今回は、ほしうららというイチゴ品種を試食して、神奈川県のかなこまちと比較してみました。
ほしうららは三好アグリテックと言う会社が、農研機構と組んで作った品種ですが、むかし、まだ試作ナンバーで農家で試作していた時に食べたことがあります。
その時は正直言うとあまり美味しくなくて、はたして普及するのかな?🙄と思ってました。
その後、かなりの観光イチゴ園で採用されて、多品種栽培をしている品種の中では「ほしうららが美味しかった」というコメントをチラホラ見かけるから、気になってました。スターナイトも、たまに美味しい品種にコメントで挙げられてます。
ちょうど、栃木県の中里農園さんのほしうららが御徒町の吉池で売ってましたので、買ってみました。
標準品種はいつものとおり、かなこまち(海老名の武井さん)と今回はかなこまち(平塚の相曾さん)を比べました。
比較は3月22日に行っています😀


外観比較
果形
ほしうらら 丈が短めの短円錐型です。そう果の密度はかなこまちより多い気がする。少し浮き種気味になります。裏側のオサレはほとんどないです。カットした面は真っ赤ではないけど着色してます。


かなこまち 武井 長円錐形 整形。果面のデコボコはない。ヘタ下のくびれ少しあり。そう果は密度がかなりあり、若干沈みこむ。今回は少し下面の果肉がオサレありました。
かなこまち 相曾 長円錐形で整形であるが、先端形は若干の変異がある。果面のデコボコなし。ヘタ下のくびれあり、ヘタ下やや伸びる。そう果も他と同じ。オサレは若干下面にあり。
果色と色ムラと光沢
ほしうらら 赤色で色ムラなし。かなこまちより少し彩度が高い赤。表裏の色乗りは均一。光沢は8。
かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。熟度4.5で、光沢は9。
かなこまち 相曾 表裏とも武井さんよりは明るい濃赤色で均一。熟度が4.5〜5でかなり攻めた熟し方。光沢は9。

そう果の色
ほしうらら 表面は赤主体に黄混ざる、裏面は黄色っぽい黄銅色。
かなこまち 武井 表は濃赤色。裏側も同じ。
かなこまち 相曾 表は赤色、裏側は赤色に黄色混ざる。
ヘタの形状
ほしうらら ややぽてっとした厚みのあるヘタ。大きさは小さめ。チップバーンはないが、なり始めてかなり時間が経ってるから、おそらく低温栽培。
かなこまち 武井 やや硬めの水平に張っているものが多いが上向き混ざる。チップバーンは今回なし。
かなこまち 相曾 形状は武井さんと同じ。チップバーンないが、武井さんより時間かけた感じで、少しヘタリ気味。低温気味に締めた栽培かな?
果実内部比較
香りの強さ
ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8 〜9
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆ 7〜8
かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8
香りの質
ほしうらら 紅ほっぺ様のバラ科の香りで、ブドウにも類似の香りがある。主張はそれほど強くない。
かなこまち 武井 バラ科の香り。主張は弱い
かなこまち 相曾 バラ科の香りに、熟した果実に含まれる甘い香りを含む主張がある。
甘味の強さ
ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9
先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+
先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+
※ほしうららはかなりかなこまちに似た甘さ。武井さんのかなこまちと同じくらい。相曾さんのは振り切った甘さで、あまりんより甘いくらいなので、ほしうららより明らかに甘い。
甘味の持続性(後味の余韻)
ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆9
かなこまち 相曾☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10
※ほしうららの甘味は、酸味が弱めもあって、衝撃があり余韻も長い。
武井さんのかなこまちは前回とあまり変わらない。さすがに相曾さんのは甘すぎるくらい甘いから、後味が残る。
酸味の強さ
ほしうらら ☆☆☆☆☆5
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆7
かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆7
※ほしうららの酸味は大きく主張せず、最近の甘さ優先の酸味が弱めのトレンドな感じ。かなこまちは明らかに酸味があるが、まだ甘みの強さとのバランスが取れている感じ。
食味の濃厚さ
ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆10+
※ほしうららの果実は一口で凄く美味しい❗と感じるもので、正直かなこまちと同じコンセプトの味作りにして、一瞬、ちょっと負けたかと思った。かなこまちは武井さんのは前回とほぼ同じ。相曾さんは甘味の強さが桁違いので、やはり濃厚さは抜群に感じる。
食感
ほしうらら : 粘質で滑らかであるが、メルティング質とまでは言えない。ただし、中はかなこまちより詰まってる感じ。表面の硬さはそれほど感じないが、硬いと思う。
かなこまち 武井 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー
かなこまち 相曾 少しだけ、武井さんよりは締まった質感。ほぼ武井さんのと同じ。
果汁感
ほしうらら ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10
かなこまち 相曾 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10
終わっての感想
ほしうららはすごく美味しいうえに、食味選抜の考え方がボクにすごく似てるから驚いてしまった
そして、口に入れた瞬間から美味しい❗(甘いではない)から、これは大変だ〜🤯 と思ったくらいです(笑)
これは、中里農園さんの技術力もあると思う。品種には動かしがたい特性もあるけれど、品種6〜7割、栽培技術3〜4割だから、品種の能力を引きだすのに長けた方の栽培だと思う。
ただ、美味しいから、それが強く印象に残るかと言うと、そうでもなくて、何か個性を残すべきだと思ってます。ほしうららはすごく美味しいが、記憶に残りづらいような優等生的な感じも少ししました。
収量が気になりましたが、ネットでは分からなかった。もし、これで多収性なら、産地ができてもおかしくないね。
かなこまちは香りにわずかに含まれる個性とか、濃さに含まれる1種の独特な風味とか、食べてすぐにかなこまちと分かるような、食味の印象が残る個体を選んだんで、そこがほしうららとの違い。
また食べたいと県内や近県の人にリピートしてもらうことが神奈川県のようなイチゴ弱小県での生命線だと考えたからです。
ただ、個性ってすごく難しくて、嫌われないし飽きさせないが、しかし記憶に残るというのは永遠の課題かもしれない。
先週、武井さんと話していて、かなこまちアイスに続いて、羊羹も考えているという。かなこまちビジネスもやらなきゃみたいな感じで、「扱いづらい商品ではあるけれど、引き合いが大きいからね。あと、かなこまちは最後まで、食味が変わらないところが良いね。」と言っていだだきました。
武井さんのいちごというと、とちおとめが何と言っても全てにおいて超一級品なんだけど、かなこまちは客寄せにはなっていると思います。
これ、まさに狙っているところで、ボクは最初からとちおとめみたいな完成された品種を作るのはムリだと思っていたんだよね。たまたまボクがイチゴ育種担当になれたのは僥倖なだけだし、担当者として残された時間もなかった。
だから、少し品格は落ちるかもだけど、甘さも酸味も食味の濃さも違いが分かるもの、かつリピーターが付くような商品で、かなこまちの存在で他の商品も売れてくれたら❗と思った。商売の鉄則は、まず寄ってくる人の流れを作ることだから。
いちごソムリエの2人で運営している「いちごラジオ」で、かなこまちにもちょっと触れて戴いていて、「なんで、もっとかなこまちの宣伝とかをしないのか?」というお話がありました。
https://open.spotify.com/episode/4NX5ApLkyIcgjfIlcETTJB?si=q_iQvoqaS3O1neY3tgoIXg
まさに、埼玉県とかはあまりん等を多数、全国いちご選手権に送り出して、県や農協が推してるのに、なんで神奈川県は宣伝に消極的なんだ??と思いますよね🤣
だけど、もはや神奈川県内のいちごの共販組織でまともに機能してるのは海老名くらいで、県内いくつかある共販は小田原市、秦野市くらい。平塚市はほぼ観光農園に移行で、市場出荷の個販は約2名だけ。伊勢原市はもともと個販に近いし、あと他に残された量販店出荷は個販だけで、規格とかバラバラに出荷していて荷が揃わないし、仕方がないんだよね。
しかし、観光園では県独自の品種がほしいし、農協の直売所を賑やかにする商材は必要だし、そういう点ではかなこまちの特質が生かされてるのではないかと思う。
だから、かなこまちの旗とか、シールとか、チラシとか、そのくらいしか補助してないんだよね🤣

絶対的な生産力の無さって、もう宣伝とかするだけの余地も残されていない訳で、それはごめんなさい🙏としか言いようがないです。
むしろ、あんまり有名になると、さらに入手しにくくなるから困るという県民の声もあります。
一方で、あまりんは全国で埼玉県が上位13番目という生産力がある訳で、共販も生き残っています。それで有利販売のためにもあまりん一丸で頑張るわけですね。そして、おそらくはかおりん、べにたままでは力が及ばない。
あまりんはその甘さゆえに、致命的な欠陥も孕んでいるわけで、ボクなら絶対に選ばない。だけど、それでも頑張って共販品目で選択した埼玉県の農家達のがんばりは大したものです。
これは、「人はパンのみに生きるにあらず」ということもあると思いますけどね😀






