金魚づくし | 風遊花(ふうか)~古布とうさぎとお雛様~

風遊花(ふうか)~古布とうさぎとお雛様~

~作品展 ものつくりをする仲間達 ギャラリー ショップ~
  大好きなもの 日頃の様子を気ままにご紹介します。

前回作ったカッパ淵

 

 

 

今回は 四角いお盆を水辺に見立てた楽し気な夏の風景を作ります。

 

 

 

先ず作ったのは 小さな水草の葉っぱと

 

 

 

出目金達。

この子たちは縮緬細工の本に作り方が掲載されていますが 型紙通りのサイズで作ると とってもでっかい!!

そこで 型紙を30%に縮小します。

よって 0.3×0.3=0.09で 元の大きさの9%の大きさに仕上がるため 小っちゃくて作りにくいものでした。

 

 

 

この金魚に 何を合わせようかと思っていた所 目についたのが ヤフオクに出品されていた歌川国芳の浮世絵 金魚づくしシリーズのガチャフィギア

 

 

 

 

以前からとても気になっていたガチャですが 我が家の周辺では こんなガチャができる場所がありません。

たまたまヤフオクで 国芳と検索したら出てきました。

1回\500のガチャで ヤフオクに出品されている物を見ると 倍以上の値段がついていますが 今回は 未開封のものが3個セットで\320という格安で落札することができ 超ラッキーウインク照れ!!

 

 

ここ4~5年の間に 戯画(面白おかしく描かれた絵)として描かれた国芳の猫シリーズをタペストリーに仕上げてきました。

 

おぼろ月夜 猫の盛り

 

 

 

甲子の鼠

 

 

 

心学稚絵得

 

 

 

猫の浮世絵師として知られる国芳ですが 金魚を描いた《金魚づくし》の浮世絵も残していて 数多くのファンがいますよね。

 

金魚はフナの突然変異として中国で発見され 日本には室町時代に伝わりました。

当初は上流階級の人々の高級なペットでしたが 国芳が活躍した江戸時代後期には 金魚が庶民の間で広く飼育されるようになったそうです。

《金魚づくし》の浮世絵は 金魚にカエルやカカメなどの水中の生き物たちを擬人化し 江戸の日常をユーモアたっぷりに描いています。

 

 

国芳の《金魚づくし》は 現在9作品が確認されているので 手持ちの資料本《めでる国芳ブック どうぶつ》(金子信久著 大福書林 2017年)からお借りして 掲載されている5点をご紹介しますね。

 

 

 

近年発見された9作目の 《金魚づくし ぼんぼん》は 他の8作と一緒に 大阪市立美術館などで2011年に《没後150年 歌川国芳展》に初公開されたそうです。

柳がしだれる江戸の町で 金魚たちが元気に歌っている姿を描いた《ぼんぼん》は お盆の頃 子供達が手を繋いで横一列 二列になって歌いながら歩く遊びで ルンルンぼんぼんぼんルンルンで歌い始めます。

大声で歌いながら隊列を組んで歩くので ある意味お盆の宗教的行事の意味もあったとか・・・

金魚が持つ団扇は すくい網や浮草で表現され しだれる柳も金魚藻です。

 

 

 

実は 浮世絵は 2枚1組で製作される事が多いため 9作目の《金魚づくし ぼんぼん》が発見されたことから未発見の10作目が存在したのではないかと考えられているそうです。

当時の上方では 江戸で出版された浮世絵を縮小して写したものが多く制作され 上方で出版された製作絵師不明の《金魚 けんじゆつ》という金魚が水草の剣で戦う図は 国芳が描いた幻の10作目の写しではないかという議論があるのだとか・・・

 

 

《金魚づくし さらいとんび》

空を飛ぶ金魚が描かれているのは 鳶が油揚げをさらうという 当時の絵本や舞踏に見られる趣向のパロディー版です。

杖を突く年配金魚は 驚きを体で表現できない代わりに目を丸くし カエルの子は水草を手にし 何とか取り返そうと抵抗中。

子供を負ぶっている金魚の足元には 鳶が落とした油揚げ・・・。

左のよしずの様な建物は 金魚の食事処で お品書きは《赤ぼふふり》と《みぢんこ》

これは金魚の餌である棒振り虫(ぼうふら)とミジンコです。

赤ボウフラは金魚の色が良くなるという高級餌のユスリガの幼虫のアカムシのこと。

棒を振っているカエルの子も ボウフラにかけているのでは・・・?との解説があり よくここまで細かい表現を取り入れたと 感心しきりです。

《こんりう》の文字が書かれた建物の入り口にある緑の幟と猿の像は 庚申信仰に関わるもので 近所に猿の像を祀る庚申塔を建てようと寄付を募っているのではと推測されるそうです。

当時は こういう幟を持ち歩き 寺院のお堂を建立するために寄付を募る《願人坊主》と呼ばれる大道芸人がいたそうです。

 

 

 

《金魚づくし 玉や玉や》

《玉や玉や》はシャボン玉売りの売り声です。

《人立ちの中から しゃぼんふいととび》(人だかりの中から シャボン玉がふいと飛んだ)という江戸川柳があるように シャボン玉売りは子供たちに人気があり 直ぐに囲まれたり追いかけられました。

当時のシャボン玉は ムクロジや芋がら 煙草の茎などを焼いた粉を水に浸し 竹の細い管で吹くもので 作るのには手間がかかったそうです。

 

 

 

《金魚づくし 百ものがたり》

この絵の題材は 《百物語》。

100本の蝋燭を灯して出演者が怪談を交代で語り 一つ話し終わるたびに蝋燭を1本ずつ消していきます。

百話目を話し終わり 最後の灯を消すと 怪異が訪れるというお遊びですが 金魚の百物語に現れたのは 化け猫めいた天敵の大猫・・・ガーン

これは洒落にならないと必死に逃げ出す金魚たちの中 勇敢にも浮草を手に 猫を睨みつける一匹も・・・

 

 

 

《金魚づくし いかだのり》

2匹の金魚が経木でできた筏を操る絵です。

金魚たちは 着物の裾ならぬ尾びれを水草で結び 筏を操りながら 向かいの舟をこぐカエルにご挨拶。

カエルの奥にあるサギが立つ中州は 水を入れた鉢に稗の種を撒き 1~2㎝に育ったものを楽しむ盆栽の様なもの(盆景)。

 

 

 

手持ち本には掲載されていなかった絵は

金魚づくし すさのおのみこと》

ヤマタノオロチにに見立てた鰻を 金魚の須佐之男命(すさのおのみこと)が退治する図

 

《金魚づくし まとい》

水草を手にした9匹の金魚と1匹のカエルが 力強く纏を振りあげる図。

 

《金魚づくし さけのざしき》

すくい網の三味線に合わせ 水草を持った金魚たちが歌い踊る 飲めや歌えやの大宴会の図

 

 

そして 今回手に入れたガチャフィギアは 《金魚尽くし にはかあめんぼう》

《にはかあめんぼう》は 《にわか雨》と《あめんぼう》を掛け合わせたシャレ。

なんと雨は あめんぼうの細い足で表現されているユニークな絵です。

急な雨に驚く金魚たちが 蓮の葉を傘に大慌てする姿が描かれていますが 雨が降ろうと 傘を差そうと ここは水の中という 落ちがついていますてへぺろ

 

 

 

この《にはかあめんぼう》に登場する3匹の金魚たちが今回手に入れたフィギアです。

早速っ組み立てましたよ。

《親子金魚》

 

 
 
 
《尾かぶり金魚》
 
 
 
《金魚と蛙》
 

 
 
 
このフィギアたちを今回の作品の展示に添えて使います。
(申し訳ありませんがフィギアは非売品です)
その代わりに 一緒に池に泳がせるのは アクセサリーパーツとして売られていた金魚
 
 
 
これらを全部合わせて並べると 風遊花風金魚尽くし。
 
 
 
このままだと まだちょっと面白味が少ないので これから親指の爪サイズの小さなものを大量製作して並べてくので お楽しみに。