印判 沢瀉 天塩皿 | 風遊花(ふうか)~古布とうさぎとお雛様~

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~作品展 ものつくりをする仲間達 ギャラリー ショップ~
  大好きなもの 日頃の様子を気ままにご紹介します。

古道具のお店に行くと ついつい目が行ってしまうものに 印判の器があります。

 

かつて磁器や陶器の器は 手描きの染付の物が出回りましたが 明治時代に入ると 新しい技術が発展し 大量生産ができる様になりました。

その技術が 印判(いんばん)と呼ばれる 転写方式の絵付けです。

 

手書きの染付が行なわれていた頃は 日本産の呉須(ごす)と呼ばれる コバルト系の絵の具を使って絵付けをされていましたが 明治時代に西洋から酸化コバルトが輸入され はっきりと濃い青色の絵付けができる様になりました。

 

 

深みのある 青色の絵が描かれた蕎麦猪口やなます皿など 私も大好きなのですが 時折見かけるの印判が欲しいと思っていました。

ちょうどそんな時 大磯のつきやまで 緑色の印判 天塩皿(てしおざら)を見つけて お持ち帰りしました。

10枚揃いでありましたが 普段使いに2枚のみの持ち帰り。

おそらく 大正時代頃の物。

 

 

 

天塩皿は 元々 食膳の不浄を祓うために 塩を盛ったこざらで 《おてしょ》などとも呼ばれる小皿です。

現在は お漬物を乗せたり お醤油をつけるお皿として使われることが多いサイズ。

 

今回のお皿み描かれているのは 沢瀉(おもだか)の紋。

オモダカは 沢や池などに自生する水草の一種で 夏に小さな白い花を咲かせます。

画像は ネットよりお借りしました。

 

 

 

オモダカが群生している様子は 矢じりを並べた光景に似ているため 武士に好まれ 《勝ち草》 《将軍草》とも呼ばれ 家紋にも多用されました。

また 葉と長い葉柄が 農具の鍬(くわ)くわに似ていること 芋(いも)里芋のように根が食べられることから «くわいも»と呼ばれるようになり «花慈茹(はなぐわい))»・«イモグサ»という別名もあります

 

 

この天塩皿に描かれているのも 図案化した紋。

 

中央は 《丸に向こう花沢瀉》

 

 

 

下の部分に 茎が描かれているのは《立ち沢瀉》

 

 

 

3つの沢瀉を組み合わせた紋も描かれています。

 

 

 

とりあえず 使い始めは 大磯のパンの蔵で買った 渋皮栗のパイに合わせてみました。

 

 

 

この他にも沢瀉の文様は 古くから様々なものに描かれています。

 

いせ辰の千代紙

 

 

右下の物が沢瀉です。

 

 

 

古い縮緬に描かれた沢瀉。

涼し気で これからの季節に良いですね。

 

 

 

 

お雛道具にも沢瀉が描かれたものがあります。

化粧道具一式の中の

 

 

 

盥(たらい)に描かれた沢瀉です。

水を入れる道具なので 水草の沢瀉が描かれたのか 武家の娘さんが嫁ぐときに持っていくお雛道具に描かれることが多かったのかしら・・・と 勝手な想像をして楽しんでいます。

 

 

 

これからの季節 沢瀉が描かれた古道具や古布がヤフオクで出てこないか 探してみようと思います。