
今日は国立小劇場で開催された「東音宮田哲男長唄演奏会」に行って来ました。
全六曲の演奏会でした。
では、毎度の事ですがレポを。。。(以下演奏者の敬称は略します)
「橡の木」
唄 村治祟光・皆川康・野口悦至
平尾ひろみ・林有子・和泉希代子
三味線 宮田由多加・塚原勝利・田口拓
大野有里・山本英利子・荒川知子
男女混合の演奏。男性チームと女性チームに分かれての演奏でした。
作詞は作家で有名な室生犀星氏の作詞で、山田抄太郎氏の作曲で、1952年に発表されたものです。
今まで、東音会系の演奏会でたぶん聞いた事がありますが。。。あまり私の趣味の曲ではないので印象にありませんでした。
曲としては、とても綺麗な曲です。
うーん。。。この当時は大和楽ではありませんが、洋楽ぽい旋律がたぶん流行していたんでしょうね。
唄がハモルとかそういう曲が多い気がします。
いい曲なんですけれど、どうも戦後に作られた長唄は湿っぽいというか、メロドラマっぽい旋律で私はあまり好きではありません。
これは、私の個人的な趣味の問題。私はどちらかというと、歯切れのいい曲とか勇壮な曲が好きなんで。。。
戦後に作られた曲というのは透明感があってすごっく綺麗という印象があるんですけれど、なんかねっちりしているのよね。
「三曲糸の調」
唄 宮田哲男・村治利光
三味線 杵屋五三助・赤星喜康
この曲は、「壇浦兜軍記」の阿古屋の琴責めの段がモチーフになった曲です。
けっこうこの曲好きなんですよね。
今日の三味線は、人間国宝の杵屋五三郎氏のご子息の五三助氏の演奏でした。
彼は、とても手の回る三味線演奏者なのですが、今日は緊張されていたみたいです。
唄の村治利光氏は、本当に美しい声です。
寝不足で今日の演奏会に行ったものですから、半分は睡魔の誘惑に誘われて、夢の中でこの演奏を聴いてしまいました。
はーあ、ごめんなさい。。。
半分以上聴いていませんでした。
「石橋」
唄 小山孝恵・半田昌恵・林有子・平尾ひろみ
三味線 岩田喜美子・大野有里・山本英利子・杵屋五三丸
小鼓 望月左武郎・藤舎呂裕
大皮 望月太津之
太鼓 藤舎呂雪
笛 藤舎正生
獅子物大好きな私!本日の楽しみ曲その一でした。
地方が女流という事で、ややエネルギー面が穏やかな感じでしたけれど、とてもまとまった良い演奏でした。
本日の囃子方は私にとって最高でした。
太鼓は私のお囃子の師匠。タテ小鼓は以前から大ファンの左武郎先生。笛も大ファンの中川善雄先生。目がとても忙しかったです。
「時雨西行」
唄 宮田哲男・赤木直明・西垣和彦
三味線 杵屋勝三郎・杵屋清治郎・杵屋勝国
小鼓 藤舎呂船・望月太津之
大皮 藤舎円秀
太鼓 藤舎呂雪
笛 中川善雄
この唄のメンバー・・・。
そうそう、私の大皮の初舞台でお世話になったメンバー。
皆様、お歳を召されて・・・びっくりです。
という事は私もそれだけ年輪を重ねたのですね。
まあ、そんな事はどうでも良い事なんですが。
『杵屋勝三郎』という家柄は、この曲自身もそうですが、「連獅子」とか様々な名曲を残されているお家柄です。
あまり、杵勝系の演奏会には行かないので、現在の杵屋勝三郎氏という方にはあまり馴染みがないのですが感動でした。
芸人というのは、年輪が重なる毎に芸というものが熟成されるのでしょうね。
なんの変哲もない旋律に凄い味わいがあるのです。
大薩摩も小細工無しの単純バージョンでしたけれど、聴き応えがありました。
芸というのはそうでなくてはいけないのでしょうね。
勉強になりました。
さて、この曲の演出で照明効果を使っていましたけれど。。。個人的にはあまり良い演出とは思いません。
げげっ!師匠のお顔が真っ赤か!
ちょっと吃驚です。
素敵な演奏だっただけに。。。
最近は視覚的演出を加えることが多いのですが私はどうもそういった演出は好きではないのです。
せっかく耳に入る旋律から、様々なイメージを楽しんでいるのに、そういった視覚的演出によって、強制的にイメージを修正されちゃう感じがするし、たとえイメージにあった効果であっても、そんな説明をされなくても分かっていますという気分になってしまいます。
これも、個人的な意見です。
視覚的演出大好きな方もいらっしゃるだろうし、良し悪しはなんともいえません。
「蓬莱」
唄 宮田哲男
三味線 稀音家康
笛 中川善雄
しっとりした舞台面でした。ちょっとしたお座敷を想像させる舞台面です。
金屏風もそれを意識したのか、障子風のもの。やま台も通常より低くできていました。
宮田氏も、いつもはお膝が悪いのでやま台に穴を開けて椅子に座って唄を唄っていらっしゃるのですが、やま台が低い為に正座をされていました。
短い曲。。。けれど、お膝が痛かったのではないでしょうか。
康氏の三味線。シャラシャラ系の弾き方なんですけれど、底力というものを感じました。
一調一枚とお笛という地味な舞台面を感じさせない。。。あの広い国立小劇場の舞台をたった三人だけの演奏なのに、舞台狭しと言う感じでした。
宮田氏は身体が大きいですが、そういった意味ではなく、存在感・パワーという面で舞台狭しという印象を持ちました。
「安宅勧進帳-新関-」
唄 宮田哲男・福田克也・村治利光・野口悦至・皆川康
三味線 杵屋五三郎・杵屋五三助・杵屋五平・宮田由多加
稀音家六治
小鼓 藤舎呂船・藤舎円秀・藤舎呂裕
大皮 望月左武郎
笛 中川善雄
本日のメインディッシュ!
宮田氏の迫力ある唄。やはり、宮田氏はこういった迫力系の唄が聞き応えがあって素敵だと思います。
利光氏の高音も光っていました。
五三郎氏の三味線も味わいがあって素敵でした。
さて、左武郎氏の大皮を久々に聴く事ができて、とっても満足でした。最近はタテ小鼓にまで登りついてしまったので、あまり大皮を打たれる姿を拝見していませんでした。
けれど、私は現在の大皮奏者の中で左武郎氏の大皮が一番好きなんです。
とってもメリハリあって、ノリノリになるとエキサイトしてとても分かりやすい大皮を打って下さるのですよね。
本日はたまたま、まん前で演奏されたので左武郎氏の大皮に釘付けになってしまいました。
さてさて、国立劇場の客席って本当に空気悪いですよね。
今日は咳に悩まされました。
別に風邪を引いている訳ではないのですが、私は気管支が弱くて、ゴミゴミしたのがダメなのです。
本日は下手側の前の方で鑑賞。
なんか、幕が開くと変な気流の流れを感じました。
うーんなんだろう???
原因を確認。
・・・
この気流の原因・・・分かりました。
幕が開くと、舞台袖の方から冷たい異質の空気が流れて来るのです。
この冷たい異質の空気が私の気管支を刺激しちゃって、呼吸困難に。。。
太鼓側で師匠の舞台姿を観てお勉強にはもってこいの席なんですけれど。。。私の体質にはちょっと苦しい席です。
もう、咳と息苦しさで。。。
今度は、この辺の席に座るのはよそうと思いました。
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