ふ~さんの音楽とか料理とかのブログ

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日々考えていることとか日常のこと中心です

イチゴの季節はもう過ぎ去りつつあり、最後の名残りの時期なんですけど、まだかなこまちの感想や記事を書いてくれている消費者の方とかがいらっしゃって、本当にありがたいです。お礼申し上げます🙇


消費者だけでなく、神奈川県内の野菜ソムリエの方、たぶん高崎さんかな?🙄  普及、啓蒙活動していただいて、イベントも多数やっていただいて、だんだん知名度も上がってきた気がします。


ボクの部下であり、弟子だったKさんがセミナーで県内の野菜ソムリエさんにいろいろ情報出してくれたこともありますので、持つべきものは優秀な部下だよなぁ、とも思ってます。


今回、SNSなどで取り上げて戴いたものをご紹介したりして、ちょっとかなこまちの特性なんかも説明したいと思います。



こちらがリンクです👇

https://note.com/kanakomachi_fan/n/nb66e2c7f2b5d


神奈川県とかなこまち愛に溢れていて、ありがたいですね〜😀


こちらは生産している農家さんにも取材されております。


やっぱり、地元の方に浸透してもらいたいから、こういう活動が一番ありがたいですね。



いちごラジオというイチゴ好きな2人が運営しているサイトでも紹介していただいてます。


https://note.com/ichigo_radio/n/nfd47c0863a3d


けっこう、思ったことズバズバ言われる(多くは当たっている)んで、ちょっとマイっちゃうところもありますが〜🤣


例えば、「かなこまちは完熟してないと、味がそこまで乗らない…」っていうくだりなんですけど、品種を作る側から言うと、どんな品種でも未熟果は味が乗らないです。


ただ、味の乗り方には何タイプかあって、例えば


◯あまりん…栄養成長が休止して、休眠に近い状態になって糖度が蓄積されるタイプ。甘みは出るが、このタイプは収量が出ない。


◯紅ほっぺ、章姫…栄養成長があまり極端に休止せず、果実成熟と栄養成長が同時進行するタイプ。このタイプに近いものが最も市場性(収量)と嗜好性のバランスが取れていて味も乗りやすい品種が多いが、一方で糖度やコクは一定以上には上がらないものが多い。


◯かなこまち…栄養成長がやや強めで、栄養成長を抑えつつ、かつ地上部と地下部の充実を伴わないと味が乗りにくいタイプ。果実成熟に時間がかかる。糖度やコクの出方には奥行きがあり、味が乗れば美味しい。休眠しないから、連続出蕾性とか収量性はあまりんほど犠牲にならない。


他にも、いくつかタイプがあるけど、かなこまちはたぶん農家にしてみると成熟がなかなか進行しなくてかったるい1面があると思うね。それは言われました。


光を好むから、日当たりが悪かったり、樹が肥料漬けで根ができてなかったり、成熟が未熟だったりすると美味しくない。環境や作り手を選ぶ品種と言えるかもしれない。


晩生で、休眠タイプで良いなら、あまりんみたいなのは育成できるけど、このタイプは観光イチゴ園では採用できないよね。たぶん、埼玉県でもあまりんのもぎ取り用は少ないと思う。神奈川県では絶対にムリ。


食べる側からはいろいろ注文があると思うけど、品種の育成者や栽培する農家さんにはできること、できないことがあるから勘弁してね!というのはあるね🙏



他にも消費者の方のSNS投稿たくさんありました。

令和7年度産で比較的新しいものから。



こちらは、相模原市の観光農園のかなこまち。バランス良いとの評価を戴いた。

紅ほっぺがすごいのは、多収も高品質のどちらも目指していけるところ。育成者の竹内さんがこの親の組み合わせ(さちのかと章姫)ではこれ以上の品種はできないと論文にしただけのことはあります。



こちらは相曾さんのかなこまち。彼はかなこまちの糖度や風味を引き出してくれたから、普通の消費者に分かりやすい良さを伝えてくれたと思います。


今年、いろんな食品業界の素材でもかなこまちを使ってもらいました。


超有名なキルフェボンでも、かなこまちのタルトがあります。こういうところで使ってくれると消費者にも名前が売れてありがたいです。



これは、イチゴス横浜かな? かなこまちは高設栽培だとちょっと難しい品種かもしれないけど、こちらイチゴス横浜を含めて横浜や川崎は食味評価が高い高設栽培が多い気がする。


こちらは津久井浜だから、高設も土耕もあります。気に入ってもらってありがとう😀


あまりんは食べなかったのかな?
東京でかなこまち買うとなると1パック2000円以上すると思うけど、値段すごいよね。

こちらは、サッカーのイベント会場で売っていたらしい。他にも複数の投稿がありました。ながさわファームさんのかなこまちも評判良いです。

開成のパン屋さんがかなこまちを使ってくれてますね。


増子さんと言う方はインフルエンサーかな? 海老名駅前のイチゴのイベントで、かなこまちを宣伝してくれてる人もけっこういました。

スイーツ好きな方に食べて戴くと嬉しいですね。

実は、イチゴの育成を始めたときに、日本一のグラスデザートと言われていた町田のカフェ中野屋のパフェを食べに毎週のように通ってました。

スイーツとは何かを考えるためです。


当時、イチゴ1粒で、スイーツとして表現するのを目標にしたいと思ってましたね😀


スイーツ屋さんとのコラボを楽しんでくれて何よりおねがい

これも。


こちらはかなこまちとおいCベリーを好評価戴きました。

おいCベリーは、年間あまり食味変化が少なく、農研機構の久留米系品種特有のコクもあるので、かなこまちと交配したこともありました。ボクはおいCベリーは育種親としても良いと思うけど、岡山県以外は産地はないかな🙄


こちらの方は、毎週のようにかなこまちをお買い求めいただいて、お弁当にされております。ありがとうごさいます。


タレントの柳原可奈子さんにも食べていただきました😀 ありがとうございます。


甘くて美味しい評価ありがとうございます。かなこまちは、市場出荷の農家がほとんどいないから、スーパーにはほとんど並ばないです🙏


甘酸っぱくて美味しいとのこと、ありがとうございます。美人さんが評価すると、すごいイイね!が多くてありがたいです🙏


いちごラジオのいちごつみさんが、相曾さんのいちご園をインタビューした記事ですね。今年は3月上中旬頃に、どこの産地も絶望的な端境期になりましたが、他の園との違いは分かったかな?

かなこまちは、あまり早くから収穫できず、せいぜい12月20日から収穫だけど、あまり長い中休みがないのが特徴で、相曾さんはそのパターンに乗れたと思います。

いちごラジオマネージャーさんはSNSで取材しないのかな? けっこう鋭い視点をお持ちだと思うけど。



吉原いちご園さんも評判良い観光イチゴ園です。

プロの市場の方にも食味では複数好評価を戴いた。でも、果肉がメルティング質に近くするために、衝撃には弱いのでご迷惑おかけしてます。果実のオシには紅ほっぺより強いんですが、扱いづらくて申し訳ないです🙏

この方はイチゴの食べ比べイベントに出られた方だと思うけど、なかなか評価が鋭いので、好評価いただいたのは嬉しいです😂

この方のあまりん評価。ボクも、あまりんは甘味だけでなく、美味しいと全面的に思うが、収量が取れないので評価できない。作り手の経営を考えてない育種はダメです。

とちあいか、魂の抜けた味というのが笑ってしまった🤣 ボクも消費者としては、画竜点睛を欠いているとしたら、味の深みやコクだと思う。でも、やっぱりとちあいかは凄い。

この育成者も噂は聞いていて、信念があって筋が通った人物だとのこと。

こちらの方も気に入っていただいたようです。
続き…

同じ方の投稿👇


続き👇

かなこまちがあまりんより好きな甘さと言って戴いたのは大変嬉しい😂。ボクが思うに、食味の好みは人それぞれだし、イチゴも生き物だから、作り手、作る時期で変動もあります。だから、絶対にこれが良いとは口が避けても言わないし、総合評価もくださないですね。



rilakkumaさんはイチゴマニアっぽいね。かなこまちの投稿を見てから、こちらを投稿されていたのですが、あまりんとか、かおりんとか、高級イチゴを出している農家さんのものは相当に食べているようです。

高い評価はありがたいけど、正直、トレンドであれこれといろいろ評論されるのは苦手。品種を作るのは、流行とかであれこれ変更できないからね。もう、ひたすら、信念を持って育種目標に向かうしかないですから。

作り手も、簡単に栽培を確立できないです。食べるのは一瞬だけど、作るのは年単位です。



おいしいいちごの本を出した匠さんの最近の投稿。この方は「凄くたくさん食べていて、いろんな品種の味をよく知っている」と武井さんから聞いてます。

本では、かなこまちの評価に「ただ、口の中で甘味が抜けていくのがやや早く、後味がやや水っぽいのが弱点かもしれません。」と書いてあり、そこは違和感あったから、今回の食べ比べ企画をはじめたんだよね。

2024年の本だから、まだ、かなこまちの作り方も確立してなかったからかもしれない。

導入当時は肥料食いの品種だ!との誤った風評があり、肥料を多めにしていた人が多かったせいかもしれない。

葉色が薄めで、かつ下葉の黄化が早いことから、肥料を多く必要と思ったのかもしれないが、少量多回数かん水による根作りや、秋の夜温をなるべく抑えて呼吸消耗を防いで、11月からは保温して葉面積拡大して葉作りするという、ひたすらイチゴ作りの基本を守れば品質と収量取れると思うけど。

だいたい、ボクの栽培の基本は海老名市や小田原市の名人から学んだから、そんなに突飛な方法ではないです。

ミツバチの訪花が慣れにくいとか果実を扱いづらいのは、本当にごめんなさい🙇だけど。


最後に、ブログで、かなこまちを買っていただいたkatさんの記事
katさんは1回ハズレかなこまちを掴んでしまい、その節は申し訳なかったけど、初期はひどいのも出たね。今回は、食味が良くて良かったです。

ランナーがバカスカ出てるのに、肥料盛ったらどんな果実ができるか想像もできないのかな〜?🤔

章姫(肥料盛ってもあまり味が変わらない)しか作ったことないのかな?


このくらいにしておきますね。

もちろん、並み評価もありましたが、概ね好評だったのと、何よりかなこまちが神奈川県民にかなり定着しつつあるのがありがたい。リピーターあって安定しますので。


最後に野菜販売者のイチゴ評価を紹介します。

むかしからある八百屋さんの勉強会の記事です。
この中で食べ比べをしてます。

かなこまちはないけど、興味深いデータがあります。

まず、価格を考慮した上での好み

1位 とちあいか、2位やよいひめ、プレミアムやよいひめ、古都華が同数。

なんと、 あまりんは6位にも入ってないです。

これ、地方じゃなくて東京の八百屋さんですから、東京でさえ、あまりんの価格は売るのにムリってことですね。

世の中、イチゴに月何万円も消費できるような人ばかりじゃないということですね。


それと、もう一つのデータ。

価格を考慮しないで、好みを選ぶと、

とても好み  古都華>とちあいか>紅つやか>あまりん>紅ほっぺ>やよいひめの順

好み  プレミアムやよいひめ>とちおとめ>あまりん>いちごさん≒古都華の順

いずれもあまりんパッとしません。

つまり、イチゴマニアが思うほど、イチゴ選手権とかで連覇しても、八百屋さんでさえあまりそういうのは影響しないと言うこと。

食というのは、超保守的でいくら識者が主張してもそんなに趣向は変わらないと言うことです。慣れ親しんだ味が意外と強い。

あまりんは1個 200円とか馬鹿げた価格設定を見直して、1段積みパック700円台を投入するしかないと思うけどね。それで、大衆の評価を定着させる。そうなると、特別栽培ばかりじゃなくて、ほどほど美味しいのを生産性向上するしかないと思うけどね。

新しい電照技術でも開発したらどうか?


かなこまちが救われてるのは、2段積みパック550円からあって、レギュラー品が700〜800円、特別品1400〜1500円と幅があり、割とJAの農産物直売所で買えるようになってきた。

もう少したくさん作ってほしいけど、リピーターが増えているのは幸いです😀

前回で評価は終わりなんですけど、古都華とか、他にも品種を食べてみましたので、その感想とか、この企画を振り返っての感想ですね。


昨日(4/11)、相曾農園さんのかなこまちを買ってきました。大きいのは2L〜3L、小さいのはSかな〜🙄

これが、外観。

比較する品種は奈良県産の古都華



古都華の外観


外観比較


果形

古都華
こちらは古都華の表面と断面

古都華の表と裏。そう果の色が違います。


古都華は 先端丸めの円錐型で、おいCベリーに似てますが、ゴツゴツ感は古都華の方が少なく整形。そう果の密度はかなこまちより踈です。浮き種ではないが、そう果の沈み込みはかなこまちの方が深い。オサレは少し出てましたね。それほどデリケートでもないです。カットした面は芯がぼんやりした白と紅のグラデーションで、外に近い方が赤に着色してます。


かなこまち
相曾さんのかなこまち、表面と裏側。相曾さんのかなこまちも表と裏の色が同じになりましたが、そう果の色は表面が赤が強く、裏は黄銅色です。小粒も同じ傾向でした。


断面は2Lではこんな感じ。前の試食時よりも少し着色が濃いめ。

こちらは小粒のかなこまち。


2Lのヘタ下のくびれと伸び。ヘタ下縦割れ(右)。

2Lは長円錐形で整形であるが、先端形は若干の変異がありつつも尖りのある形状。果面のデコボコなし。ヘタ下のくびれあり、ヘタ下やや伸びる。そう果も他と同じ。オサレは今回ほとんどなし 。


小粒のかなこまちのヘタ下の伸びはあったりなかったり。


果色と色ムラと光沢


古都華  濃橙赤色で色ムラなし。かなこまちより少し明るめの赤。表裏の色乗りは均一。光沢は8〜9。


かなこまち  表裏とも濃赤色で均一。熟度が4.5〜5でかなり攻めた熟し方。光沢は9。



そう果の色

古都華  表面は赤が少なく黄銅色主体、裏面は黄色っぽい黄銅色。


かなこまち 表は濃赤色。熟した果実は黒っぽい赤。裏側は赤色に黄色混ざる。小さい方も同じ。



ヘタの形状

古都華  ぽてっとした厚みのあるヘタで上に向く。大きさはあまりんと同じくらいかな?チップバーンはない。なり始めてからの時間はヘタの状態からしてそれほど長くない。低温栽培ではない。


かなこまち  形状は細長めのバラバラと上下に向く。チップバーンはない。時間かけた感じで、低温気味栽培であるが、春の暖候期で前回よりヘタが若い感じがする。



果実内部比較


香りの強さ


古都華 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9



香りの質


古都華  何とも言えない素晴らしい香りで、理想的な最良の香。果物の香りとしては雅な香りと言ってよい。こういう香りの品種を作りたかった。


かなこまち  今回はかなり紅ほっぺのようなバラ科の香りに、熟した果実に含まれる甘い香りを含む主張がある。小粒の方が主張は弱い。



甘味の強さ


古都華 ☆☆☆☆☆☆☆☆8

かなこまち ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10


※古都華は紅ほっぺと同等くらいの甘さ。甘さとしては、かなこまちと比べたら低い。かなこまちは今回も振り切った甘さで、あまりんより甘いくらい。ただ、今回は先端の甘さが強くて、先端以外は前回より落ちた。それでもまだ甘くて訴求力のある美味しさは驚異的。そして、2Lも小粒も甘みはあまり変わりありませんでした。




甘味の持続性(後味の余韻)


古都華 ☆☆☆☆☆☆☆☆8

かなこまち ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10


※古都華の甘味はそれほどではないが、素晴らしい香が甘味を包んで、余韻は長い。


かなこまちは甘すぎるくらい甘いから、後味が残る。今回、2Lと小粒の差はそれほどなく、両方とも美味しいから、安価な分、小粒はお得感が高い。



酸味の強さ


古都華 ☆☆☆☆☆☆6〜7

かなこまち  ☆☆☆☆☆☆☆☆8


※古都華の酸味は尖っていないから、他の食味や香りを損なうかんじはない。かなこまちは前回よりも酸味を感じた。



食味の濃厚さ


古都華 ☆☆☆☆☆☆☆☆8

かなこまち  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10


※古都華の果実は一口で凄く美味しい❗と感じるもの。というか、素晴らしい香りに包まれて多幸感を感じる。正直、食味の濃厚さとか関係ない次元の食味。かなこまちは前回とほぼ同じ。やはり濃厚さは抜群に感じる。小粒も十分に濃厚で美味しい。



食感


古都華 : 粘質で滑らかで、口の中で解けるように溶ける。質感と食感のバランスが良くて、程よい充足感がある。


硬い品種のとちあいか、やよいひめ、堅しろうはたくさん食べると少々胃もたれする。胃が健康な人や若い人は良いが、この点は胃腸が弱い人には欠点だと思う。


かなこまち  : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー。2Lも小粒も同じ。古都華よりは食感がやや軽めか!?



果汁感


古都華 ☆☆☆☆☆☆☆☆8

かなこまち ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10

   ※2Lも小粒も同じ。


終わっての感想


古都華はすごく美味しいだけじゃなくて、香りの良さが抜群で、華やかで他にない食味、バランスも凄い良いいちごです。香りの良さがすべてを決定づけているようですね。ただ、甘さ一辺倒なものがウケる世の中の傾向においては、この良さが分かる人がどれだけいるだろうか?


栽培された奈良いちごラボさんの栽培ですが、品種の能力を引きだすのに長けた方だと思います。


古都華は収量がイマイチらしく、かつネット情報では、萎黄病がメチャ弱、炭疽病に極弱になってた(笑)  それで作りにくいとか?


炭疽病は確かに宝交早生やかおり野みたいにほとんど罹病しない品種もあるけど、感染に強いか弱いかを検定するのは難しいし、もし感染に弱いとしても総合防除で防げる病気だから、ことさら問題にするのは違和感がある。


案の定というか、関係者が言うには古都華は収量が低いから採用されず、アスカベリーみたいに収量が穫れる品種の農家人気が高く、最初は農家に受け入れられなかったそうです。


SNSとか情報が伝播しやすくなって、単価を高くしても売れるようになったことで古都華もクローズアップされて来たのかと思いました。


今回は武井さんの標準かなこまちがなかったから、番外編としたけど、相曾さんのかなこまちはまだまだ冬のいちごに匹敵する美味しさでした。


大粒と小粒の差はそれほどないという予想でしたが、概ね当たりました。ただ、小粒の方が果実によって食味の差異が若干あるものの、普通の品種の端玉よりずっと美味しいです。


これは、ボクが選抜したときに、千葉県の石川正美さんから教わった育種テクを使ったからで、大粒に揃えるのと、大小の味の差が出にくい選び方があるんだよね。人様から教わった技術だから、後輩にしか教えてないけど。



他の品種の感想


ほしうらら

前回、ほしうららを褒めちぎったんですが、ホントかどうか気になって、直売所のを買ってきました。


前回のかなこまちvsほしうららの記事👇



ほしうららは正直、2回目はガッカリしました。



これが買ってきたほしうらら。


具体的にどうかと言うと、さして甘みもなく、酸味は刺すような感じで、かといってコクも大したことがなく、これなら398円で買える味だと思いました。別物でした。

イチゴはこれが怖いと言うか、栽培の本質が分かる人と形だけイチゴを作る人とで食味の差が天地の差ほど出てしまう。

と言うことは、前回のほしうららを作った中里農園さんの実力がいかに高いかが分かると思います。


さくらももいちご


これがパッケージ

さくらももいちごの表面


さくらももいちごは、徳島県のブランドで、品種は明かされていません。ももいちごは愛知県の齋藤弥生子さんが作った品種、あかねっ娘ですね。

今回、安価で売ってたから買ってみました。

食べて❗❗❗❗❗

でしたね〜。これ、女峰と同じだと思いました。


女峰は、栃木県の赤木博先生が作った傑作だけど、玄人筋では、一般に出回ったメリクロンと、ごく僅かに初期だけ出回ったランナー増殖のいわゆる男の女峰があるのを認識してます。こちらは、たぶん後者だと思いました。


男の女峰は、実は神奈川県にもあって、ひそかに保持してましたが、草勢が強いというか、果梗がかま首を持ち上げてるような元気な株で、メリクロンとは全然違ってました。


これは、完熟の特別栽培してる農家もいましたが、糖度は最近の品種と比べたら低いけど、いろんな点で食味も優れていました。


当時、女峰は非常に多く交配に使用され、章姫始め画期的な品種をたくさん生み出してますが、それだけホンモノはものすごい品種だったのです。



恋みのり、そして古都華1回目
左は長崎産 恋みのり、右は奈良県産の古都華

恋みのり

恋みのりの裏表

古都華

古都華の裏表

恋みのりは、398円で売ってたもの。
長崎県は伝統的にさちのか、ゆめのかと硬くて流通性の良いものを栽培品種に選択してきたのですが、恋みのりもそのラインナップ上にある品種ですね。

甘みは古都華が8とすると、恋みのり4くらい。

酸味は古都華が6とすると、恋みのり3〜4

食味の濃厚さは古都華が8〜9とすると、恋みのり3
.
長距離輸送してるから、味の薄いイチゴなんだけど、オサレは少なくて、2段目の下面も綺麗な状態でした。

こういう品種も大切で、やはり流通性が良く、物量を流してくれる品種があって、産地も生産してくれて、どこのスーパーでもイチゴが並ぶ訳で、また、一方で特別なブランドも成り立つわけです。

別に、月何万円もイチゴ代にかけるイチゴオタクのためにイチゴ産業があるわけでなく、農家が生きる糧のための商品で、多くの人がイチゴを食べられるから、ボクは良い品種だと思います。


訳ありのイチゴ

訳あり品として、御徒町の吉池に並んでいた品物。698円。イチゴはどうしても傷みが出やすいから、パッケージを開けて傷んだのを捨てて、2個イチ、3個イチに仕分けてました。

少しオサレありましたが、全然問題なく食べられました。

上段はこんな感じ。

品種はおそらく、あまりんですね。

下段はこんな感じ。

品種は、特徴からあまおうでしょう。

比較する品種がなかったけど、あまりんにはこんな感想を書いてます。
「香りというよりは、甘味、酸味が同時に一気に感じて、適度な酸味がほどよく残る。非常に甘いが、パッションフルーツのような風味とコクが感じられる。冬のあまりんよりは甘くないがそれでも十分甘い。」

あまおうも、この時期になると酸味がかなり尖ってくるから、食味はまぁまぁでしたが、お買い得でしたね🤣


企画を振り返り


実は、ボク自身はまだあまりん出現前に品種育成していました。


その頃考えていたのは、スタンダードに作られているとちおとめ、紅ほっぺ、章姫、さちのかに少しでも追いつかなければ仕事の意味がないと思ってましたから、この4品種を対照品種として、収量と品質で上回らないといけないと思って選抜しました。


厳しかったのは、早生性で選抜し、早生にするとどうしても小果になりやすく、収量も出ません。また、早生にすると高温時期を経て、早く結実するのでマズい果実になります。


そこで、最低クリスマス出荷に間に合い、かつ大果、糖度、糖酸比が主要品種以上、かつ風味が良い濃い味わいを重視しました。他にも、文献には書かれていない多数の重要形質がありますが、引き継いだ担当者が野帳を紛失して、それは論文にされていません。


それで、当時は時間もなかったし、とにかく自分がいる間に決めてしまおうと選んだのがかなこまちでした。


今までは、標準品種より良い系統、個体探しに必死に取り組んでいましたから、こんどはかなこまちを対照にいろいろ比べようと、企画を思い立ちました。

もう一つの理由。実はむかしから懇意にしていただいている農家さんから、1冊の本を贈られまして、これが匠さんという人が冊子にした「おいしいいちごの本  西日本編」でした。


それで、お礼に農家さんのところに1月に行ったら、「彼はものすごくたくさんの品種を食べて研究して、評価している」とのことで大変称賛していたので、それでは自分でもやってみようと思いました。


それで、まず、かなこまちは神奈川県でもずっとイチゴの美味しさに力を入れて、栽培方法も間違いない武井農園を対照にしました。それとかなこまちの栽培については、かなり早くから取り組んでいただい海老名市の澤地さんと小田原市の小清水さん、新進気鋭の平塚の相曽さんのかなこまちも比較に入れました。

全員、共通しているのは、みな土耕で、相曾さん以外はだいたい土壌分析もして、栽培方法もだいたい分かっている人ですね。いずれも、かなこまちの品種特性を発揮できる方です。


あまりん、紅ほっぺ、やよいひめ、とちおとめ…と比較しましたが、だいたい気になった品種の比較はできました。

'あまりん’については、イチゴマニアや消費者からは絶賛され、ボクも美味しいと思いましたが、ボクはこういう個体は絶対に選ばないです。

なぜなら、いくらなんでも’とちおとめ’の収量の2/3(約2.8t)しか穫れないのでは、採算を合わせるために高い価格設定になってしまうことです。


単収が低いと、増反して収入を補おうとしますが、あまりんのように果房間日数がかかるのは、収穫の山がぶつかると過剰生産になり、4月以降は採れすぎで過剰になります。連続出蕾して出荷が休まない品種が最上です。女峰は典型的な連続出蕾タイプでした。


現在、あまりんは比較的安いところで、特大4個から小10個で980円の店がありますが、この価格は一般家庭で喜んで購入できる価格ではないと思います。必然的に、一般家庭や物珍しいのが好きな人が試しに購入するのが一したら、物日需要に移行すると思われます。

これでは、一部のイチゴ好きか高収入のところで買われるだけになり、もったいないと思います。中国あたりの富豪さんなら買うと思いますが。


もっと、カジュアルに購入できる価格帯で販売しても、農家が再生産できるだけの収益があり、かつ多くの日本の消費者に満足いだける関係を作ることが県や国の使命としても大事なことなんじゃないかと思います。


あまりんの担当者が、普通に育種したのでは、栃木県などが生み出す品種には敵わないので、1点突破で食味選抜したとおっしゃってましたが、収量だけは妥協してはいけないと思いましたね。

*しかしながら、埼玉県OBで、事情通の方にお聞きしましたら、試験研究では行政内部から、他県に比べてロクにイチゴの品種が出ていない攻められていて、いちかバチかの食味優先の育種だったと聞いて、とても気の毒になりましたが・・・。

今回は、ほしうららというイチゴ品種を試食して、神奈川県のかなこまちと比較してみました。


ほしうららは三好アグリテックと言う会社が、農研機構と組んで作った品種ですが、むかし、まだ試作ナンバーで農家で試作していた時に食べたことがあります。


その時は正直言うとあまり美味しくなくて、はたして普及するのかな?🙄と思ってました。



その後、かなりの観光イチゴ園で採用されて、多品種栽培をしている品種の中では「ほしうららが美味しかった」というコメントをチラホラ見かけるから、気になってました。スターナイトも、たまに美味しい品種にコメントで挙げられてます。



ちょうど、栃木県の中里農園さんのほしうららが御徒町の吉池で売ってましたので、買ってみました。


標準品種はいつものとおり、かなこまち(海老名の武井さん)と今回はかなこまち(平塚の相曾さん)を比べました。


比較は3月22日に行っています😀


中里農園さんのイチゴは、東京の専門店では良く見かけますが、ほしうららは初めて。

これがほしうららのパッケージ表面の状態。

対照のかなこまち、武井さんのかなこまち


相曾さんのかなこまち


相曾さんの果実です。


外観比較


果形


こちらはほしうららの表面と裏側

カットしたほしうららの断面

ほしうらら  丈が短めの短円錐型です。そう果の密度はかなこまちより多い気がする。少し浮き種気味になります。裏側のオサレはほとんどないです。カットした面は真っ赤ではないけど着色してます。



武井さんのかなこまち、表面

武井さんのかなこまちは中も真っ赤が含まれます。

かなこまち 武井  長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれ少しあり。そう果は密度がかなりあり、若干沈みこむ。今回は少し下面の果肉がオサレありました。



こちらは相曾さんのかなこまちの表と裏側。裏側はわずかにオサレ。

相曾さんかなこまちの断面は少し薄めかな?

かなこまち 相曾 長円錐形で整形であるが、先端形は若干の変異がある。果面のデコボコなし。ヘタ下のくびれあり、ヘタ下やや伸びる。そう果も他と同じ。オサレは若干下面にあり。



果色と色ムラと光沢


ほしうらら   赤色で色ムラなし。かなこまちより少し彩度が高い赤。表裏の色乗りは均一。光沢は8。


かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。熟度4.5で、光沢は9。


かなこまち 相曾 表裏とも武井さんよりは明るい濃赤色で均一。熟度が4.5〜5でかなり攻めた熟し方。光沢は9。


右、武井さんのかなこまち、左が相曾さんのかなこまち。並べて撮影。



そう果の色


ほしうらら 表面は赤主体に黄混ざる、裏面は黄色っぽい黄銅色。


かなこまち 武井 表は濃赤色。裏側も同じ。


かなこまち 相曾 表は赤色、裏側は赤色に黄色混ざる。



ヘタの形状


ほしうらら  ややぽてっとした厚みのあるヘタ。大きさは小さめ。チップバーンはないが、なり始めてかなり時間が経ってるから、おそらく低温栽培。


かなこまち 武井 やや硬めの水平に張っているものが多いが上向き混ざる。チップバーンは今回なし。


かなこまち 相曾  形状は武井さんと同じ。チップバーンないが、武井さんより時間かけた感じで、少しヘタリ気味。低温気味に締めた栽培かな?



果実内部比較

香りの強さ

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8 〜9

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆ 7〜8

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8


香りの質

ほしうらら  紅ほっぺ様のバラ科の香りで、ブドウにも類似の香りがある。主張はそれほど強くない。


かなこまち 武井 バラ科の香り。主張は弱い


かなこまち 相曾 バラ科の香りに、熟した果実に含まれる甘い香りを含む主張がある。


甘味の強さ

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+


※ほしうららはかなりかなこまちに似た甘さ。武井さんのかなこまちと同じくらい。相曾さんのは振り切った甘さで、あまりんより甘いくらいなので、ほしうららより明らかに甘い。


甘味の持続性(後味の余韻)

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆9 

かなこまち 相曾☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10


※ほしうららの甘味は、酸味が弱めもあって、衝撃があり余韻も長い。

武井さんのかなこまちは前回とあまり変わらない。さすがに相曾さんのは甘すぎるくらい甘いから、後味が残る。


酸味の強さ

ほしうらら ☆☆☆☆☆5

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆7

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆7  


※ほしうららの酸味は大きく主張せず、最近の甘さ優先の酸味が弱めのトレンドな感じ。かなこまちは明らかに酸味があるが、まだ甘みの強さとのバランスが取れている感じ。


食味の濃厚さ

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+


※ほしうららの果実は一口で凄く美味しい❗と感じるもので、正直かなこまちと同じコンセプトの味作りにして、一瞬、ちょっと負けたかと思った。かなこまちは武井さんのは前回とほぼ同じ。相曾さんは甘味の強さが桁違いので、やはり濃厚さは抜群に感じる。


食感

ほしうらら : 粘質で滑らかであるが、メルティング質とまでは言えない。ただし、中はかなこまちより詰まってる感じ。表面の硬さはそれほど感じないが、硬いと思う。


かなこまち 武井 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー


かなこまち 相曾  少しだけ、武井さんよりは締まった質感。ほぼ武井さんのと同じ。


果汁感

ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10

かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10



終わっての感想


ほしうららはすごく美味しいうえに、食味選抜の考え方がボクにすごく似てるから驚いてしまったびっくり  そして、口に入れた瞬間から美味しい❗(甘いではない)から、これは大変だ〜🤯 と思ったくらいです(笑)


これは、中里農園さんの技術力もあると思う。品種には動かしがたい特性もあるけれど、品種6〜7割、栽培技術3〜4割だから、品種の能力を引きだすのに長けた方の栽培だと思う。


ただ、美味しいから、それが強く印象に残るかと言うと、そうでもなくて、何か個性を残すべきだと思ってます。ほしうららはすごく美味しいが、記憶に残りづらいような優等生的な感じも少ししました。


収量が気になりましたが、ネットでは分からなかった。もし、これで多収性なら、産地ができてもおかしくないね。



かなこまちは香りにわずかに含まれる個性とか、濃さに含まれる1種の独特な風味とか、食べてすぐにかなこまちと分かるような、食味の印象が残る個体を選んだんで、そこがほしうららとの違い。


また食べたいと県内や近県の人にリピートしてもらうことが神奈川県のようなイチゴ弱小県での生命線だと考えたからです。


ただ、個性ってすごく難しくて、嫌われないし飽きさせないが、しかし記憶に残るというのは永遠の課題かもしれない。



先週、武井さんと話していて、かなこまちアイスに続いて、羊羹も考えているという。かなこまちビジネスもやらなきゃみたいな感じで、「扱いづらい商品ではあるけれど、引き合いが大きいからね。あと、かなこまちは最後まで、食味が変わらないところが良いね。」と言っていだだきました。


武井さんのいちごというと、とちおとめが何と言っても全てにおいて超一級品なんだけど、かなこまちは客寄せにはなっていると思います。


これ、まさに狙っているところで、ボクは最初からとちおとめみたいな完成された品種を作るのはムリだと思っていたんだよね。たまたまボクがイチゴ育種担当になれたのは僥倖なだけだし、担当者として残された時間もなかった。


だから、少し品格は落ちるかもだけど、甘さも酸味も食味の濃さも違いが分かるもの、かつリピーターが付くような商品で、かなこまちの存在で他の商品も売れてくれたら❗と思った。商売の鉄則は、まず寄ってくる人の流れを作ることだから。



いちごソムリエの2人で運営している「いちごラジオ」で、かなこまちにもちょっと触れて戴いていて、「なんで、もっとかなこまちの宣伝とかをしないのか?」というお話がありました。


https://open.spotify.com/episode/4NX5ApLkyIcgjfIlcETTJB?si=q_iQvoqaS3O1neY3tgoIXg


まさに、埼玉県とかはあまりん等を多数、全国いちご選手権に送り出して、県や農協が推してるのに、なんで神奈川県は宣伝に消極的なんだ??と思いますよね🤣


だけど、もはや神奈川県内のいちごの共販組織でまともに機能してるのは海老名くらいで、県内いくつかある共販は小田原市、秦野市くらい。平塚市はほぼ観光農園に移行で、市場出荷の個販は約2名だけ。伊勢原市はもともと個販に近いし、あと他に残された量販店出荷は個販だけで、規格とかバラバラに出荷していて荷が揃わないし、仕方がないんだよね。



しかし、観光園では県独自の品種がほしいし、農協の直売所を賑やかにする商材は必要だし、そういう点ではかなこまちの特質が生かされてるのではないかと思う。


だから、かなこまちの旗とか、シールとか、チラシとか、そのくらいしか補助してないんだよね🤣


上に並んでる旗はたぶん神奈川県の補助。

絶対的な生産力の無さって、もう宣伝とかするだけの余地も残されていない訳で、それはごめんなさい🙏としか言いようがないです。


むしろ、あんまり有名になると、さらに入手しにくくなるから困るという県民の声もあります。



一方で、あまりんは全国で埼玉県が上位13番目という生産力がある訳で、共販も生き残っています。それで有利販売のためにもあまりん一丸で頑張るわけですね。そして、おそらくはかおりん、べにたままでは力が及ばない。


あまりんはその甘さゆえに、致命的な欠陥も孕んでいるわけで、ボクなら絶対に選ばない。だけど、それでも頑張って共販品目で選択した埼玉県の農家達のがんばりは大したものです。


これは、「人はパンのみに生きるにあらず」ということもあると思いますけどね😀

かおり野は、ボクが若い時からの研究者仲間である森さんが作った品種なんだけど、信念の人が作った品種だから、リスペクトせざるを得ない品種なんですね。


だけど、イチゴをむかしから育成しているある県の研究者達からはかおり野の評価はボロクソなんだよね🥺 「もし、品種改良するとしても、かおり野、サンチーゴだけは親にするなよえー」とまで言われたびっくり  香りがダメとか言ってた気がするが、もう詳細は覚えてません。


かおり野の出てきた背景は、炭疽病というイチゴの収量を最も低下させる病害の抵抗性を必要としていたこと。当時、三重県の主要品種であった章姫が比較的弱くて、それが理由だと思います。


かおり野は、炭疽病抵抗性、極早生、超多収性、輸送性もまあまあ良しという、スペックだけなら日本一の品種なんだけど、ボクが当時に思った感想は、あまりに草勢が強すぎ、従ってなり始め初期の果実はなんだか甘くないし、肉質や味も辛くないダイコンを食べてるみたいな感じで(^_^;) …でも、全期間通しては評価してません。


うちの育種陣も、ボクの3代前の人はかおり野をメインの親に使ってましたが、果実内が白くなるのが優性みたいで、しかも稀に発生する果実内が赤い個体はことごとく糖度が低いと。それで、「中身が赤色と低糖度が連鎖してるの?」って聞いたら、「たぶんそうだと思う」って言ってた。


それは深刻だと思ったけど、ボクの場合は紅ほっぺとやよいひめの後代には中が赤くても糖度の高い個体はたくさん出るから、今ではかおり野に限り、中が白い形質と高糖度との連鎖があるのかなぁ🙄と思ってます。


また、話が長くなってしまいましたが、3/16に比較をしました。



かおり野です。神奈川県産。

かなこまち、海老名の武井さん作。

かなこまち、海老名の澤地さん作

外観比較


果形


かおり野 胴体が太く、やや不整形の円錐形。そう果の密度はかなこまちと同じくらいで、少し浮き種になります。裏側はオサレが多少出てます。


かなこまち 武井 長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれあり。そう果は密度がかおり野と同じで、若干沈みこむ。今回は少し下面の果肉がわずかにオサレ。



かなこまち 澤地 長円錐形 先端の乱れは今回なく整形。果面のデコボコもない。ヘタ下のくびれなし。そう果も他と同じだが、下面は色が淡い。



果色と色ムラと光沢


かおり野 若干のオレンジがかった赤色 色ムラなし。表裏の色乗りは均一。光沢は7〜8。


かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。熟度4.5で、光沢は9。


かなこまち 澤地 表裏とも濃赤色で均一。ただし、熟度が4〜4.5で若どりもある。光沢は9。



そう果の色


かおり野 表面は赤黒く、裏面は濃緑。


かなこまち 武井 表は濃赤色。裏側は赤み帯びた濃緑。


かなこまち 澤地 表は濃い赤色、裏側は濃緑。



ヘタの形状


かおり野  ヘタの基部は果実に密着し、中間から上向きになる。チップバーンなし。


かなこまち 武井 やや硬めの水平に張っているものが多いが上向き混ざる。チップバーンは軽微。


かなこまち 澤地  武井さんと同じ。チップバーンなし。



果実内部比較


香りの強さ

かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8 

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆ 7〜8

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8


香りの質

かおり野 独特な香水様の香り。ニュアンスはバラ科とかでなく異種の花の香り。


かなこまち 武井 バラ科の香り。主張は弱い


かなこまち 澤地 バラ科の香りに、僅かミルキーな香りを含む主張がある。


※かおり野の香りは一種独特で、ちょっと他にはないかな?   今回のかなこまちの香りは武井、澤地とも主張は少なめだが、強くなってる気がする。今回も、胡麻のような香りは全くない。



甘味の強さ

かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8 

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆8

   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆8


※かおり野はちょっとしつこい感じの甘さ。 かなこまちはまだ両方とも果実のどこを食べても甘いが、ちょっと前回よりは酸が多めに感じる。だんだん変わってきたかな?


甘味の持続性(後味の余韻)

かおり野 ☆☆☆☆☆☆6

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆9 

かなこまち 澤地☆☆☆☆☆☆☆☆8


※かおり野の甘味は、意外と余韻が短い。

かなこまちは前回とあまり変わらない。


酸味の強さ

かおり野 ☆☆☆3

かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆7

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆7  


※かおり野は酸味が弱く、官能に占める割合は少ない。かなこまちは明らかに酸味があるが、まだ甘みの強さとのバランスが取れている感じ。


食味の濃厚さ

かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆ 7

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆8


※かおり野はとちおとめよりは若干濃厚だが、水っぽい感じがある。かなこまちは前回とほぼ同じだけど、やはり濃厚さは微妙に落ちてきたかな?


食感

かおり野 : 意外と粘質。しかし、なぜか水っぽい感じがする。上の写真のようにオサレが出るから、表面の硬さはそれほど硬くないと思う。


かなこまち 武井 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー


かなこまち 澤地 サクサク感もある粘質だが、芯は若干粉質気味のも混ざる


果汁感

かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10

かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10



終わっての感想


かおり野は甘いには甘いのだけど、香水っぽい香りが敏感な人には鼻につくかもしれない。あと、水分が多めなのが、それが甘さが口の中で残らない原因かもしれない。


かなこまち 武井さんのは今回も安定してましたし、まだ買いに行かねばと思うくらいに甘かった。若干、果実の緩みは出始めたかな?


かなこまち 澤地さんのも前回とほぼ同じ。酸味もあるが美味しい。



今回、かおり野の毀誉褒貶がよく分かった気がする。ボクはそれほど鋭敏な嗅覚ではないけど、今までの系列の香りとは違う気がする。そうでなければ、あの多収性と極早生では農家が採用するでしょ?


育種親に使うな!とボクは言われましたが、現在、極早生を作る親として多くの県で多用されてますけど、後代をさらに親に使うと、この香りの性質は残って発現する気がする。


三重県でのかおり野の普及状況ですが、10年ほど前には章姫がシェアのほとんどで、近年になって章姫とかおり野が五分五分になったみたいです。これは、章姫の柔らかい肉質でも97%県内消費だからだと関係者が言ってました。


この前、イチゴ農家で三重県の青年協の幹部の方とお話しましたが、彼はよつぼしを採用しているそうです。収量は穫れないけど、自分が作りたい品種だと言ってました。


うた乃については、気になる点があって、様子見だそうです。かなり、食味が時期的に変わるとか細かいことを言ってらっしゃいました。


せっかく品種を作っても、農家の求めるものと違っていて普及しないのは、ちょっと不幸ですね。


佐賀県のいちごさんみたいに、選抜の途中から農家に形質を見てもらった方が良いのではないかな🙄


あと、1回でいちごの比較は終わりです。最後までよろしくお願いします🙏

今回、イチゴの食べ比べで、かなこまち vs とちおとめにしたのは、とちおとめはかなこまち育成時の目標であり、育成の途中でも常に栽培して比較対照品種にしていたから、営利栽培での比較をしたかったんですね。

しかし、ボクはとちおとめを交配親には使いませんでした。

なぜ、とちおとめを交配親に選ばなかったかというと、ボクの同僚がとちおとめを親にして、4個体まで最終選抜しましたが、最後の段階で、奇形果等の欠点で品種にできなかったのを見ていたこと。

それと、さまざまな県でとちおとめを育種親にしていましたが、とちおとめを総合的に超える品種が1つも出ていないことです。


しかし、とちおとめは、絶対的な糖度を除けば偉大な品種であり、これを乗り越えることはイチゴ育種に関わる誰もが考えていたことだと思います。

「ゆめのか」を育成した番さんは、ボクが「どのような品種を目指して作ったのですか?」と聞いたとき、「「とちおとめ」とは全く違う品種を作ろうと思った」といってましたから、もちろん例外はあります。だけど、「ゆめのか」は番さんの個性的パーソナリティだからできたのだと思いますね。


前置きが長くなりましたが、今回のとちおとめは、神奈川県でも「とちおとめ」の品質や食味にこだわった栽培の武井いちご園のものを供試しました。試食日は3月7日です。

この後、3月15日にも買ってきて試食してますが、その話は後日に🙏

これは武井さんのかなこまち


もう一つ、参考として澤地さんのかなこまち


これが比較する武井さんのとちおとめです。

398円のとちあいかもあったから、参考比較です。


外観比較

果形

とちおとめ  先端がややとがり気味の円錐形で整形 そう果数はかなこまちより若干密度高い。果面のデコボコはない。

とちあいか  先端がややとがり気味の円錐で、とちおとめより先端近くのくびれ少ない。整形。果面のデコボコはない。

かなこまち 武井 長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれあり。

かなこまち 澤地 長円錐形 先端の乱形の入った整形。先端の形状の揃いは変化あり。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれなし。


果色と色ムラと光沢

とちおとめ 明るめの赤色 色ムラなし。表裏の色乗りは均一。光沢は9。かなこまち武井より若干落ちていた。

とちあいか 明るめの赤色 色ムラなし。表裏の色乗りは均一。光沢はとちおとめとほぼ同等〜若干劣る。

かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。熟度4.5で、前回よりやや若どり。光沢は10で、強い。

かなこまち 澤地 表裏とも濃赤色で均一。ただし、熟度が4〜4.5で若どりもある。光沢は9。


そう果の色

とちおとめ 黄銅色〜黒赤色。果実によって異なり、裏がやや薄いものはそう果も薄い着色。変化大きい。

とちあいか そう果の色はとちおとめに似るが、果実の裏のそう果は黄銅色になっている傾向。

かなこまち 武井 ほぼ均一に表裏とも濃赤色。

かなこまち 澤地 黄銅色が多く、濃赤色も混ざる。変化あり。表裏でも異なる。


ヘタの形状

とちおとめ ややぽってりで整形。果実に密着

とちあいか とちおとめに似るが、やや小さめで中心が果実に食い込む形状。

かなこまち 武井 やや硬めの水平に張っているものが多い。チップバーンは軽くなった。

かなこまち 澤地 海老名産と似ているが、武井さんのより大きめ。ヘタのくびれがほぼないから、果実に被る形状。


果実内部比較

香りの強さ
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆☆ 7 
とちあいか ☆☆☆☆☆5
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆ 6
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆ 6

香りの質
とちおとめ バラ科の香水のような香り。

とちあいか あまり主張がない。とちおとめの香りを弱くしたような感じ。

かなこまち 武井 バラ科の香りに、僅か紅ほっぺ風のニュアンス。主張は弱い

かなこまち 澤地 バラ科の香りに、僅か紅ほっぺ風のニュアンス。主張は弱い。

※とちおとめは最も主張があり、バラ科の花の香り。とちあいかは主張少ない。   今回のかなこまちの香りは武井、澤地とも主張は少なめ。今回も、胡麻のような香りは全くない。


甘味の強さ
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆☆ 7 
とちあいか ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10
   先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9

※とちおとめはさっぱりした甘味で、やはり今の高糖度品種と比べるとあっさり目の甘味。とちあいかの方が甘味を強く感じるが、糖の質は爽やかな甘味。 かなこまちは今回は両方とも果実のどこを食べても甘い。かつ濃厚な甘味で、糖を好む人には分かりよい甘さ。今までで1番美味しいと評価する人もいました。


甘味の持続性(後味の余韻)
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆☆☆8
とちあいか ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10 
かなこまち 澤地☆☆☆☆☆☆☆☆☆9

※とちおとめの甘味は、肉質が粘質のせいか甘味が強くはないが持続的。とちあいかはさらに持続的。
かなこまちは今回は最初から甘味が強く、酸もあるせいか食味にエッジがあり、持続的な甘さの余韻が残りました。


酸味の強さ
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆ 6
とちあいか ☆☆☆☆☆5
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆7
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8  

※とちおとめはそれなりに酸味がある。これに比べるととちあいかの方が酸味は1ランク弱い。かなこまちは明らかに酸味がとちおとめよりあるが、意外と甘みの強さとのバランスで酸っぱいよりは甘酸っぱい感じ。

食味の濃厚さ
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆ 6
とちあいか ☆☆☆☆☆☆☆☆8
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10

※アレ?って思ったのが、かなこまちは2月より味乗りが良くなってると思う。2月との比較はできないけど、3月になっても本領発揮できるのは、やよいひめの血統から戴いたのかもしれない。

食感

とちおとめ : しっかりした肉質ながらも粘質で食べやすい。ただ、上の写真のように意外とオサレに弱い。

とちあいか : りんごをかじるようなゴリッとした食感があり、あまり粘質度が高いとは言えない。ヘタ近くは粉質感もある。そのせいか、食後にやたら満腹感を感じる。ただし、398円のいちごだからねてへぺろ

かなこまち 武井 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー

かなこまち 澤地 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー

果汁感
とちおとめ ☆☆☆☆☆☆☆7 
とちあいか ☆☆☆☆☆ 5
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10


終わっての感想

とちおとめは今となってはアッサリした感じの食味であるけど、それ以外は糖酸比、食感など全てバランスが良い。ただ酸はかなり感じるので、酸が好きな人向きかな🙄

とちあいかは欠点が少ないが、あえて欠点を言えば食感が硬い品種なので、お年寄りや女性は好まないのではないか🤔   …というか、熟度等を攻めれば食感は良くなるけど、栃木県の戦略としては美味しくしようと思えばできるのを世の中に示せれば良いと言う感じだと思う。

これは全国いちご選手権の最高金賞の宮田さん。今朝の記事です。このくらいの作り手なら、とちあいかのポテンシャルなら、あまりんを追い越すのもそんな難しくはないのはこの記事を見れば分かります。

かなこまち 武井さんのは今回も安定し、今までで1番美味しかった。酸は少し早どりしたので若干酸が強いが全く問題なし。

かなこまち 澤地さんのはデカく伸び伸び作っていて、糖も十分、やや早どりで酸味も強いが美味しい。

今回、外観比較と食べ比べしてみて、かなこまちはとちおとめの外観品質(整形で均質)にはまだ到達していないし、輸送力もとちおとめの方が高いと思いますが、意外とかなこまちも日持ちが悪くなくて、オサレもそんなになかったです。県内限定なら大丈夫そうですね。

食味に関していえば、海老名と寒川のJA農産物直売所では他品種より真っ先にかなこまちから売れていくのを目撃しているし、武井さんの直売所でもかなこまち目当てのお客さんが相当に多いから、県内に限りかなこまちの商品力は大丈夫だとちょっとホッとしましたね🤣

ただ、かなこまちはイチゴ作りに熱心な方でないと、なかなか本来の特性を引き出せないというところがもどかしいです🥺


最後の食べ比べで言おうと思ってますが、かなこまちは、根をしっかり作る人向きで、肥料は標準ないし、やや少なめだと思います。これを勘違いしてる人が意外と多いです。

澤地さんのかなこまちは、肥料が多いというよりは土の力(地力)がありすぎて根ができすぎ。地力をそのままなら肥料を1〜2割くらい減らして作ったら、形ももう少し均一化すると思いますね。

ただ、澤地さんのお父さんはデカい強い樹を作って、デカい実を作って省力かつパック数を出すという優秀な農家の典型的な栽培だから、たぶん息子さんも踏襲されているし、これもまたアリかもです。

農家は唸るほど沢山作ってナンボですから。