伝統長唄伝承の会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
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本日は渋谷区文化総合センター内の伝承ホールに、長唄協会主催の“伝統長唄伝承の会”に行ってきました。
長唄協会に所属の方々の超流派の勉強会のようである。
客席はほぼ満席状態。大盛況の会でした。
2012-02-04 21;39;36
『囃子組曲』
お囃子だけの曲でした。若手の演奏家の方々の熱演でした。
ただ、まだまだ若い演奏で荒削りな感じがした。また、小鼓が張っていて季節が憎たらしい部分もありました。
お囃子は音であり姿を見せるものであると思っています。ですから、基本的に安定した姿でクールな状態で打つという事が大切だと思います。
以前から気になっていたのですが、こうしたお囃子だけとなると欠点というものが目立つものですね。
上半身が、特に首から上が安定していない彼。エキセントリックで今日は特に迫力ある気合いの演奏をされていたのですが、その姿の汚さに魅力半減の部分がある。もったいないなぁ・・・と思う。
でも、お囃子って本当に素敵です。遊び心のあるこの組曲。常識を打ち破っていて魅力的です。

『初雁傾城』
まあ、なんとも艶っぽい曲です。文政六年に守田座で初演されたもので古い曲ですが、初めて聴いた曲です。
演奏は、美男美女の御兄弟の演奏でした。
この曲は胡弓がはいる。胡弓の音というのは本当に色っぽくて魅力的だ。
『法花姿色同(のりのはなすがたのいろいろ)』という歌舞伎の所作事の一つらしいです。どんな踊りかみてみたいものです。

『傾城無間鐘』
めりやす最古の曲といわれています。
「小夜の中山にある無間の鐘を撞くと現世では大きな富を得られるが、死後は無間地獄に落ちる」という伝説がもとになっているらしい。
傾城というのは、やはり色事を商売にした罰で死後は無間地獄に落ちるとか。生きても地獄、死んでも地獄の可愛そうな女たちである。(自分で好んで傾城になったわけではないのに・・・可愛そう・・・)
まあ、とにかく真っ暗な曲であった。

『鳥羽の恋塚』
研精会の有名な曲ですね。ただ、前二曲の単調さに、またまた暗い曲で疲れました。
美声にとうとう、夢の世界に・・・・すみません。

『石橋』
知人が三味線に出演していた。つまり私にとってはメインの曲です。
全体的に今一つ呼吸が揃っていない感じがした。
獅子ものの“狂い”のお囃子はとても激しい。特に太鼓や能管はインパクトが強烈で三味線の音をかき消してしまう事が度々見受けられる。
お能の“狂い”ではなく、長唄の“狂い”。三味線をかき消してしまうのはいただけないなぁと度々思った事がありました。
本日の太鼓の方の打ち方は勉強になった。バランスを考えた打ち方。あのように打てるように訓練しなくちゃな。

『由縁の月』
唄か本日の演奏でいちばん素敵だった。低音が持ち味のタテ唄と、鈴を振るような高音のワキとのマッチングがとてもよかった。

『楠公』
いやいや、緊張されていたのでしょうね。調子が凄い事になっているは、勘所が・・・。
長唄協会の演奏会などで観たことのある方々が演奏。ですから、ベテランの方々だと思うのですが、そういう事もあるんだなぁと。
「解放弦が一音あればネジに手が行って調子を直さなければならない」と三味線の師匠がうるさく言われていましたが、二音もあったのに「あの人は何故ネジに手がいかないのか???」・・・それだけ緊張していたという事ですね。
会場に長唄協会の偉い方々がいらっしゃっていましたね。やっぱりプレッシャーですよね。
しかし、ワキの三味線の方はとっても良かった。女性の方ですが、男っぽくてかっこよかったです。


暗い曲が続いたので、途中、上の瞼と下の瞼が仲良しになりそうになった。
明るい曲も入っていればよかったのにな。
稀曲の堀だしのような勉強会。面白い企画ですね。
これからも続けて企画してほしいものです。