第140回温知会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

さすが梅雨だけあって、はっきりしないお天気でした。
涼しいようで暑い・・・。本当に着るものに困ります。

今日は楽しみにしていた温知会です。超一流の演奏家の先生方が流派を超えての演奏会。
昔から母に連れられて行っていました。
そうそう、大昔の事ですが、
昔住んでいたところの近くに温知会の事務局がありました。あれはどなたのお宅だったのでしょう?今になって思う。
今は鎌倉の方に事務局があるのですね。

昔、昔に比べて徐々に世代交代。メンバーも変わっています。
あの頃若手だった方は今やベテランに。あの頃、ノリノリのベテランの演奏家の方は熟年の味に。
あの頃ときめきを感じた方々が年々歳を重ねられ・・・何か寂しさを感じます。

先日、ぜんぜん違う演奏会でお隣に座られたご婦人が
「あなた、よく温知会にいらっしゃっていますよね」と声を掛けられた。
確かに、私も良くお見掛けするご婦人。今日もいらっしゃっていた。しかし、そのように声を掛けられて吃驚です。今日は席が離れていたのでお話しする事はなかったけれど、、、、。
私も、温知会で「よくお見掛けする人」になっているんだなぁ。ハハハッ

さて、本日の演奏
『外記猿』
<唄>
芳村伊十郎・芳村金四郎・杵屋正一郎・芳村彌太郎
<三味線>
貴音抄太郎・東音 村尾慎三・東音 田口 拓・貴音由多加
<笛>
福原徹彦
<小鼓>
藤舎呂船・藤舎呂凰
<大鼓>
藤舎呂秀
<太鼓>
藤舎清之

久しぶりに金四郎氏の唄を拝聴した。まだ彼が若手だった頃、美男美声で私のハートをドキドキさせた。すっかりおじさんになったけれど、相変わらずの美男美声だった。
何気に気が乱れていたのか、今一つ全体にわずかな乱れを感じた演奏だったが楽しかった。

『一人椀久』 
<唄>
杵屋東成・今藤政貴・杵屋巳之助
<三味線>
杵屋五三郎・岡安祐三郎・杵屋五助

全体的に綺麗にまとまっていた。しっとり決まっていて、五三郎氏らしい演奏だった。
今まで、東サワリを使っていらっしゃらなかった認識だったのですが、
今日初めて東サワリを使っている先生の演奏を拝聴した気がします。
サワリを使っていなくても、つかっている如くの響き。その音色が大好きだったのです。
なので、ちょっと残念。

『常盤の庭』
<唄>
杵屋喜三郎・杵屋吉之丞・杵屋直吉・杵屋君三郎
<三味線>
杵屋寒玉・杵屋勘五郎・杵屋直光・杵屋廣吉
<笛>
中川義男
<小鼓>
藤舎呂船・藤舎円秀
<大鼓>
望月左武郎
<太鼓>
藤舎呂雪

大ベテランの演奏。今日という演奏がとても大切。
亡くなった先代の五三郎先生も晩年はそうだったが、歳を重ねるという事はある程度を過ぎると若いころのようにはいかなくなる。それがゆえにスリルとサスペンスな演奏になってしまうのは致し方がない事である。
しかし、不思議な事にお客さんは、そんなスリルとサスペンスの演奏でも満足する。
それはリアルでその方の演奏を聞ける事への感謝に似ているかもしれない。
いつまでもお元気で(^^♪
しかし、どんなに歳を重ねられても寒玉氏の歯切れの良さは変わらない。素敵だ♪

『三勝道行』
<唄>
貴音 三郎助
<三味線>
今藤美冶郎・今藤政十郎
<笛>
中川義男

プログラムに笛が入る感じではなかったのですが、
「中川さんが来ているなら・・・」という感じになったのでしょうね。
三郎助氏=宮田氏。ご高齢にも関わらず高音も美しく素晴らしい。いやいや、ある時から声の若返りを感じる。恐るべし芸人!
宮田氏の美声と、透明感のある美冶郎氏の三味線がとても聞き心地がよかった。
それプラス、女心をぐっさりえぐってくださる美しく切なげな中川氏の笛の音色にメロメロでした。

『石橋』
<唄>
杵屋彌十郎・東音 渡辺雅宏・松永忠次郎・杵屋巳之助・杵屋彌十彦
<三味線>
松永忠次郎・松永鉄九郎・松永忠一郎・松永直矢・(上)今藤政十郎
<笛>
中川義男
<小鼓>
望月彦十郎・藤舎清之
<大鼓>
藤舎呂秀
<太鼓>
藤舎円秀

ひと昔前はとってもオイリーだった忠五郎氏。すっかり油が抜けてしまったが、相変わらずの歯切れの良い三味線だ。
昔と比べてはいけない。今という時代で評価。それでも素敵で彼の個性を感じた。

時に時の流れをとても憎く思う事がある。
しかし、ライブの大切さ。一曲一曲がとても貴重です。