温知会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

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本日は国立劇場で開催された温知会を拝聴に出かけました。
お囃子の師匠と、三味線の元師匠もご出演と言う事で、今日と言う日をとても楽しみにしていました。
けれど、会場に着いて吃驚。三味線の師匠は休演。ショック!(涙)

温知会のメンバーは昭和の時代から大活躍している名人ばかり。
私は十代の頃からこの演奏会に時々行っている。あの頃の私には「おじさん」に見えていた皆さんですが、きっと実年齢は今の私より若かった方もいらっしゃる気がします。演奏家としてバリバリの時代をずっと拝聴していました。
そして、近年になって・・・
超ベテランの域に入られた方々。時の流れを感じます。
小手先の小細工で楽しませる芸から、じっくり味わいのある芸で心からの感動を引き出してくれる。
今の温知会というのはそんな演奏会のように思います。

本日は
『月の巻』『外記猿』『時雨西行』『傾城』『賤機帯』
の五曲でした。

『月の巻』
(唄)貴音三郎助、他
(三味線)杵屋寒玉、他
(お囃子)藤舎呂船、他
寒玉氏の力強い三味線は未だ衰えず。歯切れのよい三味線の音締に心地よい気分でした。
ワキはご子息の勘五郎氏、トメにお孫さんの廣吉氏が並んでいた。
これぞ江戸の長唄というような歯切れのよい寒玉氏の芸を代々引き継いでほしいです。
『月の巻』のように上品だけれどコミックな曲のお囃子は難しいですね。
重くなってもいけないし、軽すぎてもいけない。「明るく上品に」が目指す世界ですね。
けっこう三味線ののりに緩急があるので難しそうですね。
この曲のお囃子はお稽古した事がありますが楽しかった記憶がありますが、きっと「お稽古」だからですね。

『外記猿』
(唄)杵屋彌十郎、他
(三味線)今藤政太郎、他
珍しくお囃子を入れない演奏でした。
最初の辻内のところの上調子。今藤流の手でしょうか?とても綺麗でお洒落な手がついているなぁと思った。
この唄い手さんは淡々と唄われる方という印象。本日も淡々と唄われていた。
淡々さに引き込まれて、睡魔が襲ってきた。考えてみたら、今日はちょっと寝不足だった。
そのために、いいところを聞き逃した気がする。

『時雨西行』
(唄)岡安晃三郎、他
(三味線)松永忠五郎、他
(お囃子)望月太喜雄、他
確か、ちょっと前の演奏会で晃三郎氏は休演だった。たぶん、御病気だったのでしょうね。病み上がりで少し御痩せになった感じ。そのためか、いつものパワーが感じられなかった。
眉毛まで白くなった忠五郎氏。ダンディーさがアップ♪
遊女が文殊菩薩に変身したという下りのお囃子はカッコいい。いつ聞いてもよいものだ。

『傾城』
(唄)杵屋東成、他
(三味線)貴音抄太郎、他
題名からして、『黒髪』とかそういったメリヤス系の曲想の曲かと思ったら、意外に明るくて吃驚した。
七変化の出し物の一つ。あの『供奴』なんかと一緒に上演された。
関西の東成氏は本日の主要メンバーの中では一番若いのでしょうね。まだ渋さよりもつやつやしたはじけるような芸が目立った。
最近の長唄界を見ると、大ベテランの方々の素晴らしい芸。そして若手のピチピチした芸の間にある中堅の芸が今一つ育ちきっていないように思う。スターは別として、そのスターを支えるわき役の人たちが育たないと長唄何てつまらない。ワキや三枚目に座る中堅な人にダイヤの輝きを感じる方が少ない。長唄の将来が心配だ。
そうそう、この曲のワキ三味線を務めていた東音の村尾慎三氏は見た目は地味ですが輝きのある中堅だと思う。

『賤機帯』
(唄)杵屋喜三郎、他
(三味線)杵屋五三郎、他
(お囃子)藤舎呂船、他
いぶし銀の芸を堪能した。ゆったりとした素敵な『賤機帯』でした。
私は師匠の『賤機帯』の太鼓が一番好きだ。しかし、師匠は前の『月の巻』と『時雨西行』の演奏で終了。
望月左武郎氏の太鼓だった。左武郎氏も好きなお囃子さんの一人ですが、いやいやこの曲だけは師匠の太鼓が良かったな。というか、左武郎氏の太鼓だったら『時雨西行』が聴きたかったな。

次回は十一月だそうです。楽しみです。



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お昼ごはんを食べていなかったので、渋谷でラーメンの誘惑に負けてしまいました。
旭川のラーメンはコッテリしているんですね。美味しかった♪