『Dr.パルナサスの鏡』を観てきました。


監督:テリー・ギリアム

出演:ヒース・レジャー、クリストファー・プラマー、リリー・コール、トム・ウェイツ

ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル

公式サイト:http://www.parnassus.jp/index.html


■お話■

Dr.パルナサスの旅一座は「イマジナリウム」の興行を続けているが、ショーに注意を払う者もない。

酒びたりのDr.パルナサスは、興行の不入りよりも大きな悩みがあった。

彼は過去に悪魔とある契約を結んでおり、その期日が迫っていたのだ。

その日が来れば、娘のヴァレンティナは悪魔に連れ去られてしまう。

だが、悪魔は新たな賭けをDr.パルナサスに持ちかけてくる。

先に「信者」を5人得た者を勝ちとし、Dr.パルナサスが勝てば娘は連れて行かない、というものだ。

Dr.パルナサスは、死にかけているところを偶然助けた記憶喪失の青年トニーのアイディアを得て、なんとか賭けに勝とうとするのだが……。



というわけなのですが、その「イマジナリウム」への扉(鏡)の向こうには、入り込んだ者の願望が映し出されたフシギな世界が広がっているのです。


その世界の面白いこと。


鏡の世界はCGなのですが、ザッツコンピューターグラフィックー!という感じではなく、絵本みたいなタッチで、あたたかみがある、と言ってもいいかも。

書割みたいな、でもそれは下手とか技術が低いとかいうことではなく、紙芝居(紙人形劇みたいの。最後のあたりにちょっと出てくるあれ)みたいで、気に入りました。

もちろん、そこに描かれている物、イメージもとてもステキでした。


テリー・ギリアムの『バロン』はテレビで見て、そのときはなんかよくわからなくていい加減にしか見ていなかったのですが、それを見たときの印象とどこか共通しているものがありました。

ちゃんと見ておけばよかったなぁ。


で、役者さんたち。


ヒース・レジャーが撮影途中で亡くなってしまったので、彼の友人であるジョニーとジュード・ロウとコリン・ファレルが引き継いだのは大きなニュースになりましたね。

ヒースが現実世界のトニーを演じ、鏡をくぐった先では(入るたびに)姿が変わるという設定にして、鏡の向こうの世界のトニーを3人が演じています。

違和感はそれほどなかった。カメオじゃなかった。すごいなと思いました。

でも、ヒースがいなくなるたびに、「あー、もうヒースはいないんだ」とちょっと淋しい気分になったかも。

それに、ヒースは今から演技力を見せるぞーってところで舞台を降りてしまった感じで、「とても印象的!」とは残念ながら私は思わなかった。


ま、やっぱりジョニーがいちばん男前だったかな(笑)

ジョニーは時間がなく、1日だか2日だか、とにかくすごい短い時間で撮り終えたそうなのですが……嘘みたいな話です。


Dr.パルナサス役のクリストファー・プラマーはすばらしかったし(実質物語の主役だし)、リリー・コールも本当に可愛らしくてステキでしたが、いちばん印象的だったのは、悪魔役のトム・ウェイツです。

嫌な奴なんですがなんかちょっといい奴でもあり、「いつ出てくるのかな」とちょっと楽しみになるようなかんじ。


だんだんトニーの本性が明らかになってくるところも怖いながらおもしろかったし、いろんなところにチクリと刺すユーモアがちりばめられていて(私は警官が踊るところが笑えて仕方なかった)、でも最後はじんわりさせてくれて、とても楽しめました。


想像力のすばらしさを説くDr.パルナサスの興行が成功しなくなり、すっかり落ちぶれてしまっている姿にはもの悲しさがありました。

現代ってそういう時代なんでしょうかね。


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美術と衣装でアカデミー賞にノミネートされているそうです。


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音楽もとてもよかったですよ。
ふゆきの「ひきずり女…?『蘇りの血』」のまねしてかいてみるね

そして、直前に見たがいいのが、意味わかんない私でも「へぇって思いました。…と思ったら、ブランキー・ジェット・シティーの人だったのか…。まあでもなんか、普通の会話というか、芝居をしているように見えず(=リアルという意味ではなく)、いまいち入り込めませんでした。引っ張りすぎだし叩きすぎだし、「がきあみ」の理由、かリーフレットなどちょっと読んで、『蘇りの具合が『カティンのドラマーっぷりはよく知らなかったものだそうですが気もしないしない私にとっては、一度殺されたほうがいいの伝説を演じる中村達也、私でも「へぇって思いました。…と思ったら、ブランキー・ジェット・シティーの人だったのか…。まあでもなんか、普通の会話というか、芝居をしているように見えず(=リアルという意味ではなく)、いまいち入り込めませんでした。引っ張りすぎだし叩きすぎだし、「がきあみ」の血』だったが気もないと思いますがよく知らなかったけれど、ひとつひとつ長い?
まあ、渋川清彦公式サイト:中村達也のドラマーっぷりは楽しみどころのは何もないで、草刈麻有、一度殺されて戻って戻っている/なんかよくなった人らしい。

*このエントリは、ブログペットの「やしち」が書きました。

そして、『蘇りの血』です。


監督:豊田利晃

出演:中村達也、草刈麻有、渋川清彦

公式サイト:http://yomigaeri-movie.com/


なんかよくわかんなかった。


小栗判官の伝説をベースにしたものだそうです。

そもそも小栗判官の話をあんまりよく知らなかったのですが、一度殺されたけれど蘇った人らしい。

別にその知識は必須ではないと思いますが、ストーリーが気になる傾向にある方は、ウェブかリーフレットなどちょっと読んでおいたほうがいいのかも。


音楽は確かにかっこいい気もしないでもないし、オグリを演じる中村達也のドラマーっぷりは何も知らない私でも「へぇ~」って思いました。


…と思ったら、ブランキー・ジェット・シティーの人だったのか…。


まあでもなんか、普通の会話というか、芝居をしているように見えず(=リアル という意味ではなく)、いまいち入り込めませんでした。


引っ張りすぎだし叩きすぎだし、「がきあみ」の意味わかんないし。

なんでどんどんオグリの具合がよくなったのかもよくわからん。


死の世界へ行って戻ってきたのはわかりましたが、なぜ戻ってこられたかの理由、意味、というのはよくわからなかった。


映像的には面白いところもあったけれど、ひとつひとつ長い。

飽きた。


というわけで、私にとっては楽しみどころの少ない映画でした。

まあ、直前に見たのが『カティンの森』だったので、実際以上につまんなく思ったのかもしれませんが。


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さて、続いて『カティンの森』の感想を。


監督:アンジェイ・ワイダ

出演:マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ

公式サイト:http://katyn-movie.com/pc/


■お話■

1939年、ポーランド。ドイツの侵攻から逃れるため、アンナは娘のニカを連れて東へ向かっていた。だが、東からは、ソ連軍に追われた人々が逃れてこようとしていた。

アンナは夫のアンジェイ大尉と再会を果たすが、アンジェイたちポーランド軍将校はソ連軍の捕虜となっていた。

収容所へと移送されていくアンジェイをなすすべもなく見送ったアンナとニカは、彼の帰りを待ち続けることになる。


1943年、カティンでポーランド人将校の遺体が多数見つかったことがドイツ軍から発表される。

犠牲者のリストにアンジェイの名はなく、安堵するアンナだったが……。


この映画は、「カティン事件」という実際にあった事件をもとにして作られた映画です。

ソ連軍は、4000人を超えるポーランド将校たちをカティンに連行して虐殺しましたが、1989年にエリツィン大統領が認めるまで、ドイツ軍が行ったことだと主張し続けてきました。

戦後のポーランドは実質ソ連の影響下にあったので、「カティンの森事件」について真相を知っている者も、声高に告発することは許されなかった。

このへんぐらいまでは、映画をみる前に頭に入れておくといいかも。

本当はもっともっと知っておくといいのでしょうが、映画が教えてくれると思います。


強国にはさまれた国がどういうものか、島国の日本ではなかなか想像しがたいものですが、最初の、橋の上で東と西から逃げてくる人々がすれ違うシーンで、その絶望的な状況が一発でつかめます。


映画は、アンナだけではなく、アンジェイの母、大将夫人とその娘、将校の兄を持つ女性、いくつかの物語が交差しながら進んでいきますが、全員がお互いになんらかの関係を持っていることもあり、突然わけがわからなくなった、ということもありませんでした。


戦争を背景に家族や恋愛やなんやらを描いたもの、というよりは戦争の中で翻弄され続ける人間たちを通して戦争を戦争として描いた、悲しいけれど感動的な映画でした。

余計な感情の吐露のシーンとか、わかりやすいけれどともすれば白けがちになるような表現はなく、そういう意味では淡々としていると思いますが、映画全体を、哀しみと憤りとがずうっと流れているように思いました。

映画をみてこんなふうに感じたのは初めてでした。


虐殺のシーンもあります。

ソ連の兵士が、一連の動作を機械的に繰り返して、後ろからピストルで撃って死体が穴に落っこちる。

その繰り返し。

そして、ブルドーザーで土がならされ、何にもなかったみたいに埋められてしまう。


こわいし、悲しかった。

殺されていく将校たちの恐怖と無念ももちろんそうだけれど、殺していく人間にしても、人間ってこんなこともできてしまうのか、と思うと本当につらかったです。

人類全体について、悲しいと思わされた。


そして、エンドクレジットは無音。


監督自身が戦争を知っていて、実際にお父さんをこの事件で亡くされているそうです。

戦争の空気、経験した者にしかわからない感情、こういうものを戦争を知らない若い監督が撮るのは難しいと思う。

でも、だからこそワイダ監督は、それを若い世代に伝えようとしている。

記録としても貴重な映画なのではないでしょうか。


ちなみにこれ、ロシアでは上映される予定がまだないそうです。


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