長唄協会春季定期演奏会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

幕開きから、千秋楽まで鑑賞して来ました。全曲22曲。ただし、お尻に褥瘡ができちゃいそう。またまたエコノミー症候群も怖いので、時々、ロビーに。しかし、やることもないので、結局、途中から入ってしまう。つまり、途中鑑賞しなかった部分もありましたが、全部制覇しました。


『正札附』

男子合同曲。各流派の若手の方々が大勢で演奏。壮観です。

分け口で、三挺三枚くらいずつになるのですね。大勢で弾いていたのに、いきなりボリュームダウンはちょっと「えっ?!」と思ってしまった。

大勢で演奏すると、曽我ものらしくとても華やか。なのに、このボリュームダウンでいきなり寂しい印象。曽我ものらしからぬ感じ。でも、それぞれ見せ場も欲しいですよね。大勢の出し物って本当に難しいと思います。


『浅妻船』

<唄>   杵屋喜三以満、他

<三味線>杵屋勘由紀、他

<囃子> 藤舎呂雪、他

舞踊の曲というイメージが強いのですが、こういった曲も出るのですね♪

地方のボリュームとお囃子のバランスというのがとても勉強になりました。

女流演奏家さんの出し物。五挺五枚でもややボリュームが控えめ。

そういう時は、振りはいつも通りでも、発する音は控えめに。音を控えめにすると、振りも控えめになりがちなのですが、そうなるといただけないですよね。


『娘七種』

<唄>   岡安喜代八、他

<三味線>岡安喜三郎、他

<囃子> 仙波清彦、他

お囃子の仙波流というのは、田中流から分かれた流派。望月流やその分派とは、ちょっと違う手組である。打ち方もちょっと違う。太鼓にいたっては全然違う。

観世流の流れにある望月系に馴れているせいか、金春系の仙波さんの担ぎ撥にはいつも吃驚する。でも、本日、じっくり見ちゃって・・・何気に「可愛い」と思いました。お雛様の五人囃子の太鼓ってこんなフォームじゃなかったかな?!う~ん?!という事はお雛様は金春系なの???


『丁稚』

<唄>   杵屋三左衛門、他

<三味線>杵家弥七、他

<囃子> 望月左太郎、他

初めて聴いた曲です。なかなか面白い曲。五世杵屋勝五郎の作曲だそうです。

太鼓の細撥があって、小鼓も楽しそうですが、太鼓も楽しそうな曲でした。

ぜひぜひ、お囃子の手組を耳コピーしたいなぁと思っていたのですが・・・市販されている音無いですよね・・・。と思ったら、五郎治全集に入っていました。今度聴いてみよう。

最初は、私の苦手な四丁目で、次が屋台正天・・・だった気がする。

歌詞がよく分からないのですが、舞台が海らしくないのに、なぜ龍神が・・・と思ったところがありました。

機会があったら、お囃子を勉強したいです。

三味線もこんなのが弾けるようになったら楽しいでしょうね。。。。と遠い目


『喜撰』

<唄>   杵屋勝良、他

<三味線>杵屋勝幸恵、他

<囃子> 堅田喜三久、他

先々月に国立主催の会で喜三久氏の『喜撰』を拝聴したが、やはり地方が変わればお囃子は変わるのですね。

真ん中くらいにある“辻打ち”。軽快でとってもいい感じでした。あんな感じに打てる事を目指しているのですが・・・。そのゴールはまだまだ遥か遥か遥か遠いところにあるという感じです。


『鷺娘』

<唄>   和歌山富司郎、他

<三味線>杵屋彌吉、他

<囃子> 藤舎華鳳、他

藤舎流の責めの部分のお囃子の手を知りたかったのですが・・・。肝心なところがカットでした。

うーん。ついていない。


『供奴』

<唄>   杵屋彌十郎、他

<三味線>松永忠五郎、他

<囃子> 梅屋福太郎、他

梅屋さんも金春系なのですね。今さらながら気が゜付く私でした。

足拍子のところ。小鼓の方が、演出か失敗か分かりませんが、躓いてしまったところがあって、

後ろの席に座っていたご婦人が「ああ~ん」とため息をつかれたのに吃驚したのと同時に笑えました。



『石橋』

<唄>   杵屋巳紗鳳、他

<三味線>杵屋巳太郎、他

<囃子> 望月朴清、他

いつもタテ位置に座られていた、先代の巳太郎氏が隅に座って上調子というのが、何気にまだ違和感がある。今の巳太郎氏はご子息なのでしょうね。弾き方がよく似ていらっしゃいます。

しかし、二の指で勘所を押さえる時に人差し指がピンと立っちゃうのが面白かった。癖なんでしょうね。お父様もそんな感じだったかな???いやいや、違ったと思うが・・・。

曲の途中で地震があった。帰宅して知ったのだが、栃木の方で震度五の地震があったのですね。

ちょっと客席から「あっ、地震」と呼吸の乱れがありましたが、地震にも動じず、普通に演奏している方々がとても素敵でした。


『月の芒野』(黒塚二景より)

<唄>   杵屋佐之隆、他

<三味線>杵屋佐吉、他

<囃子> 福原百之助、他

<箏>  中島靖子

<尺八> 山本邦山

同じ題材ですが、『安達が原』とはだいぶ趣の違う曲と感じました。とっても綺麗な曲です。

御箏が入ると、綺麗さの点数がピコピコと上がっていきますよね。

ちょっと感動しました。


『蜘蛛拍子舞』

<唄>   今藤美知

<三味線>今藤長十郎、他

<囃子>藤舎呂船、他

いやいや、素晴らしくスピーディーなタマでした。しかし、長十郎氏は本当に男性並みで迫力のある三味線を弾かれますね。

先日、何かで半袖のお洋服を着られてのスナップをどなたかのブログで拝見しましたが、三味線を抱える腕の部分。へこんでいました。凄いです。

今藤流の女流の唄方さんは美声の方が多いですね。本当に憧れです。私もあのような声で唄いたいものです。


『娘道成寺』

<唄>   芳村伊四郎、他

<三味線>芳村伊十一郎、他

<囃子>  住田長三朗、他

今年のお正月に、芳村伊十七氏が亡くなって、本当に「どうなる長唄」という感じでしたが、

伊十七氏がきちっと後進を育てられていましたね。安定した、とても素晴らしい演奏でした。

芳村辰三郎氏は、観るたびに唄が上手くなっている感じがします。一世を風靡した先代の伊十郎氏の孫ですものね。まあ、それだけに相当なプレッシャーがあるのでしょうけれど、負けずに成長して欲しいです。


『越後獅子』

<唄>   杵屋喜三郎、他

<三味線>杵屋五三助、他

お囃子なしの演目でしたが、充実したよい演奏でした。

本来は、喜三郎&五三郎の長老の演目のはずでしたが、、、。

亡くなられた五三郎氏の代役をきっちりご子息の五三助氏が務められたと思います。

繊細で透明感のある演奏をされる五三助氏ですが、今日は何気に違いました。いつもより、一音一音にパワーを感じました。繊細な糸が細さは変わらないけれど、強度が増した感じがします。

いい音締でした。感動。

そして、喜三郎氏の唄も味わいあって素敵でしたが、三枚目の直吉氏の浜唄の前あたりのところの唄が本当に感動ものでした。女心をグッと抉ってくれるあの唄声。いつもはミーハーで「素敵」といっちゃいますが、今日は浮かれ気分てでなく、心底素敵だと思いました。


『安達が原』

<唄>   鳥羽屋里長、他

<三味線>杵屋寒玉、他

<囃子> 堅田喜三久、他

寒玉氏の江戸前な音締が好きだ。未だに健在。独特な間が味わいがある。

里長氏の唄も美声だけではなく、その説得力が素晴らしい。

この曲は本当に長い曲で、お囃子が喜三久氏でなかったら、パスしちゃおうかと思いました。

さすがに、これだけの長唄を聴くと疲れましたから・・・

それなのに、どんどん曲にのめり込んじゃうのが不思議。

喜三久氏はわざと間を外す技がお気に入りなのだろうか。最近、そういうのによく遭遇する。

意外性が面白い。が、ドキッ\(◎o◎)/!とする。

この曲のお囃子は楽しそうだ。けれど、本当に抜ける胴じゃないと・・・ストレスだなぁ。


今日も乾燥していましたね。小鼓方の先生方は皆様苦労されていた。

たくさんお囃子を拝見しましたが、この世にはすごい名器の存在があるんですね。

あの方とその方、この方の小鼓の胴は凄いなぁと思います。

ああいった楽器で演奏したいものです。夢・・・そうそう、夢です。


三味線の師匠とお囃子の師匠を尋ねて楽屋に。しかし、師匠にはお目に掛れませんでした。

しかし、お目に掛りたかった方々にご挨拶できました。。。って、失礼なく挨拶できたか不安です。

どうも言葉足らなく、私は愛想がなく可愛くありません。

そうそう、お囃子の師匠を呼んで欲しかったのに、

「〇〇先生、いらっしゃいますか」と言ったら、若者が廊下にいらっしゃったお家元に声を掛けられたので吃驚しました。


さて、明後日は真しほ会♪楽しみ^^