小鼓の皮というのは、年月をかけて皮が柔らかくなり、心地よい「ポン」という音が出るようになる事が芸術である。その音は昨日や明日ではできないものである。
よく、小鼓を初めて、真っ新な新調の小鼓を入手して、
「音が出ない」と言って諦めてしまう人がいますが、それはがっきのせいです。
確かに、
「ポン」という乙の音を出すのは難しいですが、楽器によっては、容易く出るものです。
「ポン」と言わない事。技術的な問題もあるかもです。ついこの間も、あるお浚いで握りが反対で「これじゃポンとは言わないなぁ」というのは見ましたが・・・。が、正しく打っているのに理想の「ポン」が出ないのは楽器が新しいという原因もあります。
古い小鼓の皮は歴代の持ち主の地と涙と汗によって音が作られています。
普通、演奏会で使える「ポン」が出るまでには80年以上も掛るとか。
コバチャンは大正時代あたりの楽器だそうですが、昭和生れのマサチャン・・・思うような音が出なくて当然です。
さて、小鼓というのは、そういう楽器なのです。
しかし、大皮というのは使い捨ての皮。三回くらい使用すればおさらばの皮なのです。
お囃子の中で一番セレブな楽器だと思います。
何しろ、使用前にカリカリに焙じて、死ぬほど締め上げられて使う楽器なので、寿命が短くて当然。
が、こんな楽器の皮なのに、
オークションで「江戸時代の古いものです」という売り文句で打っているって・・・
どうかと思います。
楽器の特性を知らなさすぎ。
こういう店では、お囃子の楽器の取引はしない方がよいですね。
オークションを見ていると、たまにこういう劣悪な出店があってムカつきます。
まあ、素敵な小鼓の胴も、大概は楽器としてではなく、美術品として売買されるとか。
花瓶に変身とか、そういった不運の人生を辿ってしまう楽器も少なくはないようです。
時々、オークションで楽器を探しているんですが、なかなか素敵な楽器には出会う事ができません。