祭りと祝福の舞踊 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

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本日は国立劇場主催の舞踊会に行ってきました。
誰が出演するとか、全然知らないで、ただ最初の「翁千歳三番叟」が観たかったというだけの理由でこの舞踊会に行きました。
という事で超経済コースで三階席で鑑賞。
でも、幕が開いて。。。。およよよっ!
師匠が・・・お囃子の師匠が出演しているじゃないですか。超吃驚。こんな事だったらもっと太鼓が良く見える場所のチケットを購入すれば良かった。
けれど、国立劇場の三階。
けっこう良く見えるんです。一階だと、視野の問題でお囃子と踊りどちらも観るというのはなかなか難しいです。
けれど、三階だとお囃子を観ながら踊りも堪能できます。
やっぱり、三階で良かったです。
さて、本日の出し物は・・・(以下、出演者の敬称は略させていただきます)

「翁千歳三番叟」
翁   西川扇蔵
千歳  花柳寿南海
三番叟 尾上菊之丞

唄   宮田哲男・福田克也・野口悦至・村治利光
    ・谷口之彦
三味線 杵屋五三郎・杵屋五三吉・杵屋五司郎・杵屋五丈
    ・杵屋五朗
囃子  藤舎呂浩他

舞踊の三番叟ものも色々ありますが、一番格式が高い曲じゃないかしら?!
いつかやってみたい曲ベストテンに入る曲です。
もし、大鼓ならナンバーワンの曲です。
今回は立ち方さんも一流だしと期待の演目でした。
さすがに大ベテランの舞踊家さん方の演目でしたから、見ごたえがありました。
けれど、ちょっと前にテレビで狂言の野村万歳氏の三番叟が脳裏に焼きついていて。。。
日本舞踊と狂言は違うし、また、立ち方さんの年齢も親子ほど違うわけですし。。。分かっていても、なんか物足りなさを感じました。

そうそう、三番叟に出てくる「烏とび」。。。まさに烏がピョンピョンしている感じですね。

「阿蘭陀万歳」
太夫  花柳茂珠
才蔵  花柳寿美

この舞踊は新邦楽でちょっと洋楽っぽい感じでした。
二人のオランダ人。漂流して日本に辿り着いて、生活の為に三河万歳を覚えて、お正月のお祝儀に家々を廻るうち、故郷のオランダの事を思う。
というような内容らしいです。
衣装がオランダなんですよね。
なんか洋服の日舞・・・。
面白い舞踊なんだけれど。。。ジャンル不明という感じでした。
個人的にはこういった出し物はあまり好きじゃありませんでした。

「御柱祭」
弧の会
 市山松扇・泉徳保・猿若裕貴・西川大樹・花柳榮輔
 花柳基・藤間勘護・藤間章吾・藤間仁凰・若柳里次郎

日本舞踊の若手ホープの方々の演目でした。
若さって本当にいいですね。動きのキレがやっぱり違うし、パワーも凄いです。
とっても感動したのは、群舞の線がとっても綺麗だったのです。まるで宝塚のラインダンスのようでした。
以前、日本のバレエの群舞はヨーロッパのバレエの群舞に比べて下手だという話を聞いた事があります。
まあ、本場のヨーロッパと日本とでは厳しさも違うのでしょうけれど、日本人というのは群舞のダンサーなのに一人一人がどこか個性を出そうとしちゃうから、群舞にならないのだそうです。
例えば、足を上げる高さもすべて揃う、手の上げる高さもすべて揃う。これが群舞の舞踊なのだそうです。
そういえば、昔観た「コーラスライン」という映画で同じような場面があったなぁ。
もと主役級の女優が落ちぶれて、群舞のオーディションを受けるのです。
さすがに主役級の女優だけあってバッチリなのですが、演出家は群舞として使えないというのです。
どうしても、役に付いた事の有る人って他の人と違うものを見せたい。個性を持ちたいという心理があるんですよね。
群舞のダンサーはそういった心理を持っては役割は果たせません。
一糸乱れぬラインが必要なんだという事を演出家は彼女に言うのですよね。
いやー、今日のこの演目は素晴らしいラインでした。
ちょっと感動でした。

「寿四季色草」
「花見奴」「申酉」「玉兎」「雪の石橋」の四つの舞踊から四季を表現したようです。

「花見奴」
奴   花柳輔太朗

浄瑠璃 常磐津勘寿太夫・常磐津清若太夫・常磐津和英太夫
    ・常磐津秀三太夫
三味線 常磐津一寿郎・常磐津絋寿郎・(上)常磐津美寿郎

とても華やかな舞台でした。
お花見に来た奴さんが飲みすぎて寝ちゃった。で夢を見るというようなお話だそうです。
お面を使って、一人で何役も演ずる面白い踊りでした。
早変わりのタネはいたって単純なんですけれど、分かっちゃいるのに面白いという感じでした。
奴さんものの舞踊はコミカルで楽しいです。

「申酉」
芸者  藤間恵都子
若い衆 坂東玉雪・片岡松三郎・久保泰介・澤村紀久弥

浄瑠璃 清元美寿太夫・清元清栄太夫・清元國恵太夫
    ・清元光美太夫
三味線 清元美治郎・清元勝三郎・清元美三郎

男勝りというか、男性にちょっかいだされてもビシバシと豪傑な芸者さんが主人公の粋で楽しい番組でした。
途中に獅子舞の獅子が出てくるんですけれど、子役と一緒でついつい場面を喰っちゃいますよね。
主役の人じゃなくて、ついつい獅子に釘付けになっちゃいました。
「お見事!日本一!」なんて声掛けたくなっちゃいました。

「玉兎」
玉兎  西川箕乃助

清元は「申酉」と同じメンバーでした。

いつも思いますが肉襦袢というのは本当に良く出来ていますよね。本当に間近でどうなっているのか見てみたいです。
「餅じゃごさらぬ望月の月の影勝~♪」
はははっ!この歌詞が面白かったです。
解説に、『月の光から生まれた団子で普通の餅とは違いますと宣伝している。"影勝"とは上杉謙信の養子影勝からとったという説があり、影勝の鉾のようにつぶれない餅ということ』なのだそうです。
・・・・つまり御餅屋さんの宣伝???
清元は全く疎いので・・・今度勉強してみます。

「雪の石橋」
獅子の精 花柳錦之輔・花柳典幸
力者   坂東玉雪・片岡松三郎・久保泰介・澤村紀久弥

唄   今藤尚之・今藤政貴・今藤長一郎・今藤政之祐
三味線 今藤政太郎・杵屋栄八郎・今藤政十郎・杵屋弥宏次
囃子  藤舎呂浩、他

最後は長唄の演目でした。
初めて聴いた曲。地方の方々みなさん譜や附けを見ていらっしゃったので、あまりやらない曲なんでしょうね。
それもかなり新しそうな曲です。
連獅子や鏡獅子の獅子の扮装とは違って。。。うーんあれは英執着獅子とかはああいった扮装だったような。。。違ったかな?
モサモサの長ーい髪の毛のてっぺんに扇がのっていて、鈴がいっぱい付いていて可愛い。
つまり女性っぽいという事かしら?!
ずっと蔭囃子だったのですが、最後は出囃子。
それも私の師匠が太鼓を打っていらして、お囃子が気になって踊りをよく観ていませんでした。
華やかで勇壮な踊りだったのですが。。。
そうそう、普段大鼓を打つ姿しかみないお囃子方さんが、今日はワキ小鼓を打っていらして吃驚しました。
貴重なものを拝見した感じでした。

ざっとレポを書きましたけれど。。。かなり長くなってしまいました。

さて、明日はお稽古です。
本日、思いがけず師匠の太鼓を拝見。師匠の太鼓の打ち方をじっくり観察。それを頭に焼き付けて家に帰って鏡の前で練習。。。ダメだーぁ!ぜんぜん違う!
なかなか、太鼓の綺麗な打ち方というのは難しいものです。

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