目から鱗ルン♪ | fuyusunのfree time

fuyusunのfree time

長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

真しほ会に行くと、プログラムと共に必ずその日の演目の解説が一緒に付いてくる。これがとっても楽しみルン♪
この解説を楽しみにしているのは私だけではないようで、けっこう人気の知れものらしい。
来年で第三十回を迎えるこの会。去年から三年間計画でこの解説を単行本として販売しようという事に。去年は第一回から第十回の解説。今年が第十一回から第二十回。そして、来年が第二十一回から第三十回。と三冊の本。
こういうシリーズものは必ず全部そろえたい性質なので、来年が楽しみです。

とっても素晴らしい解説書と私は思うのですが、冷静に考えると・・・
これって、お囃子を知らない人にとってはチンプンカンプンな書物だなぁ。やっぱり観点がお囃子だから仕方がないけれど。長唄やその三味線のお稽古をしている方というのは大勢いらっしゃると思うのですが、お囃子まで熟知してという方は極々わずかな人口だと思います。
ですから、長唄しか知らない方には、ぜんぜん文を読んでも分からない。
一般の方が医学や看護の書物を読んでチンプンカンプなのと一緒です。
私たちにとっては日常用語であっても、一般には意味不明な言葉が一杯。
まあ、それだけ深くお囃子の視点で解説がなされているという事で素晴らしい専門書でございます。
お囃子大好きな私にとっては、ダイヤモンドに匹敵する我が家宝でございます。

さて、こういう解説を読んでいると、目から鱗な事に出会います。
例えば、
『越後獅子』の太鼓地に出て来る「早来序」という手について。
この早来序というのは、お稲荷さんや狐などの出に用いられる「来序」という手に由来している手です。お稲荷さんが出て来る『小鍛冶』など、来序も早来序も一杯出てきます。
さて、「来序」は獅子の出に使われる「乱序」という手に由来しているようです。
どちらが先の物か?!・・・コロンブスの卵。うーん。たぶん「乱序」だな。
まあ、コロンブスの卵で頭をひねっている事は別として、
覚え方としては拍子のある「来序」。「乱序」は四拍子のプレーヤーの呼吸で表現されるリズム。という覚え方をしている。
何気に手順で「次は早来序で次は」と手順でしか考えた事がない。「どうしてこの手があるんだろう」という学問的に考えると本当に目から鱗な事が。そうそう、作調者のお洒落な意図というものに出会えるのだ。演奏するのも楽しいけれど、そういった作調者が「実はね^^」と密かに布石したキーワード。お洒落な呼びかけを知るのは学問的出会いでなければ分からない。まあ、演奏は感性なのでしょうが、そういう出会いも楽しいものです。
『越後獅子』は越後獅子という大道芸人が主人公。まあ、獅子の被り物はしているけれど・・・「これで獅子もの???」と思いますが、作調者は「この曲も曲がりなりにも獅子ものなんですよ」という思いが、この太鼓地に「早来序」を用いる事で示している。
そうそう、『俄獅子』にも「早来序」が出て来る。そうか、勇壮な獅子そのものが登場人物ではないけれど、曲がりなりにも「獅子」なんですね。
「獅子」という架空の神獣に対する尊敬の念を何気に感じます。

最近の日本人感性って、何気に鈍い感じになっていますが、
日本人というのは、虫の鳴き声も分類できるほどの繊細な感性を持っている。その感性を失っちゃいけないよなぁ。
自分も含めてだけれど、頑張れニッポンです。