昨日は母のちょっと早い誕生日祝いに歌舞伎鑑賞。
前は、何かものを買ってお食事という祝いの仕方だったが、最近は慶事というと「歌舞伎鑑賞」が定見番に。
本当は人気の第二部に母を連れて行ってあげたかったのですが、、、
大人気の演目。シフトを待っていたら、お休みに合う日は全部満席。という事で、舞踊好きな私は舞踊のある第一部を選びました。
このチョイスは良かったと思います。本当は三部もいいなぁと思っていたけれど、色々楽しめる方が贅沢。出演メンバーを確認。どちらも素敵だったけれど、通し狂言よりも“色々”を重視。第一部を選択した。・・・この決定に母の好みは一切無視。私の独断で決定。ひどい娘である。
でも、結果として母も新作ものもありの第一部の演目を喜んでくれたので良かったです。
『花魁草』
本当に泣けちゃいました。幕が開いて、最初のヒロイン登場でヒロインを演じる方の“男”を感じて違和感がありました。長襦袢(?)という薄手の着物姿のせいですかね。
が、その場面以降はヒロインはヒロインになってくれたから良かったです。
そうそう、
母の実家の方は、お女郎さんの事を「おやまさん」と呼んでいたそうです。独特ながに股姿だったそうで・・・。その姿を聞くと、違和感のあったヒロインの姿はまさにお女郎さんだったのかもしれません。
自分も何度か宿場町のお女郎さんとか演じた事がありますが、そんな事をイメージして役作りした事がない。女郎=阿婆擦れという感じで演じていたけれど・・・何気に違っていたかなと今になって思う。
しかしながら、この芝居の演出はとても良かった。とくに最後の場面は、観客に創造的想像力を十分に発揮させてくれて楽しかった。
最近の舞踊の演出等々で気になるのは、観客の想像的想像力を発揮させてくれずに、強制的に「こういう場面」と観念化して演出される事が主流になっている。
照明や大道具などなど最新の技術に表現力が頼っている感じがして、
「なんか嫌だ」という感じがしていたのですね。が、今回のように、最新の技術を駆使して、観客の想像的想像力を湧き立たせてくれる演出は素晴らしいと思う。
『龍虎』
早変わりの技術が凄かった。
特に、隈取から綺麗な白塗りの変身・・・。どんな技術だったのでしょうね。シール?!・・・超マジック♪
しみじみと太棹三味線の底力を感じました。竹本の場合、どう数を表現するのか分かりませんが、長唄的表現で四挺四枚という少数ユニットなのに、お囃子の銅鑼や大太鼓の音に負けず存在を示すというのは凄いと思いました。
新しい幸四郎丈。なんか“若い”というイメージが強いのですが、すっかりベテランへの道を歩んでいらっしゃいますね。
当たり前なのですが、ご子息の舞踊も素晴らしかったですが、幸四郎丈の芯を感じた演目でした。
『心中月夜星野屋』
落語をベースの新作歌舞伎でした。
久々に拝見した七之助丈の美しさに魅了された。
獅童丈の阿婆擦れ母さんの演技も光っていた。そして、妾の情を試すようなせこい旦那の中車丈の演技も素敵だった。
所謂一般の役者さんから、歌舞伎に転じた中車丈も最近はすっかりご自分の芸を定着しているなぁと感じます。
なんかちょっと前は「遠慮」という雰囲気を感じていたのですが。
本当に、今の彼の芸風はいい感じだなと思います。
座席の後ろに、歌舞伎大好きな若手の方が、職場の同僚を誘って歌舞伎鑑賞しているのかなという女性の二人組を発見。
職場でも先輩らしく指導的。「ネットで筋立てを読むといいんだけれど・・・」・・・客席内はネットが通じなくて残念なことに。ロビーに出て筋書きを読む事を勧める先輩。でも、一ベルが過ぎていて。。。時間がないよ?!
結局、後輩は筋書きを知らずに観劇。そして演目終了後の先輩は「分かりやすい演目でよかったわね」と。
そうそう、最近の歌舞伎は素人にも分かりやす事を感じる。
相変わらず義太夫は何を言っているか分からないけれど、芝居を見ていると分かりやすい。
たぶん、歌舞伎役者の皆さまは「分かりやすい歌舞伎」を目指されているんじゃないかな。
さて、来月の秀山祭のちけっともゲット。福助丈の復帰公演。児太郎でビューを拝見しています。長い間闘病をされていて復帰されるんですよね。絶対に観たいという事でチケットをゲット。
母に「来月も芝居見物できるよ」と伝える。「来月は敬老の日のプレゼントかね^^」とすかさず。
単に母と一緒に芝居見物したいのですが、名目ないと母も「ごちそうになる」で気にしますから。難しいです。
本当に歌舞伎って楽しい。