娘七種 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

この曲には色々な思い出があります。

子どもの頃からこの曲にはご縁がある。
よく浴衣浚いとかおつき浚いでこの曲が出て、必ず唄とか三味線・・・どちらかに並んでいたなぁ・・・。
で、唄となると・・・いつも「すずな、すずしろ、せりなずな」・・・殺人高音、血管プッチンの唄い分けに何故かいつも振り分けられる。
私は低音の美声(?)なので、本当はこの唄い分けはありがたくないのですが・・・

大皮でも、この曲はお打ち初めと、あと浴衣浚いでも打ったなぁ。
この曲の冒頭の次第。お能では物語の登場人物の出に用いるお囃子。長唄でもたぶん似た場面に使われる。けっこう、この次第で始まる曲ってありますね。勧進帳でしょ・・・竹生島でしょ・・・
大皮の師匠曰く、
同じ次第でも、登場人物が違うのだから、どの曲も一緒の次第じゃ行けない。
という事で、とくにこの曲の次第はしごかれました。
この曲の登場人物は、曽我五郎・十郎、そして何故か静御前。
五郎・十郎、特に五郎は豪傑。しかし、弁慶のような豪傑とは違います。
何故なら、五郎はおませですが、子どもです。兄の十郎も若い。
静御前・・・。彼女もけっしておばさんではありません。うら若き女性。
「この登場人物は誰だ」に始まって、違う違う攻め。良く分からなくて、女形みたいな声で掛け声を言ったら、「この曲の登場人物はオカマか!気持ち悪い!二度とやるな」
この次第だけで一日掛かってしまいました。
いやいや、子ども、でも豪傑。とか静御前みたいなキャラというのはけっこう難しいという事をあの時に感じました。

お稽古というのは、自分が注意を受けた事よりも、人が受けた注意というのは生々しく記憶しているものですね。
今度、小鼓の課題曲として選曲されて、自主トレしていますが、
あの頃の付けのメモをみて、「そういえばそういう事を言われたな」とか思い出します。
しかし、小鼓唄のところなど稽古していると、相棒のEちゃんが注意を受けていた言葉が、打ちながら聞こえてくるんですね。面白いものです。
人の稽古を見学するって大事といいますが、こういう事なのかしら?

さて、
大皮の師匠と今の師匠は流派が違います。
一般的にタブーとされますが、私の場合は師匠が亡くなっていますし、名取ではないし、再開まで十年というブランクがあるから、あまり問題視されないと・・・勝手に思っています。
しかし、前の流派と今の流派・・・親戚のような流派なので、困る頻度って、例えば金春系の流派に行っちゃうよりは少ないと思うのですが。
しかし、たまにところどころ手が違うのですね。
この曲も若干手が違うところがあります。
まあ、なんとかクリアしているんですが・・・
拍子の合方からチラシにはいるところ。あそこがかなり難物。
何しろ、お浚いでやった事のあるこの曲はバッチリ手が身についています。
それを一旦忘れて新しい手を刷り込むのですから。
でも、古いものは手癖になっているので、本当に冷静で自制しないと新しい手ではなく古い手を打ってしまいます。
そうそう、難題ですね。
前の流派は拍子が終わるとすぐに掛け声で打ち始めますが、今の流派は「怨敵」の「おん」を聞いてから掛け声でスタートします。
拍子はのりがよくて必死になってしまうので、ついつい終わると「ハヲ」といってしまいます。
この癖が抜けるまでどれくらい掛かるかしら。どうぞ28日までには抜けますように・・・
というか努力しなきゃね。

本日、休暇で集中稽古。この曲、十回くらい返しましたが、礼のところ十回のうち十回飛び出しました。重症です。