日本大通り駅近くにあるシルク博物館に 春の企画展 所蔵品展≪花嫁衣装―晴れの日の模様と彩り―≫を見に行ってきました。
館内に入ると
受付までのアプローチに並んでいたのは シルクで作った簪や手毬
そして 繭球を使って作った手芸品。
私も作品の材料に使おうと 洗顔用パフを作る材料として売っていた繭球を持っているけれど なかなか 繭球作品までは 手が回らず・・・
ちなみにシルク博物館のゆるキャラは 繭球のまゆるんです。
受付奥の展示室には 養蚕からシルク製品ができるまでの工程が解りやすく展示されています。
館内全般は老朽化し 展示室の照明なども古いままで 写真うつりが悪いのが残念ですが 撮影禁止のマークがあるもの以外は ストロボ無しで撮影OK
だったので たくさん写真を撮らせていただきました。
1階の常設展コーナーは 養蚕からシルク製品ができまでの工程展示や 繭球の手芸品や機織りのワークショップスペース。
マネキンさんは 村山大島の機織り中。
こちらは 結城紬の機織り光景。
中央の球体に詰まった繭球は9000粒
着物一式を作るのに必要な繭の数だそうです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240524/21/fuuka-usagi-kohu-hina/5a/44/j/o0804046415442883871.jpg?caw=800)
ローブ・モンタントは 高い立襟のドレスで 肩も背中も露出させない 昼の正礼装です。
ケンテは ガーナの男性が ブーバというシャツの上に着る 1枚布をサリーのようにまとった民族衣装です。
ケンテは 1057年に ガーナが長く続いたイギリス植民地支配から独立した後に作られた新しい民族衣装で ケンテの色彩には独立運動への誇りと 国土への愛情が込められています。
ケンテに使われる生地は ガーナ国旗に使われているような鮮やかな原色の美しいもので 色彩にはそれぞれ意味があり 赤は自由のために流された血 黄はガーナで採掘されていた黄金 緑は自然 青は海 黒はアフリカの民としての自由を表現しています。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240524/21/fuuka-usagi-kohu-hina/75/01/j/o0807024115442884194.jpg?caw=800)
![?](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/095.png)
19世紀初め ウズベキスタンは3つの国に分かれていましたが その中の1つコーカンド・ハーン国がアトラスの発祥地。
虹色のようにカラフルで手触りも良い生地は≪王室の布≫と呼ばれ 当初は 裕福な人々が着るために作られましたが 19世紀後半には庶民の間にも広がりました。
![!!](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/176.gif)
ベトナムのアオザイ
世界で最も美しい民族衣装とも言わるアオザイは チャイナカラーの立襟に 体のラインに沿った細身のシルエットの上衣 太めのパンツ(クア)を合わせた衣装です。
≪アオ≫は上着 ≪ザイ≫は長いという意味で 合わせて≪長い上着≫という意味を持ちます。
日本の着物と同様 結婚式やイベントなどでの着用が多く 普段着にアオザイを着ることは少ないようです。
アオザイの色にもそれぞれ意味があります。
皇族の色である金は 王朝時代 王と女王に使われました。
赤いアオザイは 幸運と繁栄のために テト(旧正月)の期間や結婚式の新郎新婦が着用します。
そのため ベトナムの結婚式に出席する時には 新郎新婦の赤いアオザイと重ならないよう 別の色で出席することがマナーと言われているそうです。
日本で 白い服で出席を避けるのと同じですね。
白いアオザイは 純粋と無垢を象徴し、黒は葬儀で最もよく着用されます。
また ベトナム女性は生まれた年の風水(金、木、水、火、土)に基づいてアオザイの色を選ぶこともあるそうです。
最後は 幸せの国 ブータンの衣装
ブータン王国では 国家のアイデンティティ保護の一環として 政府や学校関係で仕事をする時や 王室や政府の公式行事に参加する場合 お寺や宗教施設の訪問時などには 民族衣装の着用が法律で義務付けられていますが 忠実に義務を守り 伝統衣装を着て生活をしている人も多くいるそうです。
左側の衣装は 男性用のゴ
素材は紬や木綿で くすんだ赤 緑 茶色などの格子や縞模様の布で作られます。
ゴは前で重ねあわせ ケラという幅5㎝程の帯でしめるので 着方や形は日本の着物に似ていますが 裾を膝上までたくし上げ 一見スカートの様にも見えます。
下着には テュゴと呼ばれる長袖の白いシャツを着て 腕部分をゴとテュゴを一緒に折り返し 足はロングソックスの上に革靴やスニーカー 儀礼や行事の際は伝統靴を合わせます。
また 帯をしめる際に少し上半身部分はたるませることでお腹や背中の部分に空間を作り(○部分)バッグがわりに使い 手には何も持たず出歩きます。
展示されているゴは絹地を使っていますが 一般的なゴには木綿が用いられ 赤や茶色が一般的です。
公式な場所や行事 ゾン(※) お寺などを訪問する時は ゴの上に幅90㎝ 長さ4.5mほどのカムニという礼装用の布を左肩から右脇に たすき掛けのような形で掛けます。
カムニには 着用していない時の持ち方やたたみ方など細かなルールがありますが 特に色についてのルールは重要で 身分や階級によって定められ 一般人が着用するカムニは白 村長は白地の端に赤いライン 副知事や次長は赤地の端に白いライン 局長及び県長は臙脂色 大臣クラスは緋色 国王と最高位の僧侶のみがサフラン色を着用します。
※チベットからブータンに逃げてきた僧侶たちが チベットからの攻撃に備える
ために作られた城塞の役割をしていた建物で 現在では県庁兼寺院として使用
されていることが多い
ブータン女性の民族衣装は グツムというスリップの上に 長袖ブラウスのケンジャや長袖上着のテュゴを着て 3枚の布を繋ぎ合わせたキラという一枚布を インドのサリーのように巻きつけ 肩部分をコマというブローチで固定 細帯のケラで締め付け着用します。
また 男性のカムニのように ラチューと呼ばれる肩掛けを身につけ おぶい紐や財布のようにして使います。
ブータンは寒さが厳しい山岳地帯に位置するため キラは目の詰まった厚手の織物で作られ 複雑な着付けによって体を何重にも保護します。
今回見てきた民族衣装は 少数民族のものがあったり 紛争地域の国のものもありました。
戦争や迫害により 貴重な文化が消え行く事がなくなるよう願うばかりです。
今回 2階フロアーでは 特別展も開催されていたため 普段展示されている 復元された古代からの日本の風俗衣装を見ることができませんでした。機会があれば 日本の衣装の移り変わりも見てみたいです。
今回一番の目的 特別展 花嫁衣裳の展示は 後日またご紹介したいと思います。