東日本大震災復興支援長唄演奏会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

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昨日は、文化藝術振興協会主催の長唄演奏会が日本橋三越で開催された。
収益を震災で被害にあった福島県相馬市の教育委員会に寄付するそうだ。よい取組だと思う。
知人が、この演奏会に出演しているという事で夜勤明けの眠い目をこすって行ってきました。

第一部は『花見踊』と『越後獅子』。所謂プロの演奏家ではないお名取さんなど大勢のプログラムでした。
お囃子も華やかに大勢。『花見踊』は望月流。『越後獅子』は藤舎流でした。
そうとう舞台上が乾燥しているらしく小鼓はパスパスでしたね。お気の毒に。
いやいや、お囃子や三味線の方で正座が難しいために椅子で参加している方がいましたが、あれはいかがなものかと思いました。特にお囃子さん。椅子に座っちゃうと身長や体型によってすっぽり後ろの地方さんを隠しちゃう恐れがあります。いやいや、隠していましたよ。私の知人は三味線で前列に座っていましたが、前のお囃子さんが椅子に座っていたので、客席から頭しか見えなかった。
人間国宝のお二人は山台に穴を開けて椅子に座って演奏していますね。あれは人間国宝だからだと思います。
あのお二人がメインだからいいのです。でも、遠慮して穴を掘って、いかにも正座しているように工夫しているじゃないですか。大勢の出し物というのはみんながメインの舞台。人に迷惑かけちゃいけないよなぁ。
邦楽をやる人は膝を大切に。昔だったら、正座ができなくなったら引退なのですから。
私もメタボなので気を付けなくちゃ。
『越後獅子』の太鼓。太鼓地は一杯でした。一杯なのに洒落手を入れるのはあまり好ましい事ではないと思った。
『越後獅子』の太鼓地は大返しするので二杯ある。二度同じことをやるのはバカみたいなので、二杯目に洒落手を入れる。二回あるものが一回しかない時は一回目の基本の手を打つ方がよいと私は思う。
まあ、人の事だから言えるのですが。確かに、洒落手はカッコいいけれど、基本の手をしっかり打つ方が何倍もカッコいい。小手先のカッコよさに騙されちゃいけないよ。

第二部はプロの演奏家の方々の演奏でした。中堅の華々しいメンバー。オールスターという感じです。
『操り三番叟』
(唄)東音 大森多津子、他
(三味線)東音 岩田喜美子、他
(囃子)望月朴清、他
三番叟ものはとにかくお囃子がカッコいい。朴清氏は歌舞伎のお囃子方さんだけあって勉強になりました。
鈴の段の鈴地の掛け声。目から鱗で勉強になりました。

『角兵衛』
(唄)杵屋伊十衛、他
(三味線)日吉小暎、他
(蔭囃子)藤舎呂英、他
女流長唄演奏家のトップを歩む方々の演奏でした。蔭囃子だったのでちょっと残念でした。
粋で良い曲です。ついこの間、締め太鼓のお稽古の課題曲だったので御簾から聞こえるお囃子を耳ダンボで拝聴していました。
投げ節あたりで・・・夜勤明けの睡魔が!肝心要の四丁目の部分を聴き損ないました。

『楠公』
(唄)杵屋直吉、他
(三味線)杵屋佐吉、他
(囃子)望月朴清
直吉氏の唄に酔いしれ、小間蔵氏の美声に心打たれた素敵な演奏だった。
杵屋佐吉氏の三味線は淡々としているのに説得力のある音締だ。
『楠公』のお囃子。面白そうでいいなぁ。いつかお稽古したいなぁ。
楠木正成と正行との別れのシーン。つまり桜井の別れ。湊川の戦い敗れた正成は「帝のために、お前は身命を惜しみ、忠義の心を失わず、一族朗党一人でも生き残るようにして、いつの日か必ず朝敵を滅せ」と十一歳の正行に帝から拝領した菊水の紋の入った短刀を託して今生の別れのシーンである。あの部分は本当に泣ける。
後半の佐吉氏の大薩摩は派手ではないのですが聴き応えがあった。
紅一点で大皮を太左衛氏が演奏していた。小さな体にどこにそんなパワーがあるのだろうか。彼女の舞台を見るたびに思う。男性に混じっていても全くパワーは負けていない。カッコいいです。

『忍び車』
(唄)杵屋勝四郎、他
(三味線)杵屋勝三郎、他
この曲にはお囃子が入らない。つまり「聴かせる長唄」である。夜勤明けの睡魔・・・絶対に眠くなると覚悟して拝聴した。ところが杵屋勝四郎ワールドにすっかりはまった。
睡魔を撃退する彼の歌唱力は素晴らしいと思った。

『鷺娘』
(唄)今藤尚之、他
(三味線)今藤長十郎、他
(囃子)藤舎呂英、他
いつも歌舞伎などで活躍している今藤流の演奏家を従えてカッコいい演奏を聴かせてくれる今藤流のお家元。
今回も素晴らしい輝きを放っていた。
三味線弾きの家に生まれたのではなくて、三味線弾きになるべくしてこの世に生まれてきたのだろうなぁ。いつも彼女を見て思う。後半の地獄の責めの合方・・・よかった。
この舞台も紅一点で藤舎千穂氏が大皮を打たれていた。銀河鉄道999のメーテルに雰囲気がよく似ている。スラッと涼しげな彼女なのに、こうして男性に囲まれていてもか弱さをぜんぜん感じさせないのが不思議でならない。
太左衛氏が太陽の輝きなら、千穂氏は月の輝きという感じだなぁ。月の輝きは人を狂わせるほどのパワーがある。
対象的なお二人の女流演奏家の先生方。どちらも私の目標であります。



考えたら、帰宅して仮眠前に朝食を食べて以来何も食べていない。
お腹ペコペコ。
いつもの私なら、渋谷あたりでラーメンにドボンなのですが、
『相棒』の最終回。走りました。
前半はワンセグで拝見。電波状況が悪くなると画面が止まる。イライラしながら拝見。
及川君の後任は誰なのか。。。謎のままだ。