桜満開の季節。
四谷から紀尾井ホールに向かう外堀の土手の桜も華々しく咲き乱れていました。
さて、本日は紀尾井ホールで長唄「稀音会」がありました。
研精会の女流の長唄演奏家の方々の演奏会です。
本日は五曲。初めて耳にする長唄もあり、桜の季節に相応しく和の音色を楽しんで参りました。
『娘道成寺』
唄 稀音家六寿美・稀音家六茂江・稀音家六城遊
・稀音家六江見・稀音家六茂美
三味線 稀音家七重・稀音家康花乃・稀音家佐十世
・稀音家麻里子・稀音家三保
笛 福原徹
小鼓 望月太喜右衛門・藤舎呂裕
大鼓 中井一夫
太鼓 藤舎呂雪
踊りの会ではお馴染みの曲ですが、素の演奏会で拝聴するのは久しぶりの演奏です。
また、女性の演奏で聴くのは本当に久しぶりです。
踊りの演奏の場合、演奏者は桜の裃を付けて正面もので演奏します。そういった視覚的要素もあるので、とっても華やかな印象が強い曲です。
けれど、本日の演奏はしっとりとした落ち着きを感じるよう演奏でした。
同じ曲なんですけれど、舞踊会と演奏会の違いもあるだろうし、男性と女性の違いもあるだろうし、流派的な個性もあるだろうし、またまた、奏者の個性もありますので、毎回毎回、新鮮な気持ちで鑑賞する事ができます。
『力』
唄 稀音家康花・稀音家廣
三味線 稀音家六聖葉・稀音家康生
初めて耳にする曲です。家に帰ってどんな題材の曲なのか、どなたの作曲なのか調べたけれど分かりませんでした。
ううん?
『蜘蛛の拍子舞』の「わが身の上ぞー」の下りと同じ歌詞があったけれど、土蜘蛛関係の曲なのかな?
曲の概要が分かるともっと楽しめたのになぁ・・・
短い曲だったので、良く分からないまま幕が下りちゃいました。
機会あったら、概要を調べてみよう。
『瓢箪鯰』
唄 稀音家康寿・稀音家六里志
三味線 稀音家一宣・稀音家六節治
大変くだけたイメージのある曲ですが、今日は大変上品な演奏でした。
歌詞が大変楽しい。
あまり生でこの曲は聴いた事がないのですが、最初に聞いたイメージがこの曲のイメージになるじゃないですか。
そのイメージとはちょっと違ったけれど、またまた新鮮に聴くことができました。
『軒端の松』
唄 稀音家六城遊・稀音家六里志・稀音家康寿
三味線 稀音家六四竹・稀音家六裕城・稀音家佐千世
お酒の宣伝曲、いやいや違うという論評を聞いた事がありますが、私的にはお酒の宣伝曲というイメージの強い曲です。
とても綺麗な曲ですよね。
CMというと、現世では派手な音楽・ガチャガチャ・・・大変賑々しく、視覚的にも聴覚的にもすごい刺激の大きいものに感じますが、昔のCMというのは穏やかで上品ですね。
『蜘蛛の拍子舞』
唄 稀音家廣・稀音家六茂美・稀音家康花・稀音家六茂江
・稀音家六寿美
三味線 稀音家康・稀音家七重・稀音家康美・稀音家康花乃・稀音家薫
笛 福原徹
小鼓 望月太喜右衛門・藤舎呂裕
大鼓 中井一夫
太鼓 藤舎呂雪
私的にメインの曲でした。この曲が聴きたくて♪
「今日の玉はどんな感じだろう」
ワクワクドキドキ。楽しみにしていました。
本日は幕開きから吃驚仰天でした。
たぶん、幕内から“中の舞”を演奏しながら幕が開くというのが多いと思うのですが、今日は暗転で三味線・笛・大太鼓で“中の舞”が演奏されて曲が始まりました。
イメージ的にノリノリで曲が始まる。。。
しかし、今日はノリがゆっくりで、何か非常に怪しげという感じで曲が始まりました。
またまた、吃驚が期待の玉でした。
こういう玉もあるんですね。←としか表現できない。
玉というと曲弾きというイメージがあって、技の見せ所という印象が大変強いです。
しかし、今日の玉は一つの玉が終わると付け直してという感じで、行け行け感がなくて。。。こういう伴奏もあるんだなぁ(感動♪)と大変勉強になりました。
研精会の演奏会。。。実はあまり馴染みのない演奏会なんです。
ですから、今日はとっても新鮮なものに出会った感じがします。
いかに自分が固定観念に縛られて、いつも長唄を鑑賞しているか痛感しました。
様々流派の演奏を聴くって大切だなぁと思いました。