- 怪猫有馬御殿 [DVD]/入江たか子,坂東好太郎,阿井三千子
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今年の八月の月末は非常に涼しいですが、
例年は「この暑さ、いつまで続くの」と気の遠くなる思いで残暑を過ごしていたように思う。
私が子供の頃は夏休みというと、テレビで幽霊とかお化けなどを特集としたものをどこかしらのチャンネルでやっていたように思う。「怖い、怖い」と言いつつ、そういうのを好んで観ていたように思います。
最近、そういうのが少なくなりましたよね。何か寂しいな・・・。
入江たか子は化け猫女優として一世風靡した美人女優さんである。私が生まれる前に活躍した方。
子どもの頃に何本か彼女の映画をテレビで観た覚えがあります。
この入江たか子という人は菅原道真公の血を受け継ぐ華族出身のお嬢様スターなのだそうです。
日活入社後、東宝を経て大映に移籍。大映では化け猫女優として名を馳せた鈴木澄子という女優さんがいた。入江たか子は、その鈴木澄子の映画をリメイクしたものに数々出演。
「お嬢様スターも随分落ちたものだ」と周りから言われつつも、「生きるため。私は頑張る」と熱演。そしてその迫力ある演技が大当たりしたとか。
先日、何十年かぶりにこの映画に再会する。
入江たか子さん。本当に品があって美しい。その上、化け猫になってからは目力が凄いです。ただのお嬢様スターとは違いますね。「生きるため」と熱演する彼女の心構えを感じ、そのハングリー精神が観客の心を魅了するという感じだ。
しかし、子どもの頃はただ怖いと観ていたが、大人になって変な事に気が付く。
そもそも物語の始まりは、大名の奥向きでよくあるお話。側室同士のいさかい。
先輩側室のおこよの方が、町家出身の新参側室のおたきの方をことある事にいじめるというお話。
お殿様の寵愛も、やっぱり新しい方が良いから、おこよの方の妬みはどんどんエスカレート。
ついには、自殺に見せかけておたきの方は殺されちゃう。その恨みをおたきの方が可愛がっていた猫のタマが化け猫となって仇を討つという単純明快なお話。
おたきの方付きの奥女中のお仲は、いじめられるおたきの方を懸命に支える。
そんな懸命さに殿さまの心を奪ったのか、何かとお仲に愛の告白らしき台詞が数か所。
そして、ラストシーン。
「我が有馬の家に入って~」
殿さま・・・。なんか厄介者の二人を片付けてハッピーエンドになっている感じがするんですけれど。
タマちゃんに最終的にかみ殺されなければならなかったのはこの殿さまだったのでは・・・。なんて思っちゃいました。
銀幕時代の映画は作り手の迫力を感じる。
現在の日本映画は、この当時のものに比べて技術的には優れているのだけれど、
何かパンチが今一つ私のハートにとどかないなぁ。
まあ、好みの問題なので・・・。あしからず。