珍しい曲が出るので、以前よりとても楽しみにしていた。
『-日・月・星-のうち「日」』
唄 東音渡邊雅宏、他
三味線 杵屋五三助、他
打ち物 藤舎呂雪・藤舎円秀
昭和34年十一月、七世芳村伊十郎氏監修により、芸術祭参加作品としてNHKで放送され、この年の文部大臣奨励賞を受賞した作品だ。『日』は杵屋五三郎先生の作曲で、お囃子は師匠のお父さまが作調された。ちなみに、『月』は三世今藤長十郎氏。『星』は五世杵屋佐吉氏が作曲した。
この作品の存在は以前より知っていたのですが、特別な曲ですし、きっと聴くことはできない曲と思っていました。
けれど、聴けないと思うとよけいに聴きたいというのが人情。憧れの曲でした。
どうせだったら他の『月』も『星』も演奏してほしかったです。
太陽のような熱いエネルギーを感じる音楽でした。
大・中の平太鼓と締め太鼓。まるで和製ドラムセットという感じでした。
『娘道成寺』
唄 杵屋君三郎、他
三味線 杵屋新右衛門、他
お囃子 田中佐幸、他
今年は、山尽くしから“ただ頼め”に行くのが流行っているんですかね。先日の今藤の会もそうでした。ただ、今回は“謡うも舞うも法の声~”の部分はなくて、白拍子が後シテの蛇体になって終了のパターンだった。
あの“ただ頼め”の太鼓地は本当にはんなりしている。大好きな太鼓地の一つだ。
しかし、難易度高い太鼓地で聴くのはいいけれど、お稽古の時はさんざん泣かされた。難しい・・・。
いつも素敵な唄を聴かせてくれる方なのに、本日のクドキ。変なところで息継ぎするのでガックリきちゃいました。とっても良い部分なのに、残念でした。猿も木から落ちるで、呼吸のコントロールの計算を間違えちゃったのでしょうね。
しかし、息継ぎって大切なんだなぁと思いました。
『大江戸両国花火』
唄 杵屋直吉、他
三味線 杵屋佐吉、他
お囃子 望月左武郎、他
平成八年三月。七世杵屋佐吉氏の作曲で左門創作の会で発表された作品だ。
平成九年に亡くなられた人間国宝の杵屋佐登代氏。両国に居住され両国を愛した方だったそうで、病床に伏せる彼女へ励ましの願いを込めた曲なのだそうだ。
元気で粋で、とっても楽しい曲でした。最近、お疲れ傾向にあるんですが、この曲を聴いて少し元気になった気がします。後半に「花火の合方」なる三味線の聴かせどころがあって、お囃子を含め隅田川の華やかな打ち上げ花火が目に浮かぶような合方でした。
左門会の曲はたまたま聴いた曲がそうなのかも知れませんが、面白い曲が多い様なきがします。
『安宅勧進帳』
唄 杵屋吉之丞、他
三味線 稀音家六四郎、他
お囃子 田中佐幸、他
六四郎氏もこんな曲を演奏するんだなぁと意外に思いました。研精会というと、あまり歌舞伎っぽいものはやらないイメージがある。
やはり、そういったご流儀の方々の演奏のためか、非常にサクサクした三味線だったように思う。
技術的には拍手喝采のように感じるのですが、勧進帳という曲に対する観念が邪魔して物足りなさを感じた。
いろいろ聴いちゃうと、本当に観念が邪魔になる事があります。
珍しい曲を拝聴できて、今日もとても幸せでした。
いつか、『日・月・星』を全曲聴ける日が来るといいなぁ。

さて、渋谷の銀座ライオンでオムハヤシを食べて帰りました。もちろん黒ビールもいただきました。満足満足。