今週は演奏会が立て続けだ。
藤舎流家元主催の演奏会に行って参りました。
雨なのに・・・靴はけないから着物でした。それも、足袋履けないからタビックスです。
でも、珍しい曲も出ますし、年に一度の楽しみ♪堪能して参りました。
『風流船揃』
唄 杵屋勝四郎、他
三味線 杵屋栄八郎、他
笛 藤舎推峰
小鼓 藤舎清成・藤舎清之
大皮 藤舎千穂
太鼓 藤舎呂凰
本当は、三味線は杵屋五三助先生が弾かれる予定だったのですが、長唄協会引き続き休演です。
という事で、脇に付かれていた杵屋栄八郎氏がタテを勤められました。
繊細で綺麗な五三助先生の三味線を期待していたのですが、力強い華やかな栄八郎氏らしい『風流船揃』を拝聴しました。
ところで、小鼓の打ち合わせのところ
今日は竹笛だけでした。どうして無かったんだろう???
ここの打ち合わせ好きなものですから、ちょっと残念でした。
『若菜摘』
唄 松永忠次郎、他
三味線 松永忠一郎、他
笛 藤舎理生
小鼓 藤舎悦芳・藤舎花帆
大鼓 中村寿慶
太鼓 藤舎朱音
お囃子入りでこの曲を拝聴するのは初めてでした。上品で良い曲なのですが、あまり演奏会では聴きませんね。
この曲は中学一年生くらいの時お浚いで三味線を弾いた事があって、とっても懐かしい曲です。
上品で穏やかというイメージが強いのですが、お囃子の手付けはとっても元気。
上品さは保たれていますが、元気な手付けにすごく新鮮さを感じました。
太鼓は高キザミとか高く腕を上げて打つ時にお袖がヒラヒラというのがとても美しくて好きです。
ただ、綺麗にヒラヒラというのがとっても難しい。今日の朱音先生のヒラヒラはとっても綺麗でした。
良く子どもはお袖を綺麗にヒラヒラさせる為に、袖の角に五百円玉くらいのものを縫いつけたりするそうです。重りになって綺麗にヒラヒラになるんだそうですよ。でも、私は大人ですしね。。。技でヒラヒラ練習中です。
『今様望月』
唄 杵屋利光、他
三味線 杵屋栄八郎、他
笛 藤舎貴生
小鼓 藤舎清鷹・藤舎呂凰
大鼓 藤舎呂裕
太鼓 藤舎円秀
とっても迫力があって、全体的に良くまとまった呼吸ピッタリの演奏でした。
タテ小鼓の方は関西の方ですが、関西の方のお囃子はとっても迫力があります。
三挺三枚だったのですが、いやいや五挺五枚くらいないと、あの迫力に地方さん押されぎみだった感じです。
獅子ものですから、これくらい迫力を持って演奏しなければならないのですね。
たまたま、次回のお稽古からこの曲の太鼓をやるんですが、良い勉強になりました。
本日の素の舞のところ、お囃子の会なので当たり前なのですが、長いバージョンでした。
時間の関係で生の場合ほとんどカットバージョンしか聴いた事がありません。
なんか、すごっく得しました気分でした。
『新柱建』
唄 今藤政貴、他
三味線 今藤長龍郎、他
笛 中川善雄
小鼓 藤舎華鳳・藤舎呂英
大鼓 中井一夫
太鼓 藤舎呂雪
初めて拝聴しました。
新曲・・・?
いえいえ、とんでもありません。1892年に作詞が河竹黙阿弥で、三世杵屋正次郎作曲だそうです。
おおっ!このコンビ♪正連と一緒ですね^^
当時、新富座で本名題「一臈職狩場棟上(いちろうしょくかりばのむねあげ)」で初演されたものだそうです。
曽我ものなんですよ♪
先日の長唄協会の『三重霞嬉顔鳥』も曽我ものでしたが。今年は曽我ものが流行っているんですかね。
曽我ものは、勢いとか正札附とか娘七種とか五郎とか・・・
色々あります。どれも華やかで力強い曲想でした。
この曲、華やかで力強いのですが、なんか変わった雰囲気がありました。けっこうこの曲、好きかもしれません。
本日の三味線は長龍郎氏。彼の三味線は本当に気持ちが良いです。
三味線を心から愛していらっしゃるのでしょうね。その気持ちが伝わって、聴いている私まで幸せになります。今日も幸せ気分♪あれがとうございます。
『関戸小町』
唄 今藤尚之、他
三味線 今藤美治郎、他
笛 藤舎名生
小鼓 藤舎呂船
これもまたまた初体験です。
この曲は1765年に中村座で『神楽歌雨乞小町(かぐらうたあまごいこまち)』という本名題で初演されたものだそうです。作詞は不明。たぶん初演が二世杵屋六三郎ですからこの方が作曲されたのだと思います。
単に晩年の小野小町を唄ったものでなく、実は何々という歌舞伎らしいスペクタクルなお話しらしいです。
後に今藤長十郎氏が修正したりしたそうですが・・・
お囃子も今回は四世藤舎呂船氏が作調したものを演奏されたのだそうです。今のお家元にとってお父様ですね。小鼓一調とお笛。
しっとりと静かな演奏でした。
全体的に渋さの目立つ曲想。まだまだ、この曲の本当の良さが分からないのですが、良い生涯を経てこの曲の良さが分かるようになりたいです。
ただ、笛がとっても素敵で心が洗われた感じがします。お笛の名生氏はパワフルでするどい笛の音。ダイレクトに心に刺さっていくような笛の音をイメージするのです。しかし、昨日はぜんぜん違いました。心を微かに撫でていく、そんな柔らかな刺激で、その曲が表現しようという風景がどんどん鮮明になってくるのですね。いやいや感動。
曲全体的には、味わい渋さと言う感じで、ガサツでとにかく元気・華やか・パワー系の大好きな私向きの曲ではなかったのですが、パーツ的にはとても感動しました。
『蜘蛛の拍子舞』
唄 杵屋直吉、他
三味線 稀音家祐介、他
笛 藤舎伝生
小鼓 藤舎清之・藤舎呂英・藤舎呂裕
大鼓 中村寿慶
太鼓 藤舎円秀
フィナーレに相応しく、とっても華やかで豪華版な番組でした。
拍子舞というとタマですね。このタマは「ギッチョ」とも呼ばれるそうです。
どうしてギッチョと呼ばれるのか分かりませんが・・・
まさか、「仁王三郎、相手に長門の左利き~」なのかしら?
何時聴いても、このタマは楽しいです。椀久とか吉原雀のタマとはちょっと違うのですよね。
ついつい、鑑賞していて身体が踊ってしまいます。
さて、今日は石段入りでした。石段♪カッコいいですね。
先日の長唄協会の鞍馬も石段入りでしたが、私はこの拍子舞に使われている石段のメロディーが好きです。
そうそう、小鼓唄のところも良かったです。
いつ聴いても、土蜘蛛の精の思いに涙が出そうになります。
さて、今日も良い演奏が聴けてよかったです。