
「女の一生」は、もう亡くなられた文学座の座長である杉村春子さんの為に書き下ろされた森本薫作のお芝居です。
杉村春子さんの代表作というと、テネシーウィリアムズ作の「欲望という名の電車」とか、三島由紀夫作の「鹿鳴館」とか色々ありますが、私は中でもこの「女の一生」は大好きです。
杉村春子さんは、私が役者をやっていた時代の尊敬する方であったし、また目標でもあり憧れの存在でした。
この「女の一生」の主人公は布引けい。この主人公の十代の頃から晩年までが描かれています。幅広い年代を演じなければならないので、非常に難しい役どころだと思います。
演技力のある杉村春子さんだからこそ演じられたのだと私は思います。
多くの名優やスターを輩出している文学座も過去においては色々な危機の場面があったそうです。
その度にご自分の為に書き下ろされた作品を他人に譲ったりと色々苦労をなさったようですけれど、「女の一生」だけは手放さなかったとの事だそうです。
そんなに大切になさり、また彼女だからこそ演じきれた役でしたので、きっと彼女の生涯と共に「女の一生」もぴ終止符が打たれたと思っていました。
けれど、今日テレビで文学座の平淑恵さんが杉村春子の後をついでこの作品を演じているという事を知りました。
杉村春子時代の相手役の英二の役は北村和夫さんが演じていたのですが、今は渡辺徹さんが演じているそうです。
でも、特別企画で本日のテレビでは北村和夫さんが英二役を演じていました。
平淑恵さんの布引けい。なんか杉村春子さんの影響があるせいか彼女の布引けいが無くてまだまだなんだなと思いました。
なかなか、他人の為に書かれた芝居を演じるという事は難しいし、前に当たり役の人がいてそれを引き継ぐというのは難しいものなんですね。
復活版「女の一生」是非生の舞台で観てみたいです。