三世杵屋五三郎先生 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

本当に悲しい訃報が届きました。

人間国宝の杵屋五三郎先生が二日に亡くなったそうです。九十四歳。

あんなにお元気でしたのに・・・。とっても残念で仕方がありません。

最後の舞台姿は

十一月の温知会。今年の一月の国立企画の邦楽演奏会は楽しみにしていたのですが。。。休演。

昨年の十二月末だったか、体調を崩されてご入院したことは存じ上げていたのですが。

やっぱりね・・・の結果になってしまいました。

今月の長唄協会。『越後獅子』・・・。復活を願って楽しみにしていたのですが。

ああ、本当に寂しいです。


大皮の師匠の門弟であった頃、師匠が亡くなる四か月前に国立で大皮デビューをしました。

今は亡きお笛の宝先生の人間国宝襲名と福原百之助から宝山左衛門を襲名する記念という事で開催された会でのデビュー♪

当初はタテ三味線は、絶対に「杵屋五三郎!」と師匠は仰っていたのですが・・・。五三郎先生のスケジュールをゲットできなくて杉浦先生に。

それから数年経って、五三郎先生にそういった話を耳に入れたら、超残念がっていらっしゃったそうです。

「あの日は確か声は掛っていたんだけれど、違う仕事が先に入っていて・・・」

その後、五三郎先生に直接お目に掛ってご挨拶した時に

「名取になってからが本物の勉強だよ。早く名取りになりなさい」と励まして下さった。


三味線には、

勝国先生のように、皮の音と糸の音を観客に聴かせるという方と、

五三郎先生のように糸の音を聴かせるという方がいらっしゃる。

今時の「糸を聴かせる」という芸人さんは、とにかくシャラシャラで芯がない演奏で地味という印象があるんですが、五三郎先生は違いましたね。綺麗な音締。けれど坦々とした間一つ一つに入魂を感じました。

シャラシャラ弾きの方は、激しい獅子ものとかになると、お囃子に音をかき消されて情けない事になっちゃうけれど、五三郎先生はそんな事がなかったなぁ。


晩年の五三郎先生の演奏はスリルとサスペンスの長唄でした。

ご一緒される演奏家の方々は皆様鬼の形相。

それでも、幕が降りると拍手喝采なのですよね。本当にすごいです。

お唄の宮田先生。これからどなたとコンビを組まれるのでしょうか?杉浦先生?今藤政太郎師?


しかし、新年早々に芳村伊十七氏が亡くなり、次は五三郎先生か。。。

時代が変わっていくのですね。さみしいなぁ。