昨日は、友人の縁で国立劇場で開催された“錦会”に行って来ました。
この会に行くのは、これで二回目です。
もともと、この会は今年初めに急逝された花柳寿楽氏の主宰の舞踊会。
寿楽氏が人間国宝になられた時にこの会に伺った事があります。
いやいや、ほんとうにどえらい舞踊家さん。深い深い感銘を受けたのを覚えました。
私は、藤間藤子氏とか分野は違いますが前井上八千代氏など素踊りを鑑賞するのが好きです。
いろいろ想像力をかき立ててくれて、舞踊そのものを楽しめるからです。
いやいや、素踊りというのは大道具や衣装やお化粧で誤魔化せない分、とても舞踊家さんにとって鍛錬が求められるものですが、寿楽氏の遺志をついだお二人のお孫さんが見事引き継がれていました。
お若いのに本当にすごいです。
親(この場合はおじい様ですが)があまりに偉大だと、その輝きに惑わされて、受け継いだ人は今ひとつという事が良くありがちですが、きっと寿楽氏はそういう事がないように彼らを育てられたのでしょうね。
名声だけでなく、その芸の心もお孫さんに伝えられたように思います。また、お孫さん達も眩い光に惑わされることなく、しっかり芸を見据えて受け継がれているんだなぁと昨日は感銘を受けました。
いやいや、これからが楽しみですね。
しかし、素踊りというのは本当に究極ですね。
最近、演奏会でも視覚的演出を入れて観客を楽しませてくれるんですけれど、私はそういうのがあまり好きではありません。
私自身の中で広げた世界を、味の素が加わる事で心の束縛を受ける感じがするからです。
装飾を何かと好む時代の流れなので仕方がないのだと思いますけれど、しかし、シンプルが一番だよねえ。