コミック事業好調な幻冬舎のコミック戦略
>幻冬舎といえば、文芸出版を中心としたどちらかといえば堅い書籍をメインとしているイメージがあるだろう。しかし、5月28日に発表された幻冬舎の決算発表は意外に好調なこの会社のコミック部門の存在をアピールしている。2006年3月期の決算では、幻冬舎の全体売上げの118億8000万円のうち11%にあたる13億1000万円が子会社の幻冬舎コミックスを中心としたコミック部門からもたらされものであった。しかも、コミック事業の売上高は書籍事業の伸び3.9%増を上回る13.6%増であった。また、コミック事業部門の営業利益は2億4000万円の76.7%増であった。さらに、2006年3月期のコミック事業の売上高は23%増、経常利益は46%増を狙う。
>こうした、好調な事業の内容と今後のコミック事業の戦略が6月7日に発表された幻冬舎の決算説明会資料で説明されている。前期の好調なコミック事業は『Rozen Maiden』のアニメ化の効果による販売増に助けられている。さらに、ボーイズラブ系のコミックも好調であった。
この出版(漫画)冬の時代において業績を伸ばす鍵はメディアミックスの活用でしかありえないとは度々記してきましたが、まさに実証例としかいいようがない。ただこの急伸とでもいうべき数字は過大視できる類のものではないことも確かです。後進の強みというか売り上げ高が0からの積み上げなのでほんのひとつささやかに当てただけでも一気に前年度比として跳ね上がるのは道理です。売り上げが大きくなるごとにまず至上命題として前年度売り上げを確保し、さらに伸ばすことが必要になり分母が大きくなればそれだけ数字は動きにくくなります。ただそれでもメディア、宣伝の使い方を熟知しているであろう幻冬舎の戦いは楽しみです。
監禁事件で注目、「過激エロゲー」の実態
>昨年11月、奈良県で小学1年生の女児が誘拐、殺害された事件で、逮捕された被告の部屋からは、大量のポルノビデオやパソコンゲームが見つかった。先月初めに未成年の女性を部屋に監禁していた男が逮捕された事件でも、男の部屋から大量の児童ポルノゲームが発見された。
またこの種の議論ですか…もう科学的裏づけうんぬんは省略としてビデオ6千本(その実態は色物ではなくてほとんどが通常番組録画)をがなりたてた宮崎事件を思い出します。今のおじさんたちが若者時が少年による性犯罪、凶悪犯罪のピークだったのですがポルノゲームがそこまで普及していたとは寡聞にしてしりませんでした。
>神奈川県は先月末、残虐性や暴力性の高いソフトを有害図書に指定する方針を明らかにしたが、こうしたゲームはネット上で誰でも購入可能で、店舗での販売を禁じても有効な対策とはなり得ない。ビデオやDVDなどと同様、ゲーム業界も本格的な「R指定」をすることが急務だが、それが根本的な解決につながるかも定かではない。
神奈川県の妄動は何度もメモってきましたけれど、本人が記している通り「根本的解決につながるかも定かではない。」ことは完全に同意です。そしてそんな定かでないことのために精神的自由に関わる問題で規制をかけるのに賛成するなんてなんて立派なジャーナリストなんでしょ!
細りゆく業界
>3年前、中堅どころのエロゲーメーカーが普通に作って普通に広報展開したものはイニシャルだいたい5000本だった。2年前それが4000本に減った。今中堅メーカーといわれる星の数ほどあるメーカーの新作エロゲーは、イニシャル3000本いかない。ヘタをうつと1000本に満たない。同人ゲームの方がよっぽど儲かる。
(中略)
>3年前から比べると、同人と商業の境がほとんどなくなったというのが正直な感想だ。さらにエロゲー及びコンテンツ産業全体にいえることなのだが、作り手と受取手の境すら曖昧になってきたような気がする。ちょっと絵心があれば、ちょっと文章が書ければ、ちょっとスコアいじりができれば、ちょっとプログラムがかければ、誰でもクリエイターになれそうな気分が、業界全体にあふれかえっている。言い換えれば業界への入り口が狭き門ではなく、誰でもちょっとがんばれば入れそうに「見えて」いる気がするのだ。それはいいことなのか、悪いことなのか私にはわからない。
ゲームは既に内に内に閉鎖していく中での縮小均衡がいきつくところまでいきそうです。決して消滅はしないだろうけれどメインストリームに戻ることはないでしょう。ただ唯一の可能性は任天堂の無線とダブルパネル・ペンタッチを活用した経脈くらいかな?そしてそれがいいことなのか、悪いことなのかは分かりません。
もう世の中は自分自身のことも含めて(というかそれこそが最大の問題なんだけれど)本当にままならないことばかり、リアルライフにおいて直近外れが続いて厭世観がこの上ないところまできてます(まあこんな時間に投稿している時点で推して知るべしですにゃウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!)。
以下 漫画感想
【幸せを届けてくれた作品群】
「デーモン聖典」6巻 樹なつみ
以前「OZ」以来の傑作の予感と記したような気がしましたが、先生ご自身のコメントでも、終わりから逆算して書いているのは「OZ」以来との言があり裏付けられました。行き当たりばったりではなくて、最後を決めてそこから伏線や物語の起伏を綿密に計算していらっしゃることが窺えます。
「聖典」というものを理解したがゆえに一線を超えることの出来ない主人公と、「聖典」というものに近づきつつある獣の関係が緩やかに近づきつつあることも描かれていましたが、今回は「鎖」を利用して世界を支配するという分かりやすい狙いが明示されたこととその結末も話の軸としてありますが、その影でなぜ地球で「鎖」が見つかりやすいのか、マスターは誰なのか(赤龍とは限らない)という形で提示された大きな謎の方こそ今後に大きく影響を及ぼしそうです。
億年単位で語られる時間間隔には眩暈を覚えます。
「花の名前」斎藤けん
久方ぶりに、本当に久方ぶりに新人作家で読み終えた後、何かが胸を鷲掴みにしました。緑川ゆき先生の「赤く咲く声」を読んだときに近い感覚なのですが、画としての動を抑えながらも、心の動を激しく描いています。登場人物を勢いよく動かしたり、分かりやすく叫ばせたりなどしなくても淡々とした振る舞いでもって強い感情を伝えることは可能だと、いえそれだからこそ余計に読者の心をより直接揺さぶることができるのだろうと思います。
絵は洗練には程遠い泥臭い絵だと思うし、話自体も両親を失った少女と陰気な青年の交流の物語という単純な構成だけれども、神は細部にこそ宿るのです。花を介した一つ一つのシーンの積み重ねがたまらなく美しいです。
【購入に値した作品群】
「ハツカネズミの時間」1巻 冬目景
一番好きなのは「イエスタディをうたって」なんですけれど全然続刊がでないですね_| ̄|○
この作品は人体実験の材料として閉じられた世界と外の世界の対比、記憶という人の内部にあるようで外部からいくらでも弄ることができるものの対比でもって展開されていくようです。
「遥かなる時空の中で」10巻 水野十子
もうアニメの方では四方の札探しも含めて一応見終わってしまったのでなんだか変な気持ちです。ひとの気持ちは分からないことを悩みつつ、既に姫のために嘘を吐くという選択をしている玄武たちは可愛い。
巻末に埋め用かどうか知らないけれど変な4コマがついていて???
【暇潰しにはなった作品群】
「仮面のメイドガイ」1巻 赤衣丸歩郎
題名と濃ゆい絵柄に惹かれて手に取った一品。メイドを主人に仕えるか弱い存在という既存イメージを逆手にとって、虐待するごつい存在として暴れるギャグもの。それなりに面白いんだけれど話に膨らみよう(それなりの分かりやすい敵は用意されているけれど戦闘をメインにやられても、ギャグでいなされても引きそうだし)がないと、ギャップでもっての一発ネタという感じがするので続刊は…パス。
「純愛特攻隊長!」1巻 清野静流
きちんと戦う(魔法などで逃げず肉弾戦として)美少女が再びブームとなりつつあるように感じられる昨今、少女漫画としてどのように消化できるのかと題名とあらすじでもって手に取った一品。
普通の少女漫画でした、以上(「天使な小生意気」から戦いの描写を引いた感じで、純粋に喧嘩早いという設定だけでした)。
「まろまゆ」1巻 氷川へきる
「ぱにぽに」の同人作品。ネタも練りこまれていないのは題名かつテーマとしての故事成語がないことからも明らか(誇張)。困ったときにオタクネタに逃げるのはあまりギャグものとして美しくない。
【なぜ手に取ったのか理解できない作品群】
「すもももももも~地上最強のヨメ~」1巻 大高忍
本誌を一変した後のヤングガンガンの方向性を見るためにとりあえず手に取りました。微エロ+バイオレンスというまさに他の少年誌の移行作品を参考にしているのが非常に分かり安くてよかったです?
【惰性と言う慣性の法則が働いている作品群】
「いちご100%」16巻 河下水希
いい加減主人公に対する殺意がふつふつと湧いてきました。もう全員に振られるとか外村妹エンドでいいよ。画集としてももう充分満腹です、同じキャラばかりでいいかげん飽きました。