好きなんだ。
そんなRCサクセションが千葉に来るとなれば、行きたくなるに決まってる。

ちょっぴり恥ずかしかったけど、その衝動は抑えきれなかった。
SUMMER TOUR ’83 in 千葉文化会館。
ついに大好きな清志郎先生に会える。

 

■ 千葉文化会館へ向かうパンクス二人


エーイチと二人で千葉駅から歩いて文化会館へ向かう。
ぞくぞくと会場を目指すRCファンたちを、俺たちは蹴散らし、威嚇しながら歩いた。
バリバリのパンクファッション。
手錠で手首をつなぎ、首にはジャラジャラと鎖を巻きつける。
手に持った鎖をぶん回し、ガチャガチャと地面を叩きながら歩く。
つばを吐き、タバコをふかし、道ゆくRCファンはみんな避けていく。
……快感だった。


会場の周りをうろついていると、雑誌社の奴が声をかけてきた。
テキトウなことを喋って、写真も撮らせてやった。
後日、その写真がロッキング・オンに載っていた。
「奇抜なファッションのRCファン」みたいな扱いで。
わはは。
明らかに正統派RCファンとは違ういで立ちなのに。
髪の毛ツンツンなところだけは似てるからいいのか。
わはは。

 

■ 清志郎先生、千葉ベイビー!


そしていよいよライブが始まる。
ステージライトをギンギンに浴びて、清志郎が叫ぶ。


「千葉ベイビー! 千葉ベイビー!」


俺たちも負けじと叫ぶ。


「イエーイ! 清志郎最高!」

 


周りとは明らかに違う異質な二人は、異常なハイテンションでノリノリ。
エーイチなんて調子に乗りすぎて、前にいる奴の頭を小突いたり、首を絞めたり、抱きついたり、やりたい放題。
ビビって逃げそうになったそいつを捕まえて、
「清志郎最高だぜ、なっ」
とか言って握手して離さない。
……可哀想になぁ。

 

■ 最高の夜
そうやって大興奮のライブは幕を閉じた。
あ〜楽しかった。