そりゃそうだろうね | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

先日、某病院から新型コロナ肺炎から生還した方が入院していらっしゃいました。

一か月ほど前は、多少の認知症がありながら、独居でデイケアなどの福祉サービスを受けながら生活していた方だそうです。

社交的で、食べるのが大好きな方だったとか。

しかし、当病院にいらっしゃる前の看護情報では全く真逆の状態で、

「こりゃ大変⁉」の方を引き受けるイメージでした。

 

声をかけても閉眼のままうなづき応答。手を胸元で結んだままで、絶対に話しません状態。・・・よって血圧も測れない状態でした。

眉間に皺を寄せて、絶対に受け入れませんという意思を感じました。

 

閉眼のままなので、何度か声を掛けて自分の存在を知らせてから患者さんの体に触れましたが、それでもびくびく状態で、よっぽど前の病院で恐ろしい目にあってきたのでしょうね。

 

想像するに、防護服の医療従事者は客観的に宇宙人です。その宇宙人みたいな人にあれこれされたら怖いですよね。

認知症のために、現状理解が難しいので、本当に怖い一か月を過ごしてこられたのでしょう。

自分で、お薬をきちっと飲める人でも、宇宙人からの謎の薬を飲むように強要されて怖かったと思います。

アビガンも多変な量を飲むようですし・・・。

よって、拒薬をするので胃管を鼻から入られて・・・。拷問ですよね。

一か月、彼女はXファイルの世界に耐えてきたのだと思います。お気の毒に。

 

彼女の凍ってしまった心を溶かすことに入院時から努めました。

当初は拒食もあるという事で胃管からの経管栄養でしたが、認知症で身体拘束もしなかったのであっさり抜いてくれて、翌日から経口食に。しっかり食べてくれるので、チューブは外して普通に戻しました。

これから、リハビリを頑張っていただいて、もとのように戻ってくれたらが目標です。

 

 

認知症の感染者を管理するのは、想像するだけでも大変そうです。

監視カメラで、直接的な身体拘束はしなかったみたいですが、それでも人権侵害です。チューブを抜かないためにミトンをされて・・・。

宇宙人に拘束されていた・・・ときっと彼女は思っているでしょうね。

本当に、医療者も大変。本人も大変。そして、おびえた患者を日常に戻すのも大変です。