温知会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

本日は“温知会”に行ってきました。
温知会は、超流派で名人クラスの方々がご出演の演奏会でこれ以上にないくらいに贅沢な演奏会です。
今回で201回目の会。。。凄い!
そうそう、確かに古い演奏会で、本当に子どもの頃から何回も行っている演奏会です。
最近は行きたいと思ってもなかなか日程が合わなくて。。。涙を呑んでいたのですが。
久々の“温知会”でワクワクでした。

それにしても、年月が経っているんですね。
前回、温知会に出かけたのは、まだ看護学生の頃でしたから・・・。
ご出演の皆様。当時は『華々しい』という形容詞がピッタリの演奏でしたが、今は『華々しい』時代を超越して、『味わい深い』という形容詞がピッタリという演奏でした。
ですから、感動度がとっても深いのですよね。
本当に今日は大変素晴らしい演奏ばかりで興奮しています。

本日の演目は(敬称略)

『廓丹前』
唄   杵屋巳紗鳳・杵屋巳津也・今藤政之祐・杵屋巳之助
三味線 松永忠五郎・松永忠一郎・松永和寿三郎・松永忠史朗
笛   鳳声晴郷
小鼓  望月朴清・望月左太郎
大鼓  中井一夫
太鼓  藤舎華鳳

1857年、二世杵屋勝三郎の作曲の曲です。
丹前ものの長唄の代表作です。
そうそう、昨日から太鼓のお稽古をさせて頂いている曲です。
さすがに廓と付くだけあって、粋で艶っぽくて華やかな曲。
この曲。あまり生で聴いた事がないのですが、改めて聴くと本当に素敵な曲ですね。こういったメリハリがきっちりしている曲って聴いていても飽きないから好きです。
そうそう、小鼓でお稽古していた頃は、小鼓の入っていない部分はカットして聴いていたので、気が付かなかったですが、あの“追廻”みたいな合方の後の「やあしめろ、やれ、〆て寝た夜は~」の部分って、いい感じですね。
江戸前という感じで「いいなぁ」と本日改めて聞き入ってしまいました。

『傀儡師』
唄   杵屋喜三郎・杵屋直吉・杵屋君三郎
三味線 今藤政太郎・今藤美治郎・今藤政十郎

1829年、四世杵屋三郎助(十世杵屋六左衛門)の作曲。
傀儡師というのは、大道芸人の芸の一つです。
首から小箱を下げていて、その箱から人形を取り出して操って人々に見せるといった商売をしていた人々の事です。
江戸の大道芸人を題材にした長唄って、けっこうありますよね。
「外記猿」は猿回し、「越後獅子」は越後獅子でしょ・・・。
江戸には色々なアーティストが存在していて、けっこう楽しそう。
さて、この曲や「外記猿」・「石橋」は江戸浄瑠璃の外記節の復興を目指してつくられた“外記節もの”なのだそうです。
外記節とは、貞享の頃(1684~1687年)に薩摩外記藤原直政が語ったものだそうです。
会場で頂くパンフレット。熟読するとけっこうお勉強になるものです。
何回か演奏会で『傀儡師』は聴いているんですけれど、あまり印象にない曲です。けっこう楽しい曲なんですが。。。
この曲の本当の華々しさを感じるにはまだまだ感性の磨きが足らないように思います。

『英執着獅子』
唄   岡安晃三郎・西垣和彦・杵屋巳之助・木田岳男
三味線 稀音家六治・杵屋五三助・稀音家六公郎・松永忠一郎
笛   中川善雄
小鼓  藤舎呂船・藤舎呂凰
大鼓  中井一夫
太鼓  藤舎呂雪

1754年、杵屋弥三郎作曲の曲です。
とっても古い曲ですよね。
先日、お稽古で終了した曲です。
お家元の演奏・・・特に一調の所がどんな感じなのか楽しみにしていました。
うーん。。。さすがです。
味わいがあって・・・昨日今日はじめた私には真似のできない一調でした。
一調は演奏者によって、色々な表現や味わいがあるので、一調のある曲は本当に楽しみです。
本日の演奏は“下り端”入りでした。
私もお稽古で“下り端”入りで勉強しましたが、“下り端”入りの演奏を聴いたのははじめてです。
『執着獅子』の下り端は途中にトリという手が入っていて、あの部分が難しくて理解できなかった私です。
本日の演奏を聴いて、改めてあんな感じなんだと勉強させて頂きました。
この『英執着獅子』は『鏡獅子』に似ているんですけれど、さすがに古い曲だけあって、静かなる華々しさを感じる曲です。

『巽八景』
唄   杵屋彌十郎・杵屋君三郎
三味線 杵屋寒玉・杵屋勘五郎

1838年、十世杵屋六左衛門作曲。
良く巽芸者とか言いますが、これは深川の芸者さんの事です。
吉原を中心に東南。。。つまり辰巳の方角に存在するのでそういわれたそうです。
この曲は深川遊里を背景とした、大変粋な曲です。
小またが切れ上がった粋な雰囲気の演奏でした。
二挺二枚の舞台面は淋しい感じですが、ぜんぜんそんな感じがしないのがとっても不思議でした。

『安達ヶ原』
唄   宮田哲男・福田克也・野口悦至・木田岳男・西垣和彦
三味線 杵屋五三郎・杵屋五三助・杵屋五七郎・杵屋五丈

    ・杵屋五辰郎
笛   福原徹彦
小鼓  望月太喜雄・望月左太郎
大鼓  望月左武郎
太鼓  藤舎呂雪

1870年、二世杵屋勝三郎作曲の曲です。
謡曲の『黒塚』に節をつけたものだそうです。
山姥のお話。
純演奏会用の長唄なのだそうですが、芝居掛かっていて大変面白くて分かりやすい曲だと思います。
後半は大変迫力があって素敵です。
大好きな“早笛”。本当に鳥肌が立つくらい大好きです。
大トリの曲だけあって聴き応えありました。


さてさて、相変わらず咳が止まらない今日この頃。
喘息という事で、今日みたいなお天気は超きつい感じ。
劇場というのは空調が曲者ですよね。
なるべく咳き込まないようにしていたんですが。。。出ちゃうのですよね。
演奏者の方々に本当に申し訳ない感じでした。
咳を我慢していたら、だんだん冷や汗が出てきちゃって・・・
超苦しかったです。そして、根性なしの私はついついコホコホとしちゃって。。。
ああ、せっかく名演奏なのに。。。
咳のせいで集中できなかった。
この咳を止める特効薬ってないのかな。。。