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ふ~さんの音楽とか料理とかのブログ

日々考えていることとか日常のこと中心です

今回は、ほしうららというイチゴ品種を試食して、神奈川県のかなこまちと比較してみました。


ほしうららは三好アグリテックと言う会社が、農研機構と組んで作った品種ですが、むかし、まだ試作ナンバーで農家で試作していた時に食べたことがあります。


その時は正直言うとあまり美味しくなくて、はたして普及するのかな?🙄と思ってました。



その後、かなりの観光イチゴ園で採用されて、多品種栽培をしている品種の中では「ほしうららが美味しかった」というコメントをチラホラ見かけるから、気になってました。スターナイトも、たまに美味しい品種にコメントで挙げられてます。



ちょうど、栃木県の中里農園さんのほしうららが御徒町の吉池で売ってましたので、買ってみました。


標準品種はいつものとおり、かなこまち(海老名の武井さん)と今回はかなこまち(平塚の相曾さん)を比べました。


比較は3月22日に行っています😀


中里農園さんのイチゴは、東京の専門店では良く見かけますが、ほしうららは初めて。

これがほしうららのパッケージ表面の状態。

対照のかなこまち、武井さんのかなこまち


相曾さんのかなこまち


相曾さんの果実です。


外観比較


果形


こちらはほしうららの表面と裏側

カットしたほしうららの断面

ほしうらら  丈が短めの短円錐型です。そう果の密度はかなこまちより多い気がする。少し浮き種気味になります。裏側のオサレはほとんどないです。カットした面は真っ赤ではないけど着色してます。



武井さんのかなこまち、表面

武井さんのかなこまちは中も真っ赤が含まれます。

かなこまち 武井  長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれ少しあり。そう果は密度がかなりあり、若干沈みこむ。今回は少し下面の果肉がオサレありました。



こちらは相曾さんのかなこまちの表と裏側。裏側はわずかにオサレ。

相曾さんかなこまちの断面は少し薄めかな?

かなこまち 相曾 長円錐形で整形であるが、先端形は若干の変異がある。果面のデコボコなし。ヘタ下のくびれあり、ヘタ下やや伸びる。そう果も他と同じ。オサレは若干下面にあり。



果色と色ムラと光沢


ほしうらら   赤色で色ムラなし。かなこまちより少し彩度が高い赤。表裏の色乗りは均一。光沢は8。


かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。熟度4.5で、光沢は9。


かなこまち 相曾 表裏とも武井さんよりは明るい濃赤色で均一。熟度が4.5〜5でかなり攻めた熟し方。光沢は9。


右、武井さんのかなこまち、左が相曾さんのかなこまち。並べて撮影。



そう果の色


ほしうらら 表面は赤主体に黄混ざる、裏面は黄色っぽい黄銅色。


かなこまち 武井 表は濃赤色。裏側も同じ。


かなこまち 相曾 表は赤色、裏側は赤色に黄色混ざる。



ヘタの形状


ほしうらら  ややぽてっとした厚みのあるヘタ。大きさは小さめ。チップバーンはないが、なり始めてかなり時間が経ってるから、おそらく低温栽培。


かなこまち 武井 やや硬めの水平に張っているものが多いが上向き混ざる。チップバーンは今回なし。


かなこまち 相曾  形状は武井さんと同じ。チップバーンないが、武井さんより時間かけた感じで、少しヘタリ気味。低温気味に締めた栽培かな?



果実内部比較

香りの強さ

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8 〜9

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆ 7〜8

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8


香りの質

ほしうらら  紅ほっぺ様のバラ科の香りで、ブドウにも類似の香りがある。主張はそれほど強くない。


かなこまち 武井 バラ科の香り。主張は弱い


かなこまち 相曾 バラ科の香りに、熟した果実に含まれる甘い香りを含む主張がある。


甘味の強さ

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+


※ほしうららはかなりかなこまちに似た甘さ。武井さんのかなこまちと同じくらい。相曾さんのは振り切った甘さで、あまりんより甘いくらいなので、ほしうららより明らかに甘い。


甘味の持続性(後味の余韻)

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆9 

かなこまち 相曾☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10


※ほしうららの甘味は、酸味が弱めもあって、衝撃があり余韻も長い。

武井さんのかなこまちは前回とあまり変わらない。さすがに相曾さんのは甘すぎるくらい甘いから、後味が残る。


酸味の強さ

ほしうらら ☆☆☆☆☆5

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆7

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆7  


※ほしうららの酸味は大きく主張せず、最近の甘さ優先の酸味が弱めのトレンドな感じ。かなこまちは明らかに酸味があるが、まだ甘みの強さとのバランスが取れている感じ。


食味の濃厚さ

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+


※ほしうららの果実は一口で凄く美味しい❗と感じるもので、正直かなこまちと同じコンセプトの味作りにして、一瞬、ちょっと負けたかと思った。かなこまちは武井さんのは前回とほぼ同じ。相曾さんは甘味の強さが桁違いので、やはり濃厚さは抜群に感じる。


食感

ほしうらら : 粘質で滑らかであるが、メルティング質とまでは言えない。ただし、中はかなこまちより詰まってる感じ。表面の硬さはそれほど感じないが、硬いと思う。


かなこまち 武井 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー


かなこまち 相曾  少しだけ、武井さんよりは締まった質感。ほぼ武井さんのと同じ。


果汁感

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10



終わっての感想


ほしうららはすごく美味しいうえに、食味選抜の考え方がボクにすごく似てるから驚いてしまったびっくり  そして、口に入れた瞬間から美味しい❗(甘いではない)から、これは大変だ〜🤯 と思ったくらいです(笑)


これは、中里農園さんの技術力もあると思う。品種には動かしがたい特性もあるけれど、品種6〜7割、栽培技術3〜4割だから、品種の能力を引きだすのに長けた方の栽培だと思う。


ただ、美味しいから、それが強く印象に残るかと言うと、そうでもなくて、何か個性を残すべきだと思ってます。ほしうららはすごく美味しいが、記憶に残りづらいような優等生的な感じも少ししました。


収量が気になりましたが、ネットでは分からなかった。もし、これで多収性なら、産地ができてもおかしくないね。



かなこまちは香りにわずかに含まれる個性とか、濃さに含まれる1種の独特な風味とか、食べてすぐにかなこまちと分かるような、食味の印象が残る個体を選んだんで、そこがほしうららとの違い。


また食べたいと県内や近県の人にリピートしてもらうことが神奈川県のようなイチゴ弱小県での生命線だと考えたからです。


ただ、個性ってすごく難しくて、嫌われないし飽きさせないが、しかし記憶に残るというのは永遠の課題かもしれない。



先週、武井さんと話していて、かなこまちアイスに続いて、羊羹も考えているという。かなこまちビジネスもやらなきゃみたいな感じで、「扱いづらい商品ではあるけれど、引き合いが大きいからね。あと、かなこまちは最後まで、食味が変わらないところが良いね。」と言っていだだきました。


武井さんのいちごというと、とちおとめが何と言っても全てにおいて超一級品なんだけど、かなこまちは客寄せにはなっていると思います。


これ、まさに狙っているところで、ボクは最初からとちおとめみたいな完成された品種を作るのはムリだと思っていたんだよね。たまたまボクがイチゴ育種担当になれたのは僥倖なだけだし、担当者として残された時間もなかった。


だから、少し品格は落ちるかもだけど、甘さも酸味も食味の濃さも違いが分かるもの、かつリピーターが付くような商品で、かなこまちの存在で他の商品も売れてくれたら❗と思った。商売の鉄則は、まず寄ってくる人の流れを作ることだから。



いちごソムリエの2人で運営している「いちごラジオ」で、かなこまちにもちょっと触れて戴いていて、「なんで、もっとかなこまちの宣伝とかをしないのか?」というお話がありました。


https://open.spotify.com/episode/4NX5ApLkyIcgjfIlcETTJB?si=q_iQvoqaS3O1neY3tgoIXg


まさに、埼玉県とかはあまりん等を多数、全国いちご選手権に送り出して、県や農協が推してるのに、なんで神奈川県は宣伝に消極的なんだ??と思いますよね🤣


だけど、もはや神奈川県内のいちごの共販組織でまともに機能してるのは海老名くらいで、県内いくつかある共販は小田原市、秦野市くらい。平塚市はほぼ観光農園に移行で、市場出荷の個販は約2名だけ。伊勢原市はもともと個販に近いし、あと他に残された量販店出荷は個販だけで、規格とかバラバラに出荷していて荷が揃わないし、仕方がないんだよね。



しかし、観光園では県独自の品種がほしいし、農協の直売所を賑やかにする商材は必要だし、そういう点ではかなこまちの特質が生かされてるのではないかと思う。


だから、かなこまちの旗とか、シールとか、チラシとか、そのくらいしか補助してないんだよね🤣


上に並んでる旗はたぶん神奈川県の補助。

絶対的な生産力の無さって、もう宣伝とかするだけの余地も残されていない訳で、それはごめんなさい🙏としか言いようがないです。


むしろ、あんまり有名になると、さらに入手しにくくなるから困るという県民の声もあります。



一方で、あまりんは全国で埼玉県が上位13番目という生産力がある訳で、共販も生き残っています。それで有利販売のためにもあまりん一丸で頑張るわけですね。そして、おそらくはかおりん、べにたままでは力が及ばない。


あまりんはその甘さゆえに、致命的な欠陥も孕んでいるわけで、ボクなら絶対に選ばない。だけど、それでも頑張って共販品目で選択した埼玉県の農家達のがんばりは大したものです。


これは、「人はパンのみに生きるにあらず」ということもあると思いますけどね😀

かおり野は、ボクが若い時からの研究者仲間である森さんが作った品種なんだけど、信念の人が作った品種だから、リスペクトせざるを得ない品種なんですね。


だけど、イチゴをむかしから育成しているある県の研究者達からはかおり野の評価はボロクソなんだよね🥺 「もし、品種改良するとしても、かおり野、サンチーゴだけは親にするなよえー」とまで言われたびっくり  香りがダメとか言ってた気がするが、もう詳細は覚えてません。


かおり野の出てきた背景は、炭疽病というイチゴの収量を最も低下させる病害の抵抗性を必要としていたこと。当時、三重県の主要品種であった章姫が比較的弱くて、それが理由だと思います。


かおり野は、炭疽病抵抗性、極早生、超多収性、輸送性もまあまあ良しという、スペックだけなら日本一の品種なんだけど、ボクが当時に思った感想は、あまりに草勢が強すぎ、従ってなり始め初期の果実はなんだか甘くないし、肉質や味も辛くないダイコンを食べてるみたいな感じで(^_^;) …でも、全期間通しては評価してません。


うちの育種陣も、ボクの3代前の人はかおり野をメインの親に使ってましたが、果実内が白くなるのが優性みたいで、しかも稀に発生する果実内が赤い個体はことごとく糖度が低いと。それで、「中身が赤色と低糖度が連鎖してるの?」って聞いたら、「たぶんそうだと思う」って言ってた。


それは深刻だと思ったけど、ボクの場合は紅ほっぺとやよいひめの後代には中が赤くても糖度の高い個体はたくさん出るから、今ではかおり野に限り、中が白い形質と高糖度との連鎖があるのかなぁ🙄と思ってます。


また、話が長くなってしまいましたが、3/16に比較をしました。



かおり野です。神奈川県産。

かなこまち、海老名の武井さん作。

かなこまち、海老名の澤地さん作

外観比較


果形


かおり野 胴体が太く、やや不整形の円錐形。そう果の密度はかなこまちと同じくらいで、少し浮き種になります。裏側はオサレが多少出てます。


かなこまち 武井 長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれあり。そう果は密度がかおり野と同じで、若干沈みこむ。今回は少し下面の果肉がわずかにオサレ。



かなこまち 澤地 長円錐形 先端の乱れは今回なく整形。果面のデコボコもない。ヘタ下のくびれなし。そう果も他と同じだが、下面は色が淡い。



果色と色ムラと光沢


かおり野 若干のオレンジがかった赤色 色ムラなし。表裏の色乗りは均一。光沢は7〜8。


かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。熟度4.5で、光沢は9。


かなこまち 澤地 表裏とも濃赤色で均一。ただし、熟度が4〜4.5で若どりもある。光沢は9。



そう果の色


かおり野 表面は赤黒く、裏面は濃緑。


かなこまち 武井 表は濃赤色。裏側は赤み帯びた濃緑。


かなこまち 澤地 表は濃い赤色、裏側は濃緑。



ヘタの形状


かおり野  ヘタの基部は果実に密着し、中間から上向きになる。チップバーンなし。


かなこまち 武井 やや硬めの水平に張っているものが多いが上向き混ざる。チップバーンは軽微。


かなこまち 澤地  武井さんと同じ。チップバーンなし。



果実内部比較


香りの強さ

かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8 

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆ 7〜8

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8


香りの質

かおり野 独特な香水様の香り。ニュアンスはバラ科とかでなく異種の花の香り。


かなこまち 武井 バラ科の香り。主張は弱い


かなこまち 澤地 バラ科の香りに、僅かミルキーな香りを含む主張がある。


※かおり野の香りは一種独特で、ちょっと他にはないかな?   今回のかなこまちの香りは武井、澤地とも主張は少なめだが、強くなってる気がする。今回も、胡麻のような香りは全くない。



甘味の強さ

かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8 

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆8

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆8


※かおり野はちょっとしつこい感じの甘さ。 かなこまちはまだ両方とも果実のどこを食べても甘いが、ちょっと前回よりは酸が多めに感じる。だんだん変わってきたかな?


甘味の持続性(後味の余韻)

かおり野 ☆☆☆☆☆☆6

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆9 

かなこまち 澤地☆☆☆☆☆☆☆☆8


※かおり野の甘味は、意外と余韻が短い。

かなこまちは前回とあまり変わらない。


酸味の強さ

かおり野 ☆☆☆3

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆7

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆7  


※かおり野は酸味が弱く、官能に占める割合は少ない。かなこまちは明らかに酸味があるが、まだ甘みの強さとのバランスが取れている感じ。


食味の濃厚さ

かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆ 7

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆8


※かおり野はとちおとめよりは若干濃厚だが、水っぽい感じがある。かなこまちは前回とほぼ同じだけど、やはり濃厚さは微妙に落ちてきたかな?


食感

かおり野 : 意外と粘質。しかし、なぜか水っぽい感じがする。上の写真のようにオサレが出るから、表面の硬さはそれほど硬くないと思う。


かなこまち 武井 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー


かなこまち 澤地 サクサク感もある粘質だが、芯は若干粉質気味のも混ざる


果汁感

かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10



終わっての感想


かおり野は甘いには甘いのだけど、香水っぽい香りが敏感な人には鼻につくかもしれない。あと、水分が多めなのが、それが甘さが口の中で残らない原因かもしれない。


かなこまち 武井さんのは今回も安定してましたし、まだ買いに行かねばと思うくらいに甘かった。若干、果実の緩みは出始めたかな?


かなこまち 澤地さんのも前回とほぼ同じ。酸味もあるが美味しい。



今回、かおり野の毀誉褒貶がよく分かった気がする。ボクはそれほど鋭敏な嗅覚ではないけど、今までの系列の香りとは違う気がする。そうでなければ、あの多収性と極早生では農家が採用するでしょ?


育種親に使うな!とボクは言われましたが、現在、極早生を作る親として多くの県で多用されてますけど、後代をさらに親に使うと、この香りの性質は残って発現する気がする。


三重県でのかおり野の普及状況ですが、10年ほど前には章姫がシェアのほとんどで、近年になって章姫とかおり野が五分五分になったみたいです。これは、章姫の柔らかい肉質でも97%県内消費だからだと関係者が言ってました。


この前、イチゴ農家で三重県の青年協の幹部の方とお話しましたが、彼はよつぼしを採用しているそうです。収量は穫れないけど、自分が作りたい品種だと言ってました。


うた乃については、気になる点があって、様子見だそうです。かなり、食味が時期的に変わるとか細かいことを言ってらっしゃいました。


せっかく品種を作っても、農家の求めるものと違っていて普及しないのは、ちょっと不幸ですね。


佐賀県のいちごさんみたいに、選抜の途中から農家に形質を見てもらった方が良いのではないかな🙄


あと、1回でいちごの比較は終わりです。最後までよろしくお願いします🙏

今回、イチゴの食べ比べで、かなこまち vs とちおとめにしたのは、とちおとめはかなこまち育成時の目標であり、育成の途中でも常に栽培して比較対照品種にしていたから、営利栽培での比較をしたかったんですね。

しかし、ボクはとちおとめを交配親には使いませんでした。

なぜ、とちおとめを交配親に選ばなかったかというと、ボクの同僚がとちおとめを親にして、4個体まで最終選抜しましたが、最後の段階で、奇形果等の欠点で品種にできなかったのを見ていたこと。

それと、さまざまな県でとちおとめを育種親にしていましたが、とちおとめを総合的に超える品種が1つも出ていないことです。


しかし、とちおとめは、絶対的な糖度を除けば偉大な品種であり、これを乗り越えることはイチゴ育種に関わる誰もが考えていたことだと思います。

「ゆめのか」を育成した番さんは、ボクが「どのような品種を目指して作ったのですか?」と聞いたとき、「「とちおとめ」とは全く違う品種を作ろうと思った」といってましたから、もちろん例外はあります。だけど、「ゆめのか」は番さんの個性的パーソナリティだからできたのだと思いますね。


前置きが長くなりましたが、今回のとちおとめは、神奈川県でも「とちおとめ」の品質や食味にこだわった栽培の武井いちご園のものを供試しました。試食日は3月7日です。

この後、3月15日にも買ってきて試食してますが、その話は後日に🙏

これは武井さんのかなこまち


もう一つ、参考として澤地さんのかなこまち


これが比較する武井さんのとちおとめです。

398円のとちあいかもあったから、参考比較です。


外観比較

果形

とちおとめ  先端がややとがり気味の円錐形で整形 そう果数はかなこまちより若干密度高い。果面のデコボコはない。

とちあいか  先端がややとがり気味の円錐で、とちおとめより先端近くのくびれ少ない。整形。果面のデコボコはない。

かなこまち 武井 長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれあり。

かなこまち 澤地 長円錐形 先端の乱形の入った整形。先端の形状の揃いは変化あり。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれなし。


果色と色ムラと光沢

とちおとめ 明るめの赤色 色ムラなし。表裏の色乗りは均一。光沢は9。かなこまち武井より若干落ちていた。

とちあいか 明るめの赤色 色ムラなし。表裏の色乗りは均一。光沢はとちおとめとほぼ同等〜若干劣る。

かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。熟度4.5で、前回よりやや若どり。光沢は10で、強い。

かなこまち 澤地 表裏とも濃赤色で均一。ただし、熟度が4〜4.5で若どりもある。光沢は9。


そう果の色

とちおとめ 黄銅色〜黒赤色。果実によって異なり、裏がやや薄いものはそう果も薄い着色。変化大きい。

とちあいか そう果の色はとちおとめに似るが、果実の裏のそう果は黄銅色になっている傾向。

かなこまち 武井 ほぼ均一に表裏とも濃赤色。

かなこまち 澤地 黄銅色が多く、濃赤色も混ざる。変化あり。表裏でも異なる。


ヘタの形状

とちおとめ ややぽってりで整形。果実に密着

とちあいか とちおとめに似るが、やや小さめで中心が果実に食い込む形状。

かなこまち 武井 やや硬めの水平に張っているものが多い。チップバーンは軽くなった。

かなこまち 澤地 海老名産と似ているが、武井さんのより大きめ。ヘタのくびれがほぼないから、果実に被る形状。


果実内部比較

香りの強さ
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆☆ 7 
とちあいか ☆☆☆☆☆5
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆ 6
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆ 6

香りの質
とちおとめ バラ科の香水のような香り。

とちあいか あまり主張がない。とちおとめの香りを弱くしたような感じ。

かなこまち 武井 バラ科の香りに、僅か紅ほっぺ風のニュアンス。主張は弱い

かなこまち 澤地 バラ科の香りに、僅か紅ほっぺ風のニュアンス。主張は弱い。

※とちおとめは最も主張があり、バラ科の花の香り。とちあいかは主張少ない。   今回のかなこまちの香りは武井、澤地とも主張は少なめ。今回も、胡麻のような香りは全くない。


甘味の強さ
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆☆ 7 
とちあいか ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10
   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

※とちおとめはさっぱりした甘味で、やはり今の高糖度品種と比べるとあっさり目の甘味。とちあいかの方が甘味を強く感じるが、糖の質は爽やかな甘味。 かなこまちは今回は両方とも果実のどこを食べても甘い。かつ濃厚な甘味で、糖を好む人には分かりよい甘さ。今までで1番美味しいと評価する人もいました。


甘味の持続性(後味の余韻)
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆☆☆8
とちあいか ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10 
かなこまち 澤地☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

※とちおとめの甘味は、肉質が粘質のせいか甘味が強くはないが持続的。とちあいかはさらに持続的。
かなこまちは今回は最初から甘味が強く、酸もあるせいか食味にエッジがあり、持続的な甘さの余韻が残りました。


酸味の強さ
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆ 6
とちあいか ☆☆☆☆☆5
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆7
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8  

※とちおとめはそれなりに酸味がある。これに比べるととちあいかの方が酸味は1ランク弱い。かなこまちは明らかに酸味がとちおとめよりあるが、意外と甘みの強さとのバランスで酸っぱいよりは甘酸っぱい感じ。

食味の濃厚さ
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆ 6
とちあいか ☆☆☆☆☆☆☆☆8
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10

※アレ?って思ったのが、かなこまちは2月より味乗りが良くなってると思う。2月との比較はできないけど、3月になっても本領発揮できるのは、やよいひめの血統から戴いたのかもしれない。

食感

とちおとめ : しっかりした肉質ながらも粘質で食べやすい。ただ、上の写真のように意外とオサレに弱い。

とちあいか : りんごをかじるようなゴリッとした食感があり、あまり粘質度が高いとは言えない。ヘタ近くは粉質感もある。そのせいか、食後にやたら満腹感を感じる。ただし、398円のいちごだからねてへぺろ

かなこまち 武井 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー

かなこまち 澤地 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー

果汁感
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆☆7 
とちあいか ☆☆☆☆☆ 5
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10


終わっての感想

とちおとめは今となってはアッサリした感じの食味であるけど、それ以外は糖酸比、食感など全てバランスが良い。ただ酸はかなり感じるので、酸が好きな人向きかな🙄

とちあいかは欠点が少ないが、あえて欠点を言えば食感が硬い品種なので、お年寄りや女性は好まないのではないか🤔   …というか、熟度等を攻めれば食感は良くなるけど、栃木県の戦略としては美味しくしようと思えばできるのを世の中に示せれば良いと言う感じだと思う。

これは全国いちご選手権の最高金賞の宮田さん。今朝の記事です。このくらいの作り手なら、とちあいかのポテンシャルなら、あまりんを追い越すのもそんな難しくはないのはこの記事を見れば分かります。

かなこまち 武井さんのは今回も安定し、今までで1番美味しかった。酸は少し早どりしたので若干酸が強いが全く問題なし。

かなこまち 澤地さんのはデカく伸び伸び作っていて、糖も十分、やや早どりで酸味も強いが美味しい。

今回、外観比較と食べ比べしてみて、かなこまちはとちおとめの外観品質(整形で均質)にはまだ到達していないし、輸送力もとちおとめの方が高いと思いますが、意外とかなこまちも日持ちが悪くなくて、オサレもそんなになかったです。県内限定なら大丈夫そうですね。

食味に関していえば、海老名と寒川のJA農産物直売所では他品種より真っ先にかなこまちから売れていくのを目撃しているし、武井さんの直売所でもかなこまち目当てのお客さんが相当に多いから、県内に限りかなこまちの商品力は大丈夫だとちょっとホッとしましたね🤣

ただ、かなこまちはイチゴ作りに熱心な方でないと、なかなか本来の特性を引き出せないというところがもどかしいです🥺


最後の食べ比べで言おうと思ってますが、かなこまちは、根をしっかり作る人向きで、肥料は標準ないし、やや少なめだと思います。これを勘違いしてる人が意外と多いです。

澤地さんのかなこまちは、肥料が多いというよりは土の力(地力)がありすぎて根ができすぎ。地力をそのままなら肥料を1〜2割くらい減らして作ったら、形ももう少し均一化すると思いますね。

ただ、澤地さんのお父さんはデカい強い樹を作って、デカい実を作って省力かつパック数を出すという優秀な農家の典型的な栽培だから、たぶん息子さんも踏襲されているし、これもまたアリかもです。

農家は唸るほど沢山作ってナンボですから。

紅ほっぺは、ボクが選抜した「かなこまち」の親です。正確には♀紅ほっぺ✕♂やよいひめの交配の母親。


一方で、世の中でイチゴの話題になっている「あまりん」は♀やよいひめ✕♂ふくはる香の交配。


紅ほっぺは♀章姫✕♂さちのか。ふくはる香は♀章姫✕♂さちのかで、祖父母まで辿れば同じです。しかし、品種特性がかなり違うのは、かなり意味があります。


イチゴは8倍体だけど、同質倍数体なので2倍体の遺伝をすると言われているので、祖父母の遺伝子をどれだけ受け継いでいるかによります。


例えば株あたりの収量は紅ほっぺは600g/株ですが、ふくはる香は500g/株と少なく、同じ交配なのにかなり差があります。これは、ポリジーンがどれだけ重要かを示唆しています。



さて、今回、紅ほっぺを選んだのは、かなこまちと交配親との比較の確認です。もちろん、自分の栽培で比較はしてますが、両品種とも同じ環境で、必ずしも品種に合った最適化をしてないからです。


ちなみに試験は2月28日(土)に行っています。



今回はいつも通りの対照品種が真ん中上4パックの海老名市の武井さんのかなこまち。

下の左は平塚市の相曾さんのかなこまち。真ん中が小田原市の小清水さんのかなこまち、右は小田原いちご部会の紅ほっぺ。略称は産地の市で示してます。同じかなこまちでも、かなり大きさや色に差があります。


外観比較


果形

 紅ほっぺ  先端がやや丸みのある円錐形 整形 そう果かなこまちと同じくらい。果面のデコボコはない。

かなこまち海老名産  長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれあり。

かなこまち 小田原産 長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれなし。

かなこまち 平塚産 長円錐形 若干の縦溝が見られる。先端が尖るものとやや平たいものが混ざる。ヘタ下のくびれあり。


果色と色ムラと光沢

紅ほっぺ  赤色 色ムラなし。表裏の色乗りは均一。光沢は8くらいで、ややかなこまち海老名より少し劣る。

かなこまち 海老名産 表裏とも濃赤色で均一。光沢は10で、強い。


かなこまち 小田原産 表裏とも濃赤色で均一。ただし、熟度が4.5〜5と混ざる。光沢は9〜10。

かなこまち 平塚産 やや淡めの赤色。色ムラはない。先端がやや透けている。光沢は7。紅ほっぺより少ない。

そう果の色

紅ほっぺ  黄銅色〜赤色〜黒いものまであり、果実によって変化大きい。

かなこまち 海老名産 ほぼ均一に表裏とも濃赤色。

かなこまち 小田原産 黄銅色〜濃赤色まで変化あり。表裏でも異なる。

かなこまち 平塚産 黄色味〜黒いのまでかなり混ざる。


ヘタの形状

紅ほっぺ  薄くてごく小さめ。果実にぴったり密着

かなこまち 海老名産 やや硬めの水平に張っているものが多い。

かなこまち 小田原産 海老名産と似ているが熟度浅めのは果実に被る。

かなこまち 平塚産 かなり時間が経って水分が抜け気味の感じ。水平より上にバラバラ張っている感じ。


果実内部比較


香りの強さ

紅ほっぺ ☆☆☆☆☆☆☆ 7 

かなこまち 海老名産 ☆☆☆☆☆☆☆ 7 

かなこまち 小田原産 ☆☆☆☆☆☆☆ 7 

かなこまち 平塚産 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8


香りの質

紅ほっぺ バラ科のフローラルな香りに、赤ブドウの皮の香りが含まれる

かなこまち バラ科の香りに、僅かやよいひめの甘い香りのニュアンス。

かなこまち 小田原産 バラ科のフローラルな香りで紅ほっぺに近い。

かなこまち 平塚産 基本バラ科のフローラルな香りであるが、甘い果実に特有の香りも含まれる。


※紅ほっぺは大人しくあまり主張しない感じ。今回のかなこまちの香りは海老名、平塚とも主張は少なめで、強い香りではない。平塚産のみ熟度の高い果実の匂いがある。今回も、胡麻のような香りは全くない。


甘味の強さ

紅ほっぺ ☆☆☆☆☆☆☆ 7 

かなこまち 海老名産☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9

かなこまち 小田原産☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9

かなこまち 平塚産 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10
   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10 

※紅ほっぺはさっぱりした甘味で、これが全体にあっさり感となるのかもしれない。 あっさり感は言葉を変えれば味が薄い感じがします。
かなこまちの方は甘みは強いがやや丸みのある感じ。


甘味の持続性(後味の余韻)

紅ほっぺ ☆☆☆☆☆☆☆ 7

かなこまち 海老名産☆☆☆☆☆☆☆☆☆9 

かなこまち 小田原産☆☆☆☆☆☆☆☆8

かなこまち 平塚産 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10


※紅ほっぺの甘味は標準的で、今でもこのくらいであれば良さげだが、やや酸味を強く感じるせいか、甘酸っぱい印象を残す。かなこまちは持続的な甘さの余韻ありました。特にかなこまち平塚産は寒締めと水分控えめを両方やっているのか!? 甘さが全体に回って凝縮した感じ。


酸味の強さ

紅ほっぺ ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8

かなこまち 海老名産☆☆☆☆☆☆6

かなこまち 小田原産 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8 

かなこまち 平塚産 ☆☆☆☆☆☆ 6


※紅ほっぺはそれなりに酸味があるが、甘味があっさりなので酸味をより感じる。かなこまちは明らかに紅ほっぺより酸味があるが、意外と糖度とのバランスで少なく感じる。


食味の濃厚さ

紅ほっぺ ☆☆☆☆☆☆☆ 7

かなこまち 海老名産 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10

かなこまち 小田原産 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 平塚産 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10+



食感

紅ほっぺ : 柔らかい肉質で粘質。

かなこまち 海老名産 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー

かなこまち 小田原産 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー

かなこまち 平塚産 口の中でほどけるがメルティング質とまでは言えない。粘質。ジューシー感は他のかなこまちよりは少なめ(空洞が僅かあるので、節水気味?)



果汁感

紅ほっぺ ☆☆☆☆☆☆☆☆8 

かなこまち 海老名産☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10

かなこまち 小田原産☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10

かなこまち 平塚産 ☆☆☆☆☆☆☆☆8 



終わっての感想

紅ほっぺの酸がかなり残る感じと、スッと余韻が消える印象が残った。これは、今の甘さのパンチ力がもて囃されるトレンドとはかなり異なる気がする。

もちろん、紅ほっぺの味が好きな人も当然いますし、そもそもイチゴは半世紀前には牛乳と砂糖をかけて食べていたんだから、そんなに甘いものではなかった。

ボクは福羽もダナーも食べてますが、そんなに甘い果実じゃないです。

そもそも、ボクは果実の食味って大多数が受け入れられたら良くて、特別である必要はないと思います。農家の収入が確保できて、消費者が手ごろで買いやすい値段で買えて、家庭でカジュアルに楽しめるのが1番だと思いますね。


武井さんのかなこまちの品質と食味は、今回も安定してました。恐るべき品質の安定性で、ボクが懸念していた貯蔵中3〜4日間は傷みや変質がないから、輸送中の傷みさえないようにパッケージに気をつければ遠方輸送もできると思います。

小清水さんのかなこまちはやや酸味を強めに感じるが、月を追うごとにおいしくなってました。人に贈って喜ばれました(小田原市のふるさと納税の品目にもなってる)。ご本人が言うにはケーキとか加工にするには甘さは足せるが酸味は足せないって言ってたから、加工を意図してのものかも。

相曾さんのかなこまちはあまりんを意識したかのように、果実全体に甘味のある特別品でした。酸味のニュアンスがある分、あまりんより味の輪郭はあるような感じがする。


紅ほっぺは偉大な品種で、収量はおそらく初めて章姫を上回り、食味などもバランスのある甘酸は画期的だけど、しいて欠点を挙げるなら、果実が柔いこと。今回も果面のオシ傷みは思ったよりあって、これは近距離輸送以外無理だと思った。

静岡県の紅ほっぺ後継の「きらぴ香」は絶大な収量と極早生性でありながら、紅ほっぺとなかなか代替されない(その理由は奇形果が多いと聞いた)から、トータルで良い品種を作るのが如何に難しいか!ということですね😀

今回は、2月24日に御徒町の吉池行ったら、かなりレアな越後姫を売っていたので、海老名の武井いちご園さんのかなこまちと比較してみました😀


右が越後姫、左がかなこまち海老名産。越後姫は5個798円。かなこまちは8個800円です。


越後姫はホールパック

かなこまちはふつうのパックです。


外観比較


果形
越後姫  丸に近い円錐形 やや不整形 そう果少なめで果面のデコボコが多い感あり

かなこまち 長円錐形 そう果の密度は越後姫の1.5倍くらい

果色と色ムラ
越後姫  淡赤色〜赤色 色ムラあり、表裏の色乗りはほぼ均一。部分的にやや白っぽくなる(低温管理?)。

かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。


ヘタの形状
越後姫  ぽってりして、小さめ。果肉に食い込む。

かなこまち 薄くて、わりと細く撚れて、上下にバラバラと着生


果実内部比較

香りの強さ
越後姫 ☆☆☆☆☆☆☆ 7

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆ 7


香りの質
越後姫  バラのようなフローラルな香り。かなり良い香り。

かなこまち  今回はバラ科の香り。3日目なので、熟度が進んで甘い匂いが含まれる。

※越後姫は温和だが、芳香剤のような花の香り。今回のかなこまちの香りは熟度が進んで、甘い香りが勝っていた。購入して3〜4日間が消費期限かも。


甘味の強さ

越後姫 ☆☆☆☆☆☆☆ 7 爽やかで、穏やかな甘味

かなこまち ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
    先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9

※越後姫はさっぱりした甘味でごく優しい感じ。かなこまちは強いがやや優しい甘味。


甘味の持続性(後味の余韻)
越後姫 ☆☆☆☆☆ 5

かなこまち  ☆☆☆☆☆☆☆☆8 

※越後姫は口に入れた瞬間の甘味は感じるがヘタに近いボディの甘味が弱め。かなこまちは持続的な甘さの余韻ありました。

酸味の強さ
越後姫 ☆☆☆☆ 4

かなこまち  ☆☆☆☆☆☆6

※越後姫はそれなりに酸味があるが、甘味があっさりなので酸味をより感じるかも。かなこまちは明らかに酸味があるが、意外と糖度とのバランスで少なく感じる。

食味の濃厚さ
越後姫 ☆☆☆☆ 4 かなりあっさり

かなこまち ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10

食感
越後姫 : ごく柔らかい肉質で、章姫並み。粘質。

かなこまち : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつジューシー


果汁感
越後姫 ☆☆☆☆☆☆☆☆8 

かなこまち  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10


終わっての感想
越後姫は実は初めて食べたのですが、印象的にはあっさりして、糖は穏やか、酸も穏やか、香りは控えめだけどよい香りで、上品な味だと思う。口に入れた瞬間のインパクトはかなりあります。

ボクは糖に関してはインパクトも大事だけど、さらっとした和三盆糖みたいのが好きで、越後姫にはそういう甘さの質の良さを感じた。

ボクが選抜した個体の中にもそういうのが2個体あったけど、他の形質がダメで選べなかった。

ただ、今のイチゴ愛好者ってやたらとあまりんみたいな甘さの刺激を求める傾向があるような気がして、こういう上品な甘さの品種は今後は選ばれない運命かもしれない🤔 

新潟県で根強く残って欲しい品種だと思いました。