かおり野は、ボクが若い時からの研究者仲間である森さんが作った品種なんだけど、信念の人が作った品種だから、リスペクトせざるを得ない品種なんですね。
だけど、イチゴをむかしから育成しているある県の研究者達からはかおり野の評価はボロクソなんだよね🥺 「もし、品種改良するとしても、かおり野、サンチーゴだけは親にするなよ
」とまで言われた
香りがダメとか言ってた気がするが、もう詳細は覚えてません。
かおり野の出てきた背景は、炭疽病というイチゴの収量を最も低下させる病害の抵抗性を必要としていたこと。当時、三重県の主要品種であった章姫が比較的弱くて、それが理由だと思います。
かおり野は、炭疽病抵抗性、極早生、超多収性、輸送性もまあまあ良しという、スペックだけなら日本一の品種なんだけど、ボクが当時に思った感想は、あまりに草勢が強すぎ、従ってなり始め初期の果実はなんだか甘くないし、肉質や味も辛くないダイコンを食べてるみたいな感じで(^_^;) …でも、全期間通しては評価してません。
うちの育種陣も、ボクの3代前の人はかおり野をメインの親に使ってましたが、果実内が白くなるのが優性みたいで、しかも稀に発生する果実内が赤い個体はことごとく糖度が低いと。それで、「中身が赤色と低糖度が連鎖してるの?」って聞いたら、「たぶんそうだと思う」って言ってた。
それは深刻だと思ったけど、ボクの場合は紅ほっぺとやよいひめの後代には中が赤くても糖度の高い個体はたくさん出るから、今ではかおり野に限り、中が白い形質と高糖度との連鎖があるのかなぁ🙄と思ってます。
また、話が長くなってしまいましたが、3/16に比較をしました。

外観比較
果形


果色と色ムラと光沢
かおり野 若干のオレンジがかった赤色 色ムラなし。表裏の色乗りは均一。光沢は7〜8。
かなこまち 武井 表裏とも濃赤色で均一。熟度4.5で、光沢は9。
かなこまち 澤地 表裏とも濃赤色で均一。ただし、熟度が4〜4.5で若どりもある。光沢は9。
そう果の色
かおり野 表面は赤黒く、裏面は濃緑。
かなこまち 武井 表は濃赤色。裏側は赤み帯びた濃緑。
かなこまち 澤地 表は濃い赤色、裏側は濃緑。
ヘタの形状
かおり野 ヘタの基部は果実に密着し、中間から上向きになる。チップバーンなし。
かなこまち 武井 やや硬めの水平に張っているものが多いが上向き混ざる。チップバーンは軽微。
かなこまち 澤地 武井さんと同じ。チップバーンなし。
果実内部比較
香りの強さ
かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆ 7〜8
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8
香りの質
かおり野 独特な香水様の香り。ニュアンスはバラ科とかでなく異種の花の香り。
かなこまち 武井 バラ科の香り。主張は弱い
かなこまち 澤地 バラ科の香りに、僅かミルキーな香りを含む主張がある。
※かおり野の香りは一種独特で、ちょっと他にはないかな? 今回のかなこまちの香りは武井、澤地とも主張は少なめだが、強くなってる気がする。今回も、胡麻のような香りは全くない。
甘味の強さ
かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆ 8〜9
先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆8
先端以外 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆8
※かおり野はちょっとしつこい感じの甘さ。 かなこまちはまだ両方とも果実のどこを食べても甘いが、ちょっと前回よりは酸が多めに感じる。だんだん変わってきたかな?
甘味の持続性(後味の余韻)
かおり野 ☆☆☆☆☆☆6
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆☆☆9
かなこまち 澤地☆☆☆☆☆☆☆☆8
※かおり野の甘味は、意外と余韻が短い。
かなこまちは前回とあまり変わらない。
酸味の強さ
かおり野 ☆☆☆3
かなこまち 武井☆☆☆☆☆☆☆7
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆7
※かおり野は酸味が弱く、官能に占める割合は少ない。かなこまちは明らかに酸味があるが、まだ甘みの強さとのバランスが取れている感じ。
食味の濃厚さ
かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆ 7
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 9
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆8
※かおり野はとちおとめよりは若干濃厚だが、水っぽい感じがある。かなこまちは前回とほぼ同じだけど、やはり濃厚さは微妙に落ちてきたかな?
食感
かおり野 : 意外と粘質。しかし、なぜか水っぽい感じがする。上の写真のようにオサレが出るから、表面の硬さはそれほど硬くないと思う。
かなこまち 武井 : 口の中でほどけるくらいのメルティング質で、粘質かつ非常にジューシー
かなこまち 澤地 サクサク感もある粘質だが、芯は若干粉質気味のも混ざる
果汁感
かおり野 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9
かなこまち 武井 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆9〜10
かなこまち 澤地 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 10
終わっての感想
かおり野は甘いには甘いのだけど、香水っぽい香りが敏感な人には鼻につくかもしれない。あと、水分が多めなのが、それが甘さが口の中で残らない原因かもしれない。
かなこまち 武井さんのは今回も安定してましたし、まだ買いに行かねばと思うくらいに甘かった。若干、果実の緩みは出始めたかな?
かなこまち 澤地さんのも前回とほぼ同じ。酸味もあるが美味しい。
今回、かおり野の毀誉褒貶がよく分かった気がする。ボクはそれほど鋭敏な嗅覚ではないけど、今までの系列の香りとは違う気がする。そうでなければ、あの多収性と極早生では農家が採用するでしょ?
育種親に使うな!とボクは言われましたが、現在、極早生を作る親として多くの県で多用されてますけど、後代をさらに親に使うと、この香りの性質は残って発現する気がする。
三重県でのかおり野の普及状況ですが、10年ほど前には章姫がシェアのほとんどで、近年になって章姫とかおり野が五分五分になったみたいです。これは、章姫の柔らかい肉質でも97%県内消費だからだと関係者が言ってました。
この前、イチゴ農家で三重県の青年協の幹部の方とお話しましたが、彼はよつぼしを採用しているそうです。収量は穫れないけど、自分が作りたい品種だと言ってました。
うた乃については、気になる点があって、様子見だそうです。かなり、食味が時期的に変わるとか細かいことを言ってらっしゃいました。
せっかく品種を作っても、農家の求めるものと違っていて普及しないのは、ちょっと不幸ですね。
佐賀県のいちごさんみたいに、選抜の途中から農家に形質を見てもらった方が良いのではないかな🙄
あと、1回でいちごの比較は終わりです。最後までよろしくお願いします🙏







































