②「聖杯 〜Holy Grail〜 」と呼ばれる双眼鏡 SARD 6×42 Mark43 後編 | BLRM ブラッキー リッチモア ~ Be Lucky Rich More!! のブログ

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  スマートフォン版だと、非常に読み辛いかと思います。

 

 

さて、前回の続編である。

 

 

今回は少し趣向を変えて、まずは

 

SARD 6×42 Mark43 の完全分解された姿から、

 

ご披露させて頂こうと思う。

 

 

これが、SARD 6×42 Mark43 の全パーツである。

 

こうして見ると、パーツ点数が、やはりそれなりに多い。

 

ちなみに画像は、オーバーホール後のものである。

 

 

 

 

 

 

 

さて、実は本機は当初、鏡体を動かすと、

 

何やら内部でカラカラと音がするのが、非常に気になった。

 

 

この音の正体は一体何なのか・・・??

 

 

それは、この後に判明するのであるが、

 

ある意味、驚愕の事実であった。

 

 

 

では、まずは対物部の当初の状態を見てみよう。

 

 

英国の有名な老舗の某 双眼鏡修理専門会社によって、

 

オーバーホールを受けたとの事であったが、

 

見る限りでは、対物部に関しては手付かずのままで、

 

まったく触られていないように思われた。

 

 

尚、SARD Mark43 は、レンズコーティングがされていて、

 

ご覧の通り、美しい紫色のコーティングである。

 

 

 

 

 

 

 

また、珍しく対物レンズの固定ネジはオリジナルのままであった。

 

中古双眼鏡の殆どが、このネジが欠損している場合が多いので、

 

本機は、かなり大切に扱われて来た様子が伺える。

 

 

もしくは、過去に分解歴が非常に少なかったのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対物部を完全に分解し、オーバーホールを行う。

 

 

当初、光軸調整を行う、偏心リングは固着していたので、

 

やはり、対物部は手を加えられていなかったのだろう。

 

 

と同時に、偏心リングが固着している、と言う事は、

 

光軸の再調整も行われていないと言う事になる。

 

確かに、許容範囲内には収まっていたので、

 

特に、それ以上の再調整は行わなかったものと推察される。

 

 

 

 

 

 

 

 

対物レンズには、コバ塗りを再施行させて頂いた。

 

一見、コバ塗りが剥がれ落ちたようにも見えたが、

 

もしかすると、元々コバ塗りはされていなかった可能性もある。

 

 

いずれにせよ、しないよりは、した方が良いので、

 

これを機に、迷わず施行させて頂いた次第である。

 

 

 

 

 

 

 

接眼側のプリズムカバーを外すと、プリズムカバーの裏に、

 

プリズムユニットが、ガッチリと固定されている構造となっていた。

 

 

また、対物側のプリズムには、遮光カバーが装着されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プリズムからプリズムユニットを外し、更に、接眼部を外す。

 

ちなみに、この接眼部を外すには、特殊な専用工具が必要で、

 

ホームセンターで揃うような一般的な工具では、手の施しようが無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プリズムカバー裏に、シーリング処理を施しておいた。

 

 

 

 

 

 

 

取り外したプリズムユニット。

 

 

残念ながら、左右のプリズムにはそれぞれ、

 

プリズムチップが確認されたが、

 

幸いにも、視界には影響は無いようだ。

 

 

日本人の多くは、世界でも有数の潔癖症的な傾向があるので、

 

こう言った難を許さないような方も多いように思われるが、

 

やはり、軍用機の場合は、デッドストックでも無い限り、

 

何かしらの痛みがある場合も多く、

 

ましてや本機のように、玉数も少ないレア機の場合は、

 

ある程度の痛みは覚悟の上で、入手する必要があるだろう。

 

それでも、本機の中古市場相場は、20万円を超えたりする。

 

 

もっとも、ヴィンテージ双眼鏡の場合は、

 

見え味に大きな影響が無ければ、それで良し、

 

とするくらいの、大らかさが必要なのかも知れない。

 

 

なので、細かい事が気になる神経質な方や、潔癖症気味の方は、

 

そもそも、ヴィンテージ双眼鏡は向いていないと思う。

 

現行品を新品で購入するのが吉だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てのパーツを取り外した後の、鏡体内部の様子。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ここに来て、内部でカラカラと異音がする原因が判明した。

 

何と驚いた事に、プリズムを固定するネジの1本が抜け落ち、

 

鏡体内部に落ちていたのである。

 

 

それが異音の正体だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

内部に落ちていたネジ。

 

こいつが、異音の正体であった。

 

 

英国の修理会社で、オーバーホールを行なわれた際、

 

何故、これが見過ごされてしまったのか!?

 

非常に不思議であり、不可解であった。

 

 

 

 

 

プリズムユニットは、なかなかに重く、

 

片方で、263gもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

プリズムユニットからプリズムを取り外し、

 

1つづつ、慎重にクリーニングを行う。

 

 

プリズムは比較的、綺麗な状態を保っていたので、

 

画像では分かりにくいかも知れないが、

 

黄ばみが取れて、より一層、透明度が増しているのが

 

お分かり頂けるだろうか?

 

 

 

 

 

 

プリズムユニットにプリズムを取り付け、

 

更に、プリズムカバー裏に取り付ける。

 

 

プリズムカバー裏には、前もって

 

シーリング処理を施している。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、次は接眼部である。

 

 

 

 

 

 

 

 

グリスの質に、少々疑問があった事と、

 

ピントリングの動きがかなり重く、

 

個人的には、納得の行くものではなかったので、

 

完全に分解し、徹底クリーニングを行なって、

 

オーバーホールを行なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各パーツが新品のように、ピカピカに蘇った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、最後に接眼レンズである。

 

完全に分解してみると、定石通り、

 

レンズのコバ塗りが殆ど剥がれ落ちていた。

 

 

コバ塗りは、第一群レンズと、

 

第三群レンズに施行されていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィンテージ双眼鏡の鬼門とも言えるのが、

 

この接眼レンズのコバ塗りの剥がれである。

 

 

 

 

 

 

 

 

本機は、稀に見る 「超広角双眼鏡」であるが、

 

やはりと言うべきか、接眼レンズには、

 

非球面レンズが採用されているようであった。

 

 

第一群レンズも、非球面レンズっぽく見えなくも無いが、

 

恐らくは、第三群が非球面レンズとなっているように思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

接眼レンズ、接眼部、全てのオーバーホールを終え、

 

プリズムカバーにセッティングする。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、上陣笠、下陣笠、双方の止めネジが欠損していたので、

 

在庫部品より補填しておいた。

 

機種に関わらず、ヴィンテージ双眼鏡の場合、

 

このネジが欠損している中古個体が本当に多い。

 

 

 

 

 

 

 

完全オーバーホールを終えた SARD 6×42 Mark43 。

 

外観は少々くたびれているが、内部はピカピカである。

 

ピントリングの操作も、非常に快適なものとなった。

 

 

また、可能な限り厳密な範囲に、

 

コリメーション( 光軸) を追い込ませて頂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一通り作業を終えてみて、結局、英国の修理会社では、

 

一体何処を、どのようにメンテナンスを行なったのか!?

 

正直、私にはよく分からなかったのが、非常に残念であった。

 

 

もしかすると、極一部の箇所のみの修理だったのかも知れない。

 

少なくとも、光学系のオーバーホールは行われていないと思えたし、

 

接眼部も対物部も手を加えられた様子は見当たらなかった。

 

 

鏡体内部に転げ落ちていたネジも、あまりにも不可解であった。

 

世界的に有名な、歴史ある老舗の双眼鏡修理会社が、

 

はたして、このようなミスを犯すのだろうか・・・!?

 

そんな事はあり得ないように思うのだが、

 

何度考えても、不可思議で仕方ない。

 

 

私が手を加える必要が無いくらいの完璧な状態を、

 

内心、半ば期待していたのだが・・・

 

 

 

さて、全ての作業を終えた後、景色を覗いて確認してみたのだが、

 

やはり、本機は本機でしか味わえない独自の世界観がある。

 

世界のマニアが「聖杯」と崇めるのも、分かるような気がする。

 

 

実は、SARD 6×42 Mark43 は、私も2台所有しているが、

 

本機でしか見る事の出来ない、FOV= 207m/1000m ( 11.6°) の、

 

超広角視界は、正に圧巻なのである。

 

また、非球面レンズを採用しているからか、

 

像の周辺部まで、比較的歪みが少ない。

 

 

対象物を必要以上にクローズアップし過ぎない、

 

6倍と言う、程良い絶妙な倍率が景色観望には最適で、

 

景色を非常に美しく見せてくれるのである。

 

 

これで景色を観望していると、

 

通常の6×30 には、もう戻れないような、、、

 

そんな圧倒的な説得力と迫力がある。

 

加えて、広大な視界が極めて開放的な気分にさせてくれる。

 

 

やはり、海軍双眼鏡、空軍双眼鏡は、

 

双眼鏡としては、最高性能と言われるのも納得である。

 

国防がかかっている訳なので、当然と言えば当然だろう。

 

 

 

ともあれ、拙宅を信じて託してくれたオーナー様には、

 

この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

 

本当にありがとうございました。

 

 

 

最後に、本日は「昭和の日」と言う事で、

 

昭和感満載!?の、私のコレクションケースの中の、

 

昭和コーナーの一部を、特別に披露させて頂こう。

 

是非、「昭和」を感じていただければ幸いである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 お陰様で、6年目 〜

 皆様方には、心より感謝申し上げます。

 

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