このSSは 『最悪』 です。
不謹慎で、思慮が浅く、読めば多くの方が気分を害する可能性が高いです。
これは報道にも、作品にも、事件にも悪意を向けるものではありません。
また、特定の行動を推奨するものではありません。
それら三つの出来事が、 『過去の事実』 であり、それぞれ善も悪もない要素として扱っています。
この物語は、ムoooooブ!という題名です。
この物語は、山村での連続怪死事件がテーマで、主人公の少女は親の離婚騒動がトラウマになり、斧を使って敵を殺していくというストーリーです。
上記に納得した方以外は読むことを止めるようお勧めします。
また、以上を精読した上においても、なお不謹慎で、思慮深さに欠け、何より下品です。
あなたは18才以上でしょうか?
自分の行動に責任がもてるでしょうか?
日常にあたり障りなく行動できますでしょうか?
つまり、ふゆのん本人は読む対象としては懸念されるということです。
それでは、どうぞ。 不快になれます。
「…ねえ、これ。 夏一郎おじさんの靴じゃないの?」
こいつが、ジヨウ…。
樹理李沙おばさんの連れ子。
くそっ! 意地でも玄関に入れるんじゃなかった!
「あらそうね、夏一郎さんの靴だわ…。 乃菜芽ちゃん? 家にはいないのよね?」
「はい。 ……多分、樹理李沙おばさんが来ると思っておめかしのつもりで新しい靴でも買ったんじゃないでしょうか」
「…そして、買った靴ではしゃいでどこかへ行ってしまい、自分から誘ったお食事に遅れている、…と?」
くっ…、言い訳が苦しい。 もうシラをきるしかない。
「私も……よくわかりません。 靴を買ったかも知りませんし…」
「……はぁ。 でもあの人ならありえるかもしれないわ。
それにしてもどこ行ったのかしら。 さっきからケータイに掛けても出ないし……」
ケータイ!? マズい! 今掛けられたら…。
ピッ トゥルルルルル トゥルルルルル… チャーチャララーチャーチャララー♪
「あら? ……家の中から聴こえるわね…、乃菜芽ちゃん」
「き、きっとはしゃいでて、ケータイを家に忘れてったんだと思います!」
「…そうじゃないわ。 さっきから私ケータイに電話掛けてたって言ったわよね?
どうして家の中にいた乃菜芽ちゃんは気付かなかったのかしら?」
……それは。 くそっ、くそっ!!
気付かなかった! そんな音! それどころじゃなかった!!
……どうする。 今は1対2。 相手の内、一人は私より幼い。
でも逃げられたら終わりだ。 相手はケータイも持ってて、私は素手…それどころか裸だ。
やることは…まずは逃げられないように家に閉じ込めなくては。
「あの…」
「な~んてね。 親子でもケータイは勝手に見ちゃダメよねぇ。
私もそう思うわ。 隠し事はいけないなんて言う人もいるけど、じゃあ覗きがいいのかって事で理屈として通らないわよねぇ」
……は?
……そうか。 鳴ってたけどとらない、それで自然じゃないか。
この女、おちょくってんのか? それとも何かに勘付いて探り?
ふぅ、落ち着け、落ち着け私。 握って、開いて、声を出せ。
「はい。 すみません。
それと、そちらの子がジヨウ…さん? いきなりこんな姿で申し訳ないですが、はじめまして。
私が 『紀伊遠』 乃菜芽です。」
樹理李沙おばさんに促されて時陽も挨拶した。
コイツもこのいけ好かない血を引いてるんだろうな。
同類と思われたくないから、わざと苗字を強調して言ってやった。
まだ姓は違う。 もう一生違う。
「それでは…そろそろ。 父が帰ってきたら電話させますので」
他人はとっとと帰れ。 今は自己紹介なんてしてる場合じゃない。
「あの、……乃菜芽、お姉ちゃん…。 …トイレしたい」
「ト、トイレ!?」
「あら、しょうがないわねぇ…。 ごめんなさい、乃菜芽ちゃん。
これ済まさせたらすぐ帰るから、ちょっとトイレ貸してくれるかしら」
…断ったら、流石に怪しまれるかもしれない。 これ以上怪しまれたくはない。
トイレは居間と逆方向。 早く済ませて帰ってくれ。
トイレはそこ。 教えてやると、時陽はおじゃまします、と玄関に上がってちゃんとトイレに向かった。
トイレに痕跡は…ない。 居間に行くドアには私が立ち塞がっている。
樹理李沙おばさんは玄関から無理に上がってこようとはしない。 私に嫌われてるのを少しは理解しているようだ。
…これで大丈夫。 今度こそ、もう問題ない。
ジリリリリリ! ジリリリリリ!
「なっ!」
「あら、家に電話? 夏一郎さんかしら? 私は上がらないから、電話、出てきていいわよ?」
くっそお! なんてついてない!!
家電!? 誰が!! こんな時に。
出ないと…ダメだ。 父さんの可能性があると、樹理李沙おばさんは今のところ考えている。
…大丈夫。 電話は居間にあるだけ。
おばさんは入ってこない。 時陽はトイレ。 ……こっちにはこない。
手早く用件だけ聞いて…切ろう。
ちょっと失礼します、と走って居間へ戻る。
……足元は見ない。
「はい、もしもし?」
ツー… ツー…
いたずら電話!!? この忙しい時に!! コイツ殺してやる!
振り返ると
時陽が居間に入ってきていた
目は平然としていて
手には携帯電話……、ケータイ!? 今の電話コイツがっ…!?
「落ち着いて、…乃菜芽お姉ちゃん。 落ち着いて、黙ってて。
知ってたよ。
扉越しに二人が話してた時、家の外を走り回ってたら外から見えるようにカーテン開いてたし…。
でも僕はチクったりしないよ。 ふふ、少し安心した?」
このガキっ! この場でもう一人…。
斧は…。 いや、絞め殺した方がいい。 叫ばれないよう。 すぐに、静かに。
「怖い目しないでよ、お姉ちゃん。 ん? ああ。
なるほどコイツでね。 あ、服もそこにあるんだ。 じゃあ僕達来た時に本当に時間がなかったんだね。
…いやだなぁ、近付かないでよ。 ……母さ~~~ん!!!
ふふ、これで僕も安心」
玄関から返事が聞こえる。 どうする…。 あいつまで来たらもうどうしようもない!
「だから、落ち着いてって。 チクったりしないってんだから」
これから、仲良くしようよ、お姉ちゃん。
そういい残して、時陽は踵を返した。
家で迷ったから呼んでみただの、夏一郎さんが帰ってくるかもと思って外に出ていただのと話していたが、音が言葉に聞こえなかった。
二人は私に軽く挨拶して帰っていった。
「いいじゃん? 母さんと夏一郎オジサンだってしてるんだし」
――帰り際、時陽に私はアドレス交換、させられた。