間もなく八十歳も手に届くお歳の女性。お子様に恵まれず、ご主人は数年前に亡くなられ。親類といえば、遠方に住む甥や姪。
そんな境遇の彼女。末期の碞となり、改善の見込みが得られない事から療養型病院にやってきた。
ホスピスや緩和病棟の方が、この方には適応と思われるが、まあ、色々とあるのでしょう。
遠くに住む血縁者よりも、近くの他人。
彼女の入院生活を支えているのは、区の福祉課の方のようだ。
たぶん、彼女が今まで生活していたお家に帰る事はないだろう。病名の告知を受けて余命宣告も受けている方なので、きっとその辺の覚悟はしていらっしゃると思う。
たぶん、賃貸の住まいで、親類の方の許可を得て区の方がその後始末をされているんだと思います。
「何か持ってきてほしいものはありますか」と区の人が質問すると
「主人の位牌と、それから壁に貼ってある〇〇のポスター」
はははっ。申し訳ないが、すごっく受けてしまった^^
〇〇という人は三十・・・いやいや四十年くらい前かしら?
『スター誕生』のオーディションに受かって、デビューした東北出身の演歌歌手。
そうよね。考えてみたら、〇〇氏がデビューして人気スターであった時代、この方くらいの方がファンクラブ作って応援していたのよね。この方にもそんな時代があったんですよね。なんか微笑ましい感じ。
きっとたぶん、他のものは整理されちゃうのですよね。捨てられちゃったりするのが嫌なものを役所の人が聴いたのですよね。そんな貴重品の中に、ご主人の御位牌は分かりますが、ポスターが入っていたのが笑えます。
そういえば、演歌歌手〇〇はどうしているんだろう。ふと思い出してしまった。
演歌歌手にとって今の時代は暗黒時代ですよね。
二十年くらい前はどこかしらで演歌が生活音に混じって聴こえていたように思いますが。
しかし、こうして役所の人に伴われて入院してくる方が意外と多い。
私世代はけっこう独身を貫いている人がいるけれど、きっと老後はお役所のお世話になって・・・という人が増えるのでしょうね。・・・私もその中の一人ですが。はあ・・・。