古民家の蔵の中 その1 | 風遊花(ふうか)~古布とうさぎとお雛様~

風遊花(ふうか)~古布とうさぎとお雛様~

~作品展 ものつくりをする仲間達 ギャラリー ショップ~
  大好きなもの 日頃の様子を気ままにご紹介します。

今月初め お雛様を見に 愛川町の古民家 山十邸に行った時に 蔵の中も見せていただいました。

 

母屋の横を通って 広い裏庭に出ると 満開の梅の花  

きっとかつてはここで 収穫したものを干したり種分けしたりしていたのでしょうね

 

 

 

 

中央には つるべ井戸。

ここは 竈や囲炉裏のある台所からので入り井口のすぐそばで この家唯一の水場です。

 

 

 

 

母屋の 長い裏廊下の中央には 左右の雨戸を収納できる戸袋が設置されていました。

面白い形の戸袋ですね。

 

 

 

中庭に続く道の傍らに土蔵。

昔は 大切なものを保管していたのだと思いますが 現在は 山十邸に残されている農機具や日用品の展示をしています。

 

 

 

 

入り口を入ると 左側のコーナーには 大型の家具。

 

車長持

保管した衣類などを運搬するために 車がついた長持ちです。

これは 山十邸で使われていたものではなく 隣の厚木市の荻野山中藩(荻野は 山十邸に行く前に立ち寄った 岸邸がある地域)で使われていたもの

 

 

 

 

金庫(奉安殿)

この金庫は 終戦時まで近隣の高峰小学校で 金庫の上部に木製の飾りを付け 奉安殿(天皇の写真を納める建物)として使われていたもの。

戦後は 成績表などの保管に使用。

 

 

 

山十邸の瓦

改修前の山十邸の屋根で使われていた特別注文で焼いた瓦。

左下の〇部分にある《仐》(やまじゅう)は 熊澤家の屋号で この他にも《極上小谷田瀧澤製》の刻印があります。

 

 

 

 

鰻筌(うなぎせん)

竹で編まれた 鰻を獲る道具。

左側の小さいものは ドジョウ用。

 

 

 

竹ひご製作板

板にはめ込んである鉄片の穴で竹を削ぎ 同じ太さの竹ひごを作る道具。

穴の大きさに大小があり ひごの太さも調整できます。

上の鰻筌に使われている竹ひごも この道具で作ったんですね。

 

 

 

建物の右側には 農具の展示。

 

鋤簾(じょれん)

水の中から小石をすくう道具で 水道工事や砂利取りに使用。

 

 

 

唐箕(とうみ)

風力で実と籾殻を選別する道具。

上の漏斗型の入り口から実と籾殻が混ざったものを入れ 横から風を送り込むと 実は足元に落ち 軽い籾殻は遠くに飛ばされる仕組みになっています。

 

 

 

 

足踏み式脱穀機 (イネコキ 元祖 ミノル式 親王號)

逆Vの字型の歯が着いたドラムを回転させ 稲や麦の束に当て実を落とす道具で 千歯こきより大幅に能率が向上した道具。

商品名書かれた看板付きで《於 全国農器具共進會(会)名誉大賞牌(杯)受領》の文字もあります。

右側から書かれている横書きなので 大正時代~昭和初期のものでしょうね。

 

 

 

手押式改良麦土入機

車輪を回し土をすくい 麦の上から土入れをする道具。

 

 

 

万能

《四本鍬(しほんぐわ)》とも言われ 田んぼの土おこしをする道具

 

 

 

株間除草機

鳥居型ハンドルを持ち 転車を回転させ その爪で除草する道具。

除草機が水の中に沈まないよう浮きが取り付けられている。

 

 

 

唐鋤(からすき)

畑の耕作に使う道具。

牛の鞍に掛けた紐を先端につなげ 左右の手でにぎりを持ち 把綱で牛を操って使います。

 

 

 

さすが 山十邸は 豪農だったこともあり 当時は最先端だった農機具が揃っています。

今と違って エンジンがある農機具ではありませんが 人力や工夫で より効率良く使える道具を作った昔の人の知恵には 頭が下がります。