
小鼓という楽器は、能のお囃子や歌舞伎・舞踊などのお囃子、お祭のお囃子に用いられる楽器です。
私のやっているのは、長唄などのお囃子・・・つまり、舞踊などの伴奏に用いるお囃子ですね。
真ん中の砂時計のような形をしたものが胴。胴は桜を素材としています。漆が塗られ、美しい蒔絵が施されています。その為、楽器としてだけではなく、美術品としても価値あるものらしいです。
両面の皮は、素材は馬です。腹児(つまり胎児)の皮が最高級と言われていますが、今はなかなかそういった皮は無いようです。
小鼓の皮は、演奏の際に湿気を与え、皮に潤いを持たせないと音が鳴りません。また、新しい皮というのは、弾力性が乏しくて、湿気を与えても砂漠に水と言う感じで音が出ないのですよ。
だいたい、演奏会などで用いられるものは、百年近く打ち込まれたもの。諸先輩方の汗と努力の賜物として、良い音を響かせてくれています。
良く「小鼓の皮って破れるの?」と聞かれますが、もちろん何かの拍子で破れてしまいます。
さて、二つの皮をつないでいるのは、調べという麻の紐です。
二つの皮をつないでいるのが、たて調べ。そして、両皮のちょうど中ほど近くを横にクルクルと結んであるのが横調べです。
この調べの張力の加減で音の調整がされています。
グッと握れば高い音。ゆるく握れば低い音がでます。
小鼓は、唄う打楽器。色々な音色を楽しめる・・・私はここに魅力を感じています。
さて、小鼓の起源はインドにあるのだそうです。
そうそう、インドの楽器でダルムとか、非常に小鼓に似た形態のものがありますね。
インドの打楽器“dudubhi”というのが、“小鼓”の語源という説があります。
肩に担いでというのは、日本特有の奏法のようですが、シルクロードを通り日本に渡ってきた楽器なんですね。
アフリカにも、似たような楽器がありますが。。。さてさて、インドとどちらが先に誕生したのか?
私の記憶では、インドが中心となって、それぞれ発展したと記憶しているんですが・・・・。
冬というのは、乾燥の季節です。
という事で、乾燥した環境を嫌う小鼓にとっては厳しい季節です。
冬が過ぎて、これからは小鼓にとって嬉しい季節です。
新しい小鼓は梅雨の季節に打ち込むと良いそうなんですが、家の小鼓はけっこうへたれの皮なので、高湿度の環境でも、鳴らなくなってしまいます。
本当に、小鼓は良く言えば繊細な楽器です。(本当に我がまま・・・とも言えます)
けれど、その繊細さが魅力かも。
「今日の調子はどう?」
「まあまあかな♪」
こんな感じに、楽器と会話しながら楽しめるからです。
最近、小鼓を始められた方。
音が出なくて・・・ガックシ・・・とは言わずに、楽器と会話してみてください。
きっと楽器が、どうしたら音を響かしてくれるか教えてくれるはずです。
