死者の役って | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

ある映画を観ていたら懐かしい方がご出演されていた。


けっこう有名な新劇の俳優さん。奥様も有名な女優さんです。とても素敵な方でした。

まだ初々しい成人したばかりの頃、この俳優さんとお仕事をご一緒した事があります。

でも、同じ作品に出たというだけで、シーンはかぶっていません。

とある映画の撮影。今は無き松竹大船撮影所でのお仕事でした。確か、初めて行ったんだよなぁ。

ちょっとした一泊旅行気分。遠かった。

あの仕事はけっこう早くにスタジオ入りさせられて、ずっと待って待ってのお仕事だった。

映画のお仕事で、予定通りに撮影が進んでいるなんて滅多にない。

朝に楽屋に入っても、夜に撮影なんてざらなんですよね。とにかく待つのも仕事でした。

このお仕事も、遠い湘南の地に朝も早くから呼び出されて到着。しかし、ぜんぜん出番の声が掛らない。

助監督・・・。「すみません。あともう少しですから」・・・嘘ばっかり。だいたい、助監督というのは“オオカミ少年”と呼ばれる。

確か、昼休憩に入っちゃったのかな。それで喫茶室の方でフラフラしていたんだと思う。

そこで、この俳優さんとご一緒したんだよなぁ。

この俳優さん。午前中は、ご自身のお葬式の場面だったとか。棺桶に入っているシーンとか・・・。

「棺桶に入ると長生きするんだよ」とか仰っていた。だから死人の役は縁起がよいのだそうです。

いやいや、それって迷信。だって、そう仰っていたその方も喜寿で何年か前にお亡くなりになっています。

経緯を忘れたけれど、ジュースを御馳走になって、色々とお話しを聴かせていただいた記憶がある。


私も死人の役は何回かしている。というか、デビューが幽霊役だった。

はあ・・・。長生きしちゃうのかな?!この不安定な社会であまり長生きしたくないのですが。

そうそう、時代劇で乞食が毒入りのおにぎりを食べて死んじゃうという役をやった。

三浦海岸での撮影。すごい大雪が降って・・・。

私はおにぎりを手に白目をむいて戸板で運ばれるところなんですね。

雪の降る中、白目向いて死んでいるふりって難しいですね。

どんどん、雪が目に入って、反射で目が閉じちゃうのです。

最終的にOKになった場面。

でも、カメラさんが「今、目閉じませんでしたか」と・・・。

ゲッ!またやるの!・・・かなりきつかったので、またやるのがブルーだった。

照明さん・・・「パチッとやった気がする」

録音さん「うーん・・・」

監督。「そうかい?!」

という事で、撮り直しなくOK♪

でも、さすがカメラさん。本番の放送観ていたら、何気にパチパチとしていました。

なかなか、自然の反射は演技ではカバーできません。


何か変な仕事ばかりやっていたなぁ。隙間産業で青春時代は生きていたなぁとつくづく思う。