芳友会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
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本日は、紀尾井ホールに行ってきました。
「芳友会」という芳村流の長唄の会です。
芳村流の事は良く存じ上げないのですが、本日は芳村流梅が丘派の演奏会。この派は有名な芳村伊十郎氏の流れの派のようです。

演目は「松の緑」「汐汲」「紀州道成寺」「蓬莱」「二人椀久」でした。
「松の緑」
良く長唄の手ほどきに用いられる曲です。
基本的な曲ですが、大変奥が深く難しい曲だと思います。
ですから、この曲を舞台の演目に出すなんて超凄いと思いました。
上手にできて当たり前。観客はより高いものを求めますから、こういった小細工の効かない曲というのは本当に難しいと思います。
ですから、とても楽しみにしていました。
どんな味で演奏してくれるのかしら。。。なんちゃって生意気に(*^。^*)
で、期待通りにとても素敵な演奏でした。
テープ類では聞いた事がありますけれど、生の演奏でプロの方がこの曲を演奏するのをはじめて聴きました。
良くはじめたばかりの方がお浚いで出したりする曲ですけれど、さすがにプロですよね。味わいが全然違います。
短い短い曲なんですけれど、本当に演奏会に行った甲斐があったとこの一曲で感じました。

「汐汲」「紀州道成寺」「蓬莱」は女流の方の演奏でした。
どれも、ちょっとお歳を召された方が立て三味線でしたので、ちょっとインパクトが弱いかなぁと思いました。
けれど、芳村流はさすがに伊十郎氏の流れである流派だけあって、女流の方も声が綺麗な方が多いなぁと思いました。

さて、本日の私的メインは「二人椀久」でした。
大好きな芳村伊十七氏の三味線。唄はお家元の芳村伊四郎氏。そして、ワキに二十年来のファンの芳村金四郎氏が唄っていらっしゃいました。
また、三味線の四枚目にネットでお知り合いになった、芳村伊十冶郎氏がご出演されていました。
そして、お囃子の方にも、大々ファンの中川善雄師のお笛。
私にとっては、大変贅沢な舞台面でした。
もう、あっちもこっちも観なくちゃと目がとても忙しかったです。
この「二人椀久」。曲の途中で段切れみたいなフレーズが三箇所くらいあります。
けっこう長い曲。
この曲の見せ場、『タマ』の前にも段切れのようなフレーズがあるのですが、どなたか段切れと間違えたのでしょうね。
思わず拍手をしかけていて。。。パチッ。。。あれーぇ?というその方の気まずい雰囲気が伝わってきました。
確かに、曲を知らないと拍手したくなっちゃいますよね。

『タマ』は三味線の流派によって多少手が変るようです。
色々な『タマ』を今まで聴いてきましたが、本日の『タマ』はすごっく繊細な感じがしました。
ただ、どこが違うの?と聴かれても実は良く分からないのですが。

『タマ』はお囃子も素敵です。
色々なのがありますが、私の一番好きな『タマ』は「蜘蛛の拍子舞」の『タマ』です。
けれど、「二人椀久」のタマも華やかで拍子舞の『タマ』とはぜんぜん違う雰囲気で好きです。
いつか『タマ』の入る曲のお囃子をやってみたいなぁ。
「二人椀久」の『タマ』は小鼓の打ち合わせがあったりして楽しそう。

今日の「二人椀久」。
タテ唄の芳村伊四郎氏の唄がとてもいい雰囲気でした。
過去において、何回かこの方の唄を聞いた事がありますが、あまりインパクトがなくて、どんな唄を唄われる方だったかしらという感じでしたけれど、本日の椀久を聴いて素敵な唄い手の方と思いました。

そうそう、この演奏会は本日100回目を迎えられたそうで。すごいなぁと思いました。
年間、何回やられているかは存じ上げませんが、年に二回としても五十年。。。四回として二十五年。。。
歴史ある演奏会なのですね。
古い演奏会がどんどん無くなっている今日。
是非、これからも続けて行って欲しいです。