単語帳 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

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長唄囃子の手の中には、名前の付いているものが幾つかあります。長唄囃子独自のものもありますが、「能囃子」から伝わった手もいくつかあります。

お囃子には、一般に譜面にあたる「附け」というものがあります。譜面と言っても、自分のメモ帳・覚書のようなもので、これが絶対「娘道成寺」のお囃子の譜面だというものではなくて、大袈裟に言えば「娘道成寺」ってこんな感じの手が付いているのよ程度の覚書みたいなものです。

日本の音楽の面白いところなんですけれど、同じ音楽でも流派によって所々手が違っていたりします。
また、「抜き差し」というのがあって、「娘道成寺」なのにいきなり途中に別の曲の合い方が入っちゃう事があります。
という事でいつも同じという訳ではないのです。

さて、お囃子の附けを見ると所々に「言葉」しか書いていないところがあります。
初心者はこれを見て「???」。さっぱり分からないのです。
「打放のべ 結び本上げ」なんて書いてあると、
「えっ?打放のべって?」「何々?結び本上げ…なんじゃ?」[emoji:v-12]という訳です。
ここで活躍するのが単語帳です。
こういった名前の付いている手を集めたものです。
事前にこういったものを下さるお師匠さんもいらっしゃいますが、普通は自分で作成するもの。アンチョコですからね。
お稽古して出てきた単語を書きとめておく。そういっものを集めていくと、どんどん自分の財産が増えて、知らない曲に出会っても「附け」と音源があればだいたいこんな感じなんだと分かるようになってきます。
つまり、単語が分かるようになると「門前の小僧、習わぬ経を読む」ことができるようになるのです。

長唄囃子の打楽器は、小鼓・太鼓・大皮(大鼓)と基本的に勉強していきます。この三つの楽器それぞれに独立した単語がありますので、私は三冊単語帳を作っています。
単語帳の作り方は色々あるのですが、私は上の写真のように八拍子譜というのがあって、これに当てはめていかないと分からない人なんです。
確か新橋に能楽関係のものを売っているお店があって、そこに行くと既成の八拍子譜が置いてあるんですけれど、そこまで買いに行くのがめんどくさくて、ルーズリーフに線を自分で引いて八拍子譜を作成しています。
これがとっても手間がかかるんですけれど…。
他人にはつまらない落書きに見えるファイルなんですけれど、私には作成に大変労力をつぎ込んだ汗の結晶だし、超大切な財産なんです。[emoji:e-266]