昨日は、藤舎流お家元主催の演奏会に行って着ました。
お囃子方主催の演奏会はほとんどが長唄中心の演奏会なのですが、この会はたまに清元が入ったり、常磐津が入ったりと楽しい。今年は清元でした。
<プログラム>
清元『四季三葉草』
<浄瑠璃>
清元美寿大夫・清元志寿子大夫・清元一大夫
<三味線>
清元美治郎・清元栄吉・清元美三郎
<笛>中川善雄<小鼓>藤舎呂船・中村寿慶<大皮>中井一夫<太鼓>藤舎呂雪
息の入った、手に汗握る演奏でした。
けれど、とっても上品で穏やかな曲想なのですよね。内面パワーで圧倒という感じでしょうか。
「式三番叟」を「四季三葉草」と当て字にしているんですよね。四季の花を読み込んでいて美しい歌詞なんですよね。天保九年に二世清元延寿太夫らが開曲。作詞は三升屋二三次・作曲二世清元斎兵衛だそうです。
私は三味線の清元美治郎氏が大好きなんですね。今日という日が楽しみでしかたがなかったのですが・・・超満足。清元っていいなぁと思いました。
清元の方々の演奏とお囃子の演奏のバランスがとても素晴らしかったです。
お家元の打ち方をじっくり観察。打つ手が脱力していて・・・まるでムチが如しの動きなのですね。あんなに力が抜けているのに芯のある心をえぐる音が出るのがとっても不思議です。
本日、鏡の前で真似っ子しましたが・・・なかなか、難しいものです。
長唄『浦島』
<唄>
杵屋利光・杵屋正一郎・杵屋利次郎
<三味線>
杵屋栄八郎・杵屋弥太郎・杵屋弥宏次
<笛>藤舎理生<小鼓>藤舎呂英・中川秀亮<大皮>藤舎花帆<太鼓>藤舎悦芳
利光氏の唄声は本当に素晴らしい。
いやいや、中川秀亮氏の使用していた小鼓は素晴らしい楽器ですね。とっても深い音色で感動してしまいました。
彼は名生氏のご子息ですよね。ずっと昔に、厳島か何かでお父様のリサイタルに出演。あの天才少年がこんなに大きくなって吃驚です。(と、彼の事を書く時はいつも同じ事を書いちゃいます)
若い方々が集うと、どうも体育会系になりがちなのですが、
本日の『浦島』は上品に纏まっていました。
この曲の太鼓は難しそうですね。特に龍神が・・・『新曲浦島』より難しいように思いました。
長唄『猿舞』
<唄>
松永忠次郎・今藤政之祐・杵屋利次郎
<三味線>
松永忠一郎・杵屋佐助・杵屋弥太郎
<笛>藤舎推峰<小鼓>藤舎清成・藤舎朱音<大皮>藤舎千穂<太鼓>藤舎呂凰
この曲は1819年(文政二年)十一月河原崎座の顔見世狂言『奴江戸花槍』というお芝居の一部で用いられたものだそうです。七世市川団十郎が此下兵吉役を演じた。奴姿の此下兵吉が主の松下の屋敷で奴を相手に立ち回りをする場面に用いたそうです。此下兵吉=木下藤吉郎は猿と呼ばれていましたね。よってこの題名も別名『猿面冠者』と呼ばれていたようです。
作曲は四世杵屋六三郎、作詞は二世瀬川如皐。
芝居っぽい曲想なのにちょっと地味なイメージがありました。
お囃子は楽しそうなんですが・・・。
でも、こういうマニアックな曲はのりとか付きどころが難しいですよね。卒なく演奏家の先生方はすごいなぁと思いました。
長唄『常磐の庭』
<唄>
杵屋勝四郎・杵屋正一郎・杵屋喜太郎・杵屋佐喜
<三味線>
稀音家祐介・杵屋弥宏次・松永和寿三郎・杵屋佐助
<笛>藤舎貴生<小鼓>藤舎円秀・藤舎呂裕<大皮>藤舎清鷹<太鼓>藤舎清之
とっても綺麗にまとめられていましたね。三味線と唄とお囃子のバランスが良かったです。
でも、やっぱり神舞以降・・・三味線が聞き取り難い。
お囃子のボリュームって難しいのですよね。
祐介氏の三味線はちょっと雰囲気が変わった気がします。それも良い方向に。それが素晴らしいです。
長唄『黒髪』
<唄>
杵屋直吉
<三味線>
杵屋五三助・松永和寿三郎
<笛>藤舎名生
三味線の師匠・・・本当に素晴らしい、師匠らしい演奏でした。
名生氏も抑えに抑えた笛。黒髪の内容に適した素晴らしい演奏。拍手喝采でした。
長唄『紅葉狩』
<唄>
今藤政貴・今藤政之祐・杵屋喜太郎・杵屋佐喜
<三味線>
今藤美治郎・杵屋栄八郎・松永忠一郎・柏要二郎
<笛>藤舎正生<小鼓>藤舎華鳳・藤舎呂裕<大皮>中村寿慶<太鼓>藤舎千穂
この曲は1776年(安永五年)七月に森田座にて『桔梗染女占』という狂言の所作事として誕生。
作詞は不明。作曲は初世杵屋正次郎。
能の『紅葉狩』から歌詞をいただいているようです。芝居っぽい作品でした。
いやいや、どれもよい曲で素晴らしい演奏会だったのですが、、、
最初の清元の出し物があまりにもインパクトが強くて、ほかの長唄がどれも地味に聴こえてしまいました。
やっぱり、あの演目はオオトリにして欲しかったな・・・。