飛翔会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

昨日は日本橋劇場で「飛翔会」というお囃子方さん方の勉強会のような演奏会がありました。
今回19回目。。。噂によると今年最後と言う事らしいですが、結構お囃子さん主催の演奏会って少ないから寂しいな。

六時開演で六曲の演奏でした。
「高砂丹前」
唄   芳村金四郎氏・他
三味線 杵屋正園氏・他
小鼓  望月左之助氏・堅田昌宏氏
大皮  梅屋雅一氏
太鼓  望月太津之氏
笛   鳳声 喜三雄氏
というメンバーでの演奏でした。
唄の芳村金四郎氏は、大好き演奏家さんベスト5に入る方です。ですから、プログラムを頂いた時からとっても楽しみにしていました。
けれど。。。昨日はちょっと声の調子が悪かったようで、ちょっと残念でした。
日本橋劇場って音響があまり良くないのですが、そのせいなのかも知れません。
お稽古の時に藤舎流(私のお稽古しているご流儀)と望月流では手が違うというお話を伺っていたので、思わずチェックしちゃいました。ウンウン。。。やっぱり違っていました。
太鼓も違うらしいのですが、太鼓は良く分からないので分かりませんでしたが・・・。
小鼓をされた左之助氏は、以前お稽古していた長唄のお家のお浚い会に良くいらっしゃっていた方で、直接面識はありませんが御馴染みの方なんです。
太鼓の打つ姿が流麗で素敵という印象のある演奏家さんです。当時は若手演奏家さんでしたが、今ではすっかり中堅の貫禄という感じ!
先日の国立劇場での演奏会でもご出演。十数年振りに左之助氏の舞台姿を拝見したのですが、「別人???」という感じでした。やっぱり、十数年の時の流れって凄いですね。

さて、今回はお囃子主催の演奏会ということで最初の次第をお能の「高砂」にならって本式にやっていらっしゃいました。・・・確か「三段返し」とナレーションの方が仰っていたと思うのですが・・・。長唄の演奏会での次第って超カットバージョンなんですよね。
でも、私的には「高砂丹前」にあの本式次第は似合わない感じでした。
うーん。。。これが「竹生島」とか「勧進帳」とかならマッチしていたかも知れませんが。
というのは、「高砂丹前」って丹前物で色物の曲なんですよね。主人公は奴さんに腰元で派手で色っぽく元気な曲という印象なんですよね。
あの次第を持ってきちゃうと非常に重たく成っちゃって、華々しさに欠けちゃう感じでした。
お囃子主催の演奏会で、本当の次第ってこんな感じと言う事を表現したかったのかも知れないですが、それならそれで曲目を変えればいいのに。。。なんて生意気に思っちゃいました。
演奏自体は良かったのですが、私の中ではちょっと不評。

「風流船揃」
唄   杵屋三左衛門氏、他
三味線 杵屋弥四郎氏、他
小鼓  川島祐介氏、望月 潤氏
大皮  望月左吉氏
太鼓  望月正浩氏
笛   福原徹彦氏

全体的にまとまった演奏でした。けれど何か調味料が。。。そうだもう一摘みお塩を足せば味が引き締まるのに。そんな感想でした。
大皮の左吉氏。私はこの方の御父様の大皮が好きでした。
十数年前は、御父様が左吉を名乗られていたのですが。。。彼がその名前を継いだという事は。。。。なのかな?
以前はそんなに感じなかったのですが、大皮の打ち方が御父様そっくりになられていて吃驚です。やっぱり蛙の子は蛙なんですね。
この曲は太鼓の細バチが活躍する曲。細バチって粋で大好きです。けれど、「粋」に表現するって難しいのですね。
つくづく「粋」の表現を考えさせられました。

「勝三郎連獅子」
唄   東音 渡辺雅弘氏、他
三味線 今藤美治郎氏、他
小鼓  望月左之丸氏、堅田昌宏
大皮  望月左京
太鼓  福原賢太郎

今日の演奏曲の中ではインパクトが強いためか一番印象的でした。
この曲の小鼓の打ち合わせの所って大好きです。その前に唄の聴かせどころがあるんですけれどここの部分がとっても好きです。
「牡丹の~♪」この唄いだしの所が大好きです。
ずっと昔の演奏家さんですが、芳村五郎治師という方がいらっしゃって、この方のここの唄い方が一番好きです。
たぶんご流儀の違いで仕方がない事なんでしょうけれど、五郎治師のような素敵な唄い方をされる方に出会わないです。今日も素敵な歌声の方でしたけれど。。。普通でした。

獅子物というと乱序・狂い見せ所ですよね。
今日の乱序はメンバーがさすがに若いせいかパワフルでした。ベテランの方はパワープラスαがあるのですが、この行け行けのパワフルさも良いものです。
私も去年の夏にお浚いで「鏡獅子」の乱序やりましたけれど、私はパワー不足で。。。今日の演奏者のようにパワーで行け行けに演奏できるようになりたいです。
プロの方は、やはりペース配分が上手なんでしょうね。
「ここ」というパワーを最大限に持っていけるようにパワーの蓄積をしているんでしょうね。

「賤機帯」 
唄   杵屋祟光氏、他
三味線 稀音家祐介氏、他
小鼓  望月左喜三郎氏、望月 潤氏
大皮  梅屋小三郎氏
太鼓  望月太喜之丞氏
笛   福原 寛氏

祟光氏の歌声は相変わらず素敵でした。やや、こぶしが回る唄い方でそこが嫌いという方もいらっしゃいますが、声自体はとても素敵だと思います。
また、三味線の祐介氏も相変わらず素敵な音締でした。
私的にはベストメンバーの地方さんでした。
そうそう、タテ小鼓の左喜三郎氏。いつもは大皮というイメージがあるのですが、今日初めて小鼓を打つ姿を拝見しました。
福原寛氏の笛ってけっこう中堅メンバーのお笛方さんの中では素敵な音色を聞かせて下さる方です。今日の「賤機帯」のお笛も聴かせて下さいました。
この曲、けっこう好きなんですがお囃子難しそうです。
いつかこんな曲のお稽古を付けていただきたいなぁ。。。
でも、最初のところは超難しそうでまだまだ私の技量では表現できないように思います。

「橋弁慶」
唄   杵屋君三郎氏、他
三味線 杵屋新右衛門氏、他
小鼓  望月太意三郎氏、望月左京氏
大鼓  福原鶴十郎氏 
笛   福原 寛氏

この曲は芝居がかっていて大好き♪
弁慶と牛若丸が五条の橋で大殺陣のところが特に好きです。
大皮の鶴十郎氏が迫力あって良かったかな?!
またまた、以前に先代の杵屋弥十郎氏の唄で「橋弁慶」を聴いた事があります。あの方の「橋弁慶」は表現力豊かで私の中でのナンバーワンの演奏なんですけれど、今日の君三郎氏の唄もけっこう表現力があって良かったです。

「傾城道成寺」
唄   杵屋直吉氏、他
三味線 杵屋六三郎氏、他
小鼓  望月太喜右衛門氏、望月左之丸氏
大皮  望月左喜蔵氏
太鼓  堅田新十郎氏
笛   鳳声晴之氏

いよいよ、今日のメインディッシュです。
「待ってました!」と声を掛けたくなっちゃいました。
今日は夜勤明けで行った演奏会だったので、初めは勢いで演奏を聴いていましたが、だんだんウトウトとしてきちゃって。。。集中力を欠いていたのですが、やっとメインディッシュに行きつけました。
「傾城道成寺」は数ある道成寺ものの一つです。
題名は聞いた事ありましたが、演奏は初めて聴きました。
タテ三味線の六三郎氏が譜を見て演奏していたので、たぶんあまり出ない曲なんでしょうね。
一般に御馴染みの「京鹿の子娘道成寺」はとっても華やかな曲ですけれど、この「傾城道成寺」はとってもワビ・サビという印象の曲でした。
「花のほかにはまつばかり~♪」
「娘道成寺」ではこの部分は唄オンリーで謡い掛りで唄うのですが、この「傾城道成寺」では三味線付きでした。
う~ん面白い!
乱拍子の所も面白かったです。
私の中の常識だと、乱拍子が入ったらそのまま急の舞にという固定観念があるんですけれど。。。この「傾城道成寺」は乱拍子の後に三味線が入って、それから急の舞という感じでした。
とっても新鮮!素敵!
と大満足のうちに幕が降りました。
堅田新十郎氏は人間国宝の堅田喜三久氏の息子さんです。
だんだん御父様の太鼓の打ち方に似てきた気がするのは私だけかな?ここでも、やっぱり蛙の子は蛙と思いました。

けっこう夕方に六曲ってお腹にはきついスケジュールです。
六時開演でご飯食べて入るには早過ぎるし。。。けれど、終演は九時過ぎて、もうお腹と背中がくっ付いちゃうくらいに空腹になっちゃいました。
でもね、終演後に友人と食事に行ったのですが「飲み」になってしまったので。。。私はお酒が入ってしまうとあまり物を食べなくなります。超不健康な飲み方なんですよね。
結局、帰りにコンビニに寄って焼きうどんを買って家で食べました。
夜勤明けだったので、朝十一時にブランチを食べてそれからお昼寝して、それから仕度して出てきたので、本当に演奏会中もお腹の虫が騒いでいました。