お名取式 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。


本日、無事に名取式を迎える事ができました。

朝四時半起き。昨日も早番だったので同じ起床時間。

しっかり朝ごはんを食べて、

さて、出陣の前の準備でございます。

五月だというのにこの気候。汗だくになって着物を着用。

母から譲り受けた小鼓柄の附下。一応、一つ紋が入っています。

朝からしっかり体力を奪われたのでした。

が・・・暑いけど、お天気で良かったです。


この熱い中、

お家元と奥様。そして師匠。雌蝶雄蝶のお役目をして下さった先生方本当にありがとございました。

名取になるという事はその流儀(家)の一員になるという事で、つまり結婚式みたいなものですね。

私・・・。結婚式の経験がないので、超ドキドキなのです。

「盃事」でネット検索したら、何かやばそうな動画が出て来るし・・・。

そして、そんな動画を一応見て、あまりにもおごそか過ぎてビビってしまう私。本当に小心者。

まあ、その動画は特殊世界のものですから、我々ある意味健全な世界の人間には関係ないですからね。

そんなものと一緒とは露とも思わず・・・^^

ネットも便利ですが、こういうのに対しては役に立たないなぁ。


私は超緊張症なのです。

もと、弱小劇団の女優だったのに・・・。いろいろ人前で何かをやっているんですがね・・・。

掌に「人・人・人」と書いて、ゴックンしないと落ち着かない。

今日はそれをやる機会なくて・・・。やっぱりな・・・。

ああ、不作法な女と思われなかったかな?!

師匠が恥ずかしい思いをしなかったかな?!

本当に、心配・・・心配・・・。

野蛮人な私。お得意は点滴注射で血管確保・・・だもんな・・・。こういう高級な世界。自分をどう処せばよいか分からない。

案の定、名取式の本番。事前に色々とご説明いただいたのですが、いざ、座敷に通されて頭真白。フリーズ。緋毛氈の上に座って、あれあれ次に何をするんだっけ?

舞台だと、お調べして・・・。いやいや、ここは舞台じゃないから。私は何者状態。困ったものです。


やれやれ、赤面しつつ式はしゅうりょうしました。

そして、お食事会。確か、谷中魚善というお店のお弁当を頂きました。

今日は炭水化物オフなんて言っていられませんので、バリバリ炭水化物を頂きました。

久しぶりの炭水化物はとっても美味しかったです。ついでに、おビールも♪

いつも糖質オフのシャビシャビを頂いているので、本当に美味しくて。。。

はしたなくもお勧め断らず放大しちゃいました。(恥)

こういうのが野蛮人と思われるんだよね。困ったものだ。




さあ、今日から「藤舎冬雪」という芸名を許されたわけです。

今まで、けっこう頑張って来ましたが、まだこんなものなんですよ。頑張っているつもりで頑張っていない。

苦手克服もぜんぜんできていないし。

毎年年末にその年の振り返りをして、新たに翌年の目標を決めているけれど、ぜんぜん進歩なしで、いつも同じ目標を立てている。

ついでに、クリアすべき事がどんどん増えている。

困ったものだ。困ったものだ。

名前を持つという事はそれなりの責任と覚悟が必要だ。

「藤舎」という流儀の看板を背負っている。

そして、師匠の看板も背負っている。

一打ち「ポン」にそれだけの責任が掛っている。

とにかく、慢心せず、今まで以上に稽古に励むという事が大切ですよね。

何か、年齢を重ねたせいか、仕事と稽古の時間調整が最近上手くいっていない。

うまく工夫をして、頑張らないとね。


十年以上。師匠にここまで育てていただいた事を感謝いたします。

亡くなったスパルタの師匠とは違って、本当に優しく丁寧に道を示して下さいました。

また、お囃子を習うという事の基盤を作って下さった天国の師匠。「お前たちには命を掛けているんだ」と怒鳴り、不甲斐なさを怒って張り扇やら灰皿や色々なものを飛ばし、それでもやり抜くという強い心構えを作って下さった前師匠。

亡くなった師匠が旅立たれて、あまりの悲しさに邦楽は二度と携わらないと思いましたが、

でも・・・

でも・・・

やっぱり囃子がやりたくて、、、

それに、亡くなった師匠がほぼ毎日のように夢に出てきて、お囃子を辞めてしまったことを悲しんで、怒っていましたしね。。。

亡くなった師匠に何もできなかった虚しさに看護師を志して、看護師になった。

ある日の事、ネットを通して師匠に出会った。でもね、お囃子のお稽古再開にとっても悩んだ。

そこへ、よいタイミングで亡くなった師匠の夢を見た。

「あそこならいいよ」と仰った師匠。その言葉で覚悟を決まった。

現師匠に入門して一年ちょっとが経ち、『鏡獅子』の小鼓をやった時、

夢で亡き師匠が久しぶりに出てきて、私を嫁に出すように現師匠のもとに見送って下さる夢だ。

お稽古場で懐かしい姉弟子などがいる中冷遇されて、やっぱり余所の子になった事を怒っているんだと思いました。

悲しくて、悲しくて亡き師匠宅を出ようとすると、師匠が来て「悪かったな、頑張りなさい」と言って、門の外に出てからも、ずっとずっと私の後ろ姿を見送って下さった。夢の中だけれど、もう亡くなった師匠には二度と会えないと思った。そうそう、もうここに来ちゃいけないと思った。嫁に行ったことがないので想像でしかないけれど、きっと嫁に行くときの娘の心境ってこんなのじゃないかな?なんて夢の中で思った。それ以来、本当にぜんぜん亡き師匠は私の夢には出て来ません。本当のお別れだったんだ・・・やっぱり。

いつも亡き師匠の気配を感じていたのですが、あの鏡獅子をきっかけに亡くなった師匠の気配が亡くなった。


現師匠は、大切に大切に育てて下さった。

そして、本当に色々な大曲をお稽古で挑戦させていただきました。

そして、出ベソの私の活動を黙って見守り、色々と自由に色々と挑戦さてせいただきました。

本当にありがたい事です。

「こういうのは教えにくい」と言いつつも珍しい曲を教えて下さいました。

本当にあっという間の十年ちょっとでした。


本当に繰り返しになるけれど、

これからがスタートなんですよね。

随分前に、亡くなった先代の五三郎先生が、

「名取になって、初めてスタートなのだから頑張りなさい」と声を掛けて下さった事を覚えています。

あの頃は、まだまだヤングの粋にいた私ですが・・・。

やっとやっとスタートラインにつけたんだな。


さてさて明日に向けて頑張るぞ♪

これからも頑張ります。

未熟者ですが、どうぞ宜しくお願いいたします。