狐の化身??? | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

昨日ご紹介した福原流の「汐汲」の附けに面白い小話がもう一つありました。

以前、本HPのfuyusun'sワールドの邦楽のページで「汐汲」 を取上げた事がありました。
この記事を書いた時、私ははじめてあの踊りの主人公がこの世のものではない事を知りました。
・・・つまり幽霊・・・
でも、今回もっと仰天情報を得てしまいました。
実はこの主人公は狐が化けたという設定なのだそうです。
・・・というか色々な演出がありますので、ただのお化けという時もあるんでしょうか。。。

私はこの曲のお稽古をした事がないので良く知らなかったのですが、この曲の後半。。。そうでかね歌詞でいうと「誓文真実つま折り傘と言われたら~♪」この部分にお囃子で早来序という手が入っています。
(福原の手附けには「早来序」と書いてありますが、望月流の附帳にも、私が持っている堅田流の附帳にも手は「早来序」なんですけれど、「早来序」と書いていなかったので今まで気が付きませんでした)
「来序」や「早来序」は主人公が狐の時に出てくる手です。
長唄の小鍛冶などはとてもいい例であります。

「汐汲」は1811年に「七枚続花姿絵(しちまいつづきはなのすがたえ)」という七変化舞踊として三代目坂東三津五郎によって初演されました。そして、1823年にまた三代目坂東三津五郎によって再演されました。この再演時に三津五郎はこの主人公を狐の化身という設定で踊ったそうです。
ということで、狐を現す手附けが付けられているのですね。
この曲の最初は「翔り」というお囃子の手でスタートします。「翔り」というのもこの世のならないものの登場に使用されます。
この舞踊の主人公が例え幽霊でも、別に「翔り」があって不思議ではありません。けれど、後半に「早来序」があるという事は狐さんなんですね。

「鶴亀」という長唄の初めの方に「来序」という手が付けられています。普通「来序」は狐関連の手なんですけれど。。。この「鶴亀」は宮廷のお話で狐とは関係ないはずなんですけれど。
時々、こういったどうしてこの手が付いているんだろうと疑問に思う事があります。
それなりに理由があると思うのですが。。。こういった小話を私はとっても知りたいです。