長唄の段切れ・・・曲の最後は、大概「チャン」と二の糸の開放弦を混ぜた音で締め括ります。
この二の糸の開放弦の音を宮音というそうです。
十何年前。。。人間国宝の宝山左衛門師がまだ福原百之助を名乗られていた時代に、山左衛門師が書かれた「汐汲」のお囃子の付帳を購入した事があります。
福原流というとお笛の流派というイメージが強いですが、福原流は打楽器の流派でもあります。山左衛門師もデビューして二十年くらいは打楽器の奏者だったそうです。
この「汐汲」の付帳は非常に面白いもので、打楽器のパートだけじゃなくてお笛の附けも書いてあるんです。
この附帳、あまりにも細かすぎてメモ帳的附けに慣れ親しんでいる私には非常に読み難いものなんですけれど、芸談のような事も書いてあって非常に面白い読み物です。
さて、この本の芸談みたいな記事に「宮音」という言葉について語られていました。
長く長唄に携わっていますが、「宮音」という言葉に初めて出会いました。
江戸時代の人はこの「宮音」を非常に大切にしたそうです。
ということで、現在はこの段切れの「チャン」という音に合わせて、合いカシラという手(?)をお囃子方は打つんですけれど、その昔は「チャン」という音を観客に聞かせる為に、合いカシラを「チャン」の手前に打ったそうです。
。。。知らなかったな。。。
この「チャン」に合わせて合いカシラを打つようになったのは昭和十年代になってからだそうで、非常に新しい事です。
昔の長唄というと女性っぽい曲が多かったそうなんですけれど(。。。そうなんだ)、「勧進帳」とかそういった男っぽい曲の出現によって、この宮音に合いカシラを打ったほうが締りがいいという感じになってそう変化したようです。
この本には、能楽から歌舞伎のお囃子に変化していく過程の小話も載っていました。このお話もけっこう面白かったです。機会あったらまたブログでご紹介しますね。
十何年前に購入した本ですけれど、附けとして全然使用し辛かったので本棚の肥やしになっていたんです。
久々にこの本を見つけて、改めて読み返して発見した小話でした。
さあ、今日はとても冷たい一日でしたね。
今年は寒波の影響で寒いらしいです。
去年の今頃は湯島天神の梅が楽しめたそうなんですけれど、今年はまだ梅の花が咲いていないそうです。
ああ、早く春が来ないかしら!