昨日はお稽古のあとに日本橋劇場に行った。
知人が、この会の文芸同人で、作詞をやっている。その彼女の作品を拝聴するのが目的である。
昨日は盛り沢山の演奏会だった。全部で九曲。
古典は、
「ここは集中して聴こう」
「ここは気軽に聞き流そう」とか、けっこう自分で疲れないように体調管理している。
しかし、新作ものというのは、その曲をぜんぜん知らないので
最初から最後まで気が抜けないし、緊張している。
本当は最後の演奏を聴きたかったのですが、知人の作品を聴いて失礼した。
・・・
それでも、七曲。良く頑張った♪
知人の作品。
『夢てふものはたのめてき』
とても美しい旋律だった。
夢の割には生身な感じが伝わってきた。が、解説を読んでなるほどと思った。
「夢」=「ロマンチック」とは限らないのである。
確かに自分の夢を振り返っても、けっこう生々しいですね。
笑ったり泣いたり怒ったり。決して幻想的ではない。そんなものですね。
『鶴-やくそく-』
「鶴の恩返し」を脚色して、長唄化したものでした。
本当に人間と言うのは
「するな」と言われると「したくなる」心理がある。
『安達が原』もそうですよね。どんなに純粋な人でも、どんなに誠実な立派な人にも、心のどこかに悪魔というものが住んでいるんですよね。
お話をしっているせいもあるのか、大変わかりやすく聴きやすい曲でした。
『三巴天地始』
古事記を題材にされた曲。アマテラス・ツクヨミ・スサノオの三兄弟のお話。
今日の新作は、劇風のものが多い気がする。
和楽器の効果音&バックミュージック入り朗読会という感じかな。
なかなか面白い趣向だと思う。
アマテラスを、美声の今藤政子氏、ツクヨミを東音 味見純氏、スサノオを常磐津兼太夫。
いやいや、本業の唄や語りが上手いのはプロなのだから当たり前。しかし、台詞の上手さ、朗読の上手さに吃驚でした。
常磐津兼太夫氏の立ち姿の美しさに、またまた感動でした。
一番印象に残ったのは、杵屋巳太郎氏の作曲、竹柴潤一氏の脚色による『ユダヤ人シャイロック』という音楽劇でした。シェークスピアのヴェニスの商人を題材にしたもの。まさか、邦楽の演奏を聴きに来てシェークスピアに出会うとは思わなかった。
まるで昔の無声映画を観ている感じでした。弁士をやられたオオハシ・マサユキ氏は実は長唄の三味線方の方だったのてすね。いやいや、あまりに上手かったので、本職の方だと思ってしまいました。
なかなか、皆さま役者です。すごいです。
最後、演者三人と弁士が手を振って幕という感じの演出だったのですが、
悪役のシャイロックを演じた杵屋巳勇次氏の一番爽やかな手振りがとっても印象に残りました。
この創邦21の演奏会は今回で二回目。
去年より面白かった。しかし、やや盛り沢山過ぎてもったいないなぁと思いました。
客席でも、ところどころ・・・
「長いなぁ」
「曲数多いよね」といった声が聴かれていました。
みんな思う事は一緒だなあと思いました。
せっかく良い作品ばかりなのに、一番一番疲労が重なり、集中力が稀薄になって、じっくり「聴く」という姿勢が取れなくなってしまって残念でした。
最後を楽しみにしていたのですが・・・残念無念。どんな曲だったのかな?
来年はどんな曲に出会えるのかしら?
ちょっと楽しみです。