『飛鳥井全死は間違えない』 元長 柾木 (著)
良くも悪くも(どこが良いのかと問われたら困るけれども)今のファウスト系文学を愛好する最大公約数向けに、最小公倍数を抽出、継ぎ接ぎ、組み合わせ、ライトノベル風のイラストで包んで完成という感慨しか抱けなかった(セカイ系とは個人とセカイをダイレクトにつなぐがゆえに、その結末においては結局、空疎な内面を反映した閉塞感が最大の障壁という実にありふれた結末しか用意できない作品群を指すといっても過言ではないと思うので、このような作品自体がまさにプチ文壇の中での閉塞感を明示する作品は、純セカイ系文学を標榜する野心的作品ともいえる…といいかも)。
主人公は無差別殺人を繰り返すぼく、もちろんその殺人に理由はない。かといって快楽系ではなく、それが習慣、自然体だからといういわゆる逝っちゃった人間。その行為とはうらはらに平凡を望みセカイに対し恬淡と生きていると文中では説明している。そして彼を否応なしに事件(物語)にまきこむ電波系確信型最強ヒロイン。設定として無為に能力に恵まれた逝っちゃった人間がわらわら登場しては、思わせぶりなメタテキストやら文脈やらの哲学消費系言語を塗しつつ、単にどこにも行き着かないという閉塞感を示して終了というある意味脱力系(読者がね)の極地に読者を連れて行ってくれる。
あらゆるジャンルにおいて意図的に多様性を尊重せよと繰り返すのは、自分でも辟易しているので割愛。この作品を読み進める中で、ウザイほどにいちいち感じざるを得ない既視(読?)感、別にオリジナリティ、イノベーション、天啓たる閃きものを信じているわけではないですし、あらゆるもの(想像力含め)が過去の蓄積の延長線上に花開くことも重々承知しているわけですがものには限度というものがあると思います(とりわけゲームでの実績はともかく新人作家というチャレンジャーならばね)。
昨今のファウスト=セカイ系文学の源流ともいえる上遠野浩平先生(そして上遠野先生もJOJOの影響を公言して憚るところはないですが、その作品が漫画と小説というジャンルの垣根を越えて、リスペクトに留まらず+α=ジュブナイルといわれるような青臭さをあえて付け加えていることが燦然と輝きを放った理由です)のスレからいろいろと抜粋。
197 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/11(月) 18:45:15 ID:ePqBeejl
その前は漫画小説とかアニメ小説ゲーム小説とか、一番多かったのは『ファンタジー小説』(軽いSF含む)ってな呼び名かな ロードス島にスレイヤーズや天地無用やフォーチュンクエストとかオーフェンとかあの辺り
角川スニーカーと富士見ファンタジアが隆盛を誇ってたところに電撃文庫が作られて更にジャンル的に独立した、ファンタジーに限らない中高生やオタ向けの手軽な感じのアニメ系小説が出てきた記憶がある
確か電撃文庫ってまだ出来て10年ちょいだったはず、で小説募集しててブギーはその第4回大賞作品
198 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/11(月) 18:48:24 ID:/FaK43Du
そういえばキノの人も投稿の際、ブギーがキッカケになったみたいなこと言ってましたな
「ファウスト」の先の号で上遠野氏特集をやっていた際にインタヴュー記事として西尾維新先生がその多大な影響にあることを述べ(作品を読めば一目瞭然ですけれど)、はしゃいでいたことが記憶に新しい。その意味でまさに霧間誠一を体現されているわけです。セカイの敵を生み出すかはその波及を見届けないと答えはでませんが。
201 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/11(月) 20:03:20 ID:ePqBeejl
補足するとライトノベルって言葉が出てきた、少なくとも今程使われるようになったのはブギーが出たよりは後だったように思う(ブギーがきっかけだったとかそういう事の含みは抜きで) だからここ6、7年位か
学園モノや青春モノは>>194の言う通り確かにジュブナイルって言われてたな、今でもかティーンズなんて呼び名もあった気がした
212 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/11(月) 23:46:15 ID:Vy4V8jis
電撃が台頭して富士見ファンタジア政権が崩壊したきっかけだな。剣と魔法の世界にお腹いっぱいになってた読者がみんな能力系バトルに移動。現代学園ものが主流になり、以降、今のライトノベル情勢に至る。セカイ系がラノベで流行り始めたのも、このへんがきっかけだと思う。
235 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/12(火) 11:41:00 ID:BonV4SoG
ブギーが火付け役ではあったけど、その前から古橋、川上と異端な才能ばかり集まってたから、結局は似たような流れだったと思う。ただ、それを爆発的に加速させたのがブギーだった。
富士見は上遠野を落選させてるんだよね。当時は、ああいうのが売れるとは思われてなかった。だから、書き手も敬遠してたし、出版する側も及び腰になってた。それがヒットしたもんだから、みんなよってたかって、あの系のものがメインストリームに。富士見は、それまでの成功に縛られて、その流れに乗り遅れた。
236 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/12(火) 11:50:16 ID:o/Mj1T+F
>>235
えっ上遠野って富士見に落ちたの?
237 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/12(火) 12:18:41 ID:BonV4SoG
>>236
確か、最終選考までいったんだけど落選。で、電撃ゲーム大賞に応募して受賞。
新興レーベルの電撃だったから、上遠野をプッシュできたんだろう。富士見には、そこまで冒険することが出来なかった。というのが当時のラノベ事情。まだ、スレイヤーズからの流れがメインストリームだったから。
ただ、逃がした魚はあまりにも大きすぎた。
238 名前:237 投稿日:2005/07/12(火) 12:24:54 ID:BonV4SoG
ちなみに、昔の原稿をほんの一部だけ読んだことがある。ファンタジーっぽい世界だったけど、やってることは今と一緒。じゃねーわよ女が戦って、世界がどうのこうのとか言ってる。細かいとこまで覚えてないけど、力量自体はブギーの頃と大差なかったと思う。
だから、単純にあの系の雰囲気自体が当時はアウトだったんだろうなと推測。
ライトノベルにおいて電撃文庫が一人勝ちを収めたのは、後進の強みとしてその新しい血液を取り入れることができたからです。そして現在も意図的にさまざまな作風の作品を定期的に実験として流し続けています。ただあまりにも量が多すぎる気がするけれども。
884 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/05/26(木) 08:21:18 ID:edbDJH0+
ブギーのVSイマジネーター読んでて気になったんだけどブギーの世界を救う基準ってなんだろ?スプーキーEが細菌兵器使って町ごと全滅させようとした時結局止めたのは飛鳥仁だったし、一つの町が全滅ーくらいじゃ世界の危機とは言わない感じがする。小説版じゃないけどブギーポップデュアルでブギーポップが死んでも代わりがいそうだし、自分の身を守るーってのは世界の危機とはまた別物なのかな?結局何が言いたいかっていうと、「もしも」宮下藤花の乗ってる電車が脱線事故で宮下藤花自身のの命が危なくなった時もブギーポップは出てくるのか?が気になった、多分ブギーポップでてくるんだろうけどね。
885 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/05/26(木) 11:45:02 ID:1A/uIk/z
竹田君の危機にもブギーはきっと出てくるよ
886 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/05/26(木) 12:14:49 ID:CzoeLPs9
>>884
ヒント:セカイ系
887 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/05/26(木) 12:53:15 ID:TsfGbkq/
藤花自身の命どころか、マブダチの末間のピンチでも出てくるほどですよ それどころか、世界の危機とは縁もゆかりもない安能君を助けるために「ついでで悪いが倒させてもらう」とか言われて危うくスプーキーたん殺られかけますたよ。初登場時に至っては、いきなり通行人達に向かって「君達は泣いてる人を見てもなんとも思わないのかね!あきれたものだ!これが文明社会ってわけか! 都市生活は弱者を見殺しにする事から始まるってわけか、は!」 ですよ、今見たら、アンタ誰だよ、ですよ。
888 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/05/26(木) 14:34:57 ID:ZddEQVpN
「おまいらはスルーされてるレスを見てもなんとも思わないのかね!あきれたものだ! これが2ちゃんねる社会ってわけか! ネット生活はキティ外を生温かく見送ることから始まるってわけか、は!」
正論だな
889 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/05/26(木) 15:01:41 ID:P9fYSfzO
>>887
ああ、でも・・・そのころの雰囲気が好きだったなあ。
890 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/05/26(木) 15:42:09 ID:FT5LLes5
その時点で世界の存続に必要な人間に張り付いて、その存在を守る。もしくは世界の敵が寄ってくるような人間に(ry さらに藤花の意識が残ってるので竹田君に(ry そんで藤花のストレスが溜まるとよく殺りまくったり演説したりする。
世界の敵、統和機構、自動的…もろもろのコンセプトと、斜に構えながらも、真正面から臆面無く若さという可能性を全面的に押し出すの絶妙の組み合わせ。本当にブギーポップは大好きな作品でした…今でも当初の作品は引っ張り出して繰り返し読みます。
『凪、普通ということをどう思う?普通というのはそのまま放っておいたらずーっとそのままだということだ。だからそれが嫌ならどこかで普通でなくならなければならない。』
霧間誠一