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日本で活動中のサッカー監督のブログ

バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

ザッケローニ監督については賛否両論あるものの、まずは4年間お疲れ様といいたいです。

欧州でトップレベルのクラブを率いた経験のある監督としてはデットマール・クラマー以来で、碓かに良い成績を残すことはできませんでしたが彼が来てくれたからこそ明らかになった部分もあります。

僕が思ったのは世界で最も守備戦術の優れた国で結果を残してきたザックが4年間、チームをみたとしてもGL突破ができるだけの守備戦術を日本代表が持つに至らなかったということです。

単純にパワーやスピードで負けたというのであれば、納得のいく部分もあるのですが、以前の分析で説明したようにそもそも戦術部分であまりにも完成度が低いというところに特に失望しました。

単純にザックの力量不足というところもありますが、そもそも代表監督として遂行できる仕事の限界があったのではとも考えています。

つまり、以前の代表よりも海外組が圧倒的に多くなり、以前であれば国内合宿をしてこれらの戦術を深化できた時代もありましたが今回はメンバーが一度に合流してこれらを改善できる時間があまりにも少なくなったのではと。
例えば代表メンバー中に占める国外リーグでプレーしている選手の割合を整理してみました。

1998年、0人
2002年、23人中4人
2006年、23人中6人
2010年、23人中4人

そして今回は23人中12人です。
この差は歴然ですね。

もちろんAマッチデーには海外組も招集することができますが、国内で長期の代表合宿を行うことはもはや難しく、フレンドリーマッチを組んだとしても長期フライトのためコンディションが万全で臨めないということがあったと思います。

これは代表監督の仕事が練習で一から個々の選手を指導して戦術を固め一つのチームに仕上げるオーダーメイドスタイルから、個々の選手が所属クラブで行っている役割をパーツごとに当てはめて一つのチームにまとめるような組み立て作業に変わっているのではと感じています。

スペインでは代表監督はEntrenedor(練習させる人)といわず、Seleccionador(選抜する人)といいます。
今回の日本代表監督も今までのEntrenadorという役割からSeleccionadorという役割に変わっているからこそ、ザックの守備戦術が100%浸透することができなかったのではという推測です。

今後の日本代表はJ1で下位に低迷していたり、J2でプレーしている選手ではなくて、なるべく高いレベルのリーグに所属し、そこできちんと試合に出場して、かつ結果を出してる選手が招集され、そこでのパフォをそのままピッチで発揮するスタイルに変わっていくと思います。

今、代表監督の噂の筆頭に立つハビエル・アギーレはもちろんスペインリーグ、あるいはW杯でもメキシコ代表を率いて手堅い結果を残しています。
しかし、彼の率いたメキシコ代表も選手のほとんどが国内でプレーしていた環境の中まさにEntrenadorとしての結果であり、Seleccionadorとしては僕は未知数だと思っています。
今回で日本対コロンビアの分析を終わらせます。
最後の3失点目と4失点目をまとめてやります。

3失点目の直前でギリシャはコートジボアールに勝ち越していて日本はグループリーグ突破のためには実質3点が必要な状況でした。
ある意味、2失点目で日本の突破の可能性はかなり遠のいていました。

後半動画

上記動画の試合時間80:55で本田が今野からのトラップを足下に止め、相手のCBがDFラインを抜けて寄せてます。
トップレベルの選手を相手にするときはコントロール・オリエンタードで置いて行かれる可能性があるので、守備側は慎重にトラップを見極めるのが普通なのですが、おそらくここまでの本田にそういうプレーがないので、相手CBは足下のトラップを予測して奪いにきたのだと思います。

実際、本田はこの対応を予想できずボールを足下に止めて簡単に奪われてしまいます。
ここが失点に向かう端緒でした。

長谷部がカウンター潰しのためにインターセプトを狙いボールに触れますが完全に自分のボールとできず相手にボールが渡ります。(80:59)
ここで問題になるのは長谷部の対応です。
長谷部はハメス・ロドリゲスへのパスコースを消しながらプレスに行きますが、相手がパスコースを消すことを最優先にしてボールを奪う気がないことを完全に見透かし、ここでコントロール・オリエンタードで長谷部のいる方向と逆の方向にボールをコントロール。長谷部はここで疲労があったのか、自分の体を止めきれず、完全に相手にかわされてしまいます。
この場面におけるボランチの対応としてはパスコースは防ぎつつも相手がコントロールするときは体を止めて動きをよくみて、そのコントロール直後の瞬間にファール覚悟で相手をボールごとぶつかって止めるのが正解です。長谷部の守備は疲労があったとはいえあまりにも淡白な守備でした。

前回の記事でいったように2失点目の大きな原因は長谷部であり、3失点目も長谷部の守備ミスからカウンターが成立しています。ザックが2失点目の直後に山口を投入しましたが、そこで青山ではなく長谷部を下げていれば防げた失点かもしれません。

いずれにせよハメス・ロドリゲスがフリーでボールを受けて前を向くも全力で山口螢が戻り3対2で数的優位の状況を何とか回復します。(81:05)

しかしコロンビアのジャクソンが内田の背中をうまくとり、彼の死角から裏のスペースに飛び出します。内田は視野に相手を入れきれなかったために対応が遅れ裏のスペースを取られてしまいます。ハメス・ロドリゲスが工夫してるのは体を横に向けて横パスを出すと見せかけておいて正確なタイミングと強さで縦パスを出しているところです。(81:07)

結局、内田はこのジャクソンのフェイントに引っかかり失点するわけですが僕が少し気になるのは内田の追いかけ方です。シュートブロックに行くのであれば相手選手にまっすぐに追いかけるべきですが、なぜか回りこんで相手と距離をつくりシュートブロックができない状態を自らつくってしまっています。
もっとまっすぐに寄せていれば相手の切り返しでボールが奪えていたかもしれません。

いずれにせよこれで試合としてはほぼ終わってしまいました。

88:34から柿谷が中を見ないでクロスを上げて相手ボールになったところから4失点目の攻撃を受けます。
この時点で内田が明らかに疲労で厳しいマークができず、簡単に縦パスの成功を許します。(88:43)
ここで守備をサボったのは交替で入った清武でした。FWの大久保が戻りきれていない状況であり、清武がもっと中に絞って中盤での数的不利を解消する必要がありました。(88:46)
清武が中途半端なポジションで何もしないために山口がプレスにいきますが、清武が守備に戻らないことをコロンビアの選手は感じて、清武と長友の間にある広大なスペースに動いてボールを受けます。長友は自分が対応すると最終ラインが数的同数になるので前へ出れませんでした。ここでは相手のパスコースを限定するためにも勇気をもって飛び出すべきだったと思います。
結局、プレスのかからない状態でパスが自由にまわされ、内田も最終ラインに戻れずハメス・ロドリゲスの対応を吉田一人が背負うことになり、綺麗にフェイントで崩されダメ押し点を入れられます。(88:58)

交替で入った一番元気な選手が守備をサボれば守れるものも守れません。はっきりいってこれも結果的には采配ミスといえます。

総括すると今回の代表には技術はないけど、強い守備ができる選手、チームの為に走れる選手、オシム風にいうと「水を汲む選手」が不足していました。選手交替をすればするほど守備がどんどん弱くなるのであれば、チームとしてはどうしようもありません。

ザックの問題でもありますが、4年間の長いスパンで選手のパフォが下がっているのに過剰評価したまま本戦に挑み、新しい選手の入れ替えを行わなかったのが問題だったと思います。
全く今まで招集しなかった大久保選手が一番よいパフォを見せていたことが何よりの皮肉です。
シーズンのほとんどをベンチに座っていた選手、怪我明けで全くパフォが上がらない選手、チームを降格に落とすようなレベルでしかプレーできなかった選手、世界のトップどころかJ1であっても全くいいパフォを見せていない選手、これらがスタメンを連ねていたこと。
これが大きな問題だったと思います。

コンフェデ杯で惨敗し4年間の積み重ねが雲散霧消したにもかかわらずチームをモデルチェンジせず、W杯前の練習試合でもパフォが全く上がらない選手に無駄に試合時間を与えてオプションを全く模索しなかった結果が正直に現われたという印象です。

逆にいうと長い期間チームを持っていると選手に情が湧いて、過剰評価をし公平な評価ができなくなるというひとつの例でもあり自分自身、こういう失敗をしてはいけないなという反面教師にもなりました。

戦術面を含めた課題についてはそもそも代表監督ができる限界というのを今回は感じていてそれは次回の記事にします。

それではまた。
前回に引き続いて日本対コロンビアの
分析をします。

前半早々に失点した後も日本は方針
を変えることなく、リスクの高い攻撃を
続けましたが、得点には至らず、
かといって失点も何とか回避したという
展開でした。

しかし前半終了間際に日本がいい形で
ボールを奪い、相手ゴール前で数的
同数のところを本田が鋭いクロスを
ニアサイドに蹴り、岡崎がうまく押し
込みました。
ファーサイドのクロスで空中戦をして
いたら確実に負けていたので、
これしかないという見事なパス
見事な得点だったと思います。

しかし後半からはハメス・ロドリゲスが
投入されてコロンビアの攻撃に流動性
が生まれます。

後半動画

日本の2失点目は本田が長谷部から
パスを受け、フリーの内田にパスする
と見せかけて内側にドリブルを仕掛け
失敗したところから始まります。
(上記動画の試合時間53:55より)
単純に内田に預けるべきという意見も
ありますが、どこかで仕掛けが必要
で失敗に終わったものの、本田の
仕掛け自体を否定する気にはなりま
せん。

問題はボールを失った後の日本の
守備です。ボールを奪われた後に
簡単に相手FWへパスが通って
しまっています。(54:03)

味方ボールであってもカウンターを
警戒して相手FWに対しては今野か
吉田のどちらかマークをついて残りが
スペースのカバーをするのが、
サッカーの基本中の基本の守備戦術
です。しかし二人はどちらも何をする
でもなくゾーンを守り、簡単に相手
FWにボールを持たせています。
これは集中力の欠如というしかありません。

相手FWは一人でカウンターは無理
と判断し、味方の上がりを待つ
ドリブルをしました。日本の両CBは
カウンターがないとみると背後のス
ペースをケアし長谷部が彼にプレスを
かけられる状態になりました。
(54:04)
ここで長谷部は数的優位にも
かかわらずボール奪取をチャレンジ
せず、両手を上げてむしろファール
回避をアピールして相手を自由にさ
せています。この位置でのファール
は直接ゴールの危険もないですし
ファール覚悟で相手にチャレンジ
すべきでした。

結局、相手FWにボールを簡単に
繋がせ、簡単に前を向かせるという
危険な行為を日本は3人も選手が
いながらやらせてしまっていました。

さらに守備の崩壊は続きます。
相手FWは一旦ボールを後ろの選手
に預け、右サイドのスペースに走り
ます。このときに長友はボールを
持っている選手にプレスにいって
いますし、今野は新たに上がって
きた選手に対応しなければならな
いので、このFWにパスを通らない
ようについていくのは長谷部の
仕事でした。しかし、ここでも
マークをせず、漫然とスペースに
居残り簡単にFWへのパスを許し
ます。(54:11)

このゲームに限らず、長谷部の
守備の問題点は漫然とスペース
にいれば守備になると勘違いして
いて、連動したプレス戦術を
遂行できないことです。

長友が後退しながらFWにプレスを
かけ直しましたが今度は今野が緩慢な
マークをして、せっかく相手が
ボールを受けた時にゴールを背
にしていたはずなのに寄せきれず
簡単に前を向かせます。
(54:16)

この味方の守備の不甲斐なさに
香川が不安になったのか今野の
ポジションにいってしまいます。
本来であれば香川は対応を
今野に任せて相手右SBへのパス
コースを潰すことにのみ集中
すべきでした。実際には香川の
プレスをかいくぐり相手右SBに
ドフリーでボールが渡って
しまいます。(54:23)

さらにここで問題なのは香川
が今野と二人でボールを取ろう
として取れず、相手右SBに
フリーでボールが渡った時に
100%のスプリントで相手
右SBにプレスをいかなかった
ことです。この場面で長谷部が
数的不利の状況にあり、緊急
事態で対応すべき状態だった
にもかかわらずです。
(54:26)
試合の54:27から状況の悪さに
気づいてスプリントしましたが
時既に遅しでした。

この局面で相手の守備にヒビが
入ったことをエースのハメス・
ロドリゲスは見逃さず絶妙の
タイミングでエントレリネアスに入り、
パスを受けます。(54:28)

ハメス・ロドリゲス対吉田という状態
でしたが、これに内田が不安を思っ
たか、マークを捨ててボールに
食いついてしまいます。(54:30)

内田の守備ミスをハメスは見逃さず
外したマークにパスを送り、ボール
を受けたコロンビアの選手がゴール
を決めました。

3,4失点目の分析は次回以降に
送るとしてこの失点で共通する問題
はマーキングの意識の低さとボール
奪取すべきところでチャレンジできて
いないところ。特に長谷部と今野に
ついてはこのシーンだけで2回ずつ
ボール奪取の機会を何もせず、
失うような戦術的なミスをしていて、
こんなにミスを重ねたら失点するのは
当然という印象です。

大久保を1トップにした代償が守備
の弱い香川による戦術ミスであり
香川と長谷部を最後まで信じ続け
たザックの甘さともいわざるをえ
ません。この失点の後も僕として
は長谷部と山口の交替かと思いま
したが、ザックは青山と交替させ
ていて長谷部に対する過剰評価を
このときも感じました。

さらに根本的な問題は守備戦術の
完成度が低いために、選手は自分の
役割を逸脱してしまいさらにその逸脱
した失敗を埋めるためにさらなる失敗
を繰り返すという悪循環です。
吉田とハメスの1対1に対して内田が
吉田に信頼を持てていればボールに
あそこまで食いつくことはなかっただ
ろうし、戦術がもっと体に染み付いて
いれば、味方への不安だけで
戦術がブレることもなかったのかなと。

この失点は今回の日本代表の問題点
を大いに明らかにしたと思います。
昨日、日本代表はコロンビアと対戦しましたが
結果的に惨敗し残念ながらグループリーグ
を突破できませんでした。

戦術的にどこに問題があったのか
書いていこうと思いますが
全部の分析を書くととんでも長くなるので
今回は日本の1失点部分のみ注目します。

前半の動画

前半は日本が積極的に縦パスを狙う展開で
高いリスクを背負うサッカーをしていました。
ボールを受ける選手が空きスペースに入る動きをした上で
出すのならわかりますが、動きもなければパスコースも
ないのに一か八かで出している場合も多く
無謀と思われるパスも多かったです。
オシム風にいうとまさに「カミカゼ作戦」でした。

一見、日本が押してるように見えましたが
相手DFラインの個々の選手の強さと組織化された守備で
フィニッシュまで持ち込むことはできてませんでした。
しかも前半の序盤早々に日本にミスが出て
失点してしまいます。
上記動画の試合時間の15:14に相手のボランチがパスミスをして
香川がボールを奪い本田にボールを預けた場面があります。

本田は左足で前へ向き直ったので、この瞬間に香川は
自分の担当エリアである左サイドに開くべきでした。
しかし、何を思ったのか香川はボールを持つ本田に
寄り、本田とスペースを食い合ってしまっています。(15:19)
困った本田はゲームを作り直すために長谷部に
一旦ボールを預け自分が左に開き相手のボランチを
自分に食いつかせることで縦パスが入るようにし、
実際岡崎もそれを感じてエントレリニアスに入る用意に
入っています。(15:22)

長谷部はボールを受けた時に香川が岡崎の
パスコースと被ってるのに気付き面食らってしまいます。
この場面でパスコースが被ったとしても長谷部が
コントロール後に右のアウトサイドでボールをおけば
パスコースが生まれ岡崎にボールが通っていたと思います。
実際は長谷部は無駄に4回もボールを触り大事な
瞬間を潰したうえで香川にボールを渡し、
香川からやっと岡崎にボールを預けたころには
相手CBにパスを完全に読まれてしまいました。

もともと岡崎は相手の裏への飛び出しが
得意な選手ではありますが
相手を背負ってクサビとなり味方に
ボールを渡すプレーは苦手です。
相手CBに完全に読まれた状態で
ポストプレーを強いられた岡崎は
ボールを失ってしまいます。

これが失点に向かう端緒でした。(15:27)

青山は相手のスピードが予想よりも早く
競り勝てないと思い、スライディングでボールを
弾きましたが、相手のウイングがこぼれ球を広い
日本がピンチになります。(15:29)
数的不利の状態でスライディングで
対応するのはあまりにもリスクが高かったと
思いますが本人としては競り合いではファールでも
止められないと思ったのでしょう。
でもリスクのあるスライではなく、
競り負けてもユニフォームを引っ張る覚悟で
普通に当たるべきだったと思います。

吉田麻也は相手がスピードに乗っているので
自分が抜かれず、相手を減速させることを
第一に守備をしています。
これは対応としてはよかったと思いますが
相棒の今野は相手の速さのために良いポジションが
とれず際どい縦パスに対して
スライディングタックルをしてしまいました。
結果ボールに一歩触ることができず
相手の足をかけてしまい
PKを与えてしまいます。
ペナルティエリア内とはいえパスはゴールから
離れていく角度できているので、
いきなりスライディングはせず
なんとか相手に前を向かせないように
勝負すべきでした。

碓かに今野や青山の走力のなさとか
対応の拙さはあるものの、
根本的な問題は日本の攻撃の連携の拙さから
急なカウンターを受けていることです。

相手守備の想定よりも先に
スペースを制して攻略していくのが
香川選手の強みですが、今大会を通じて
その良さはほとんど見れませんでした。
それどころか次回でも話しますが
守備面でも戦術的な失敗を見せてます。
普段できているプレーができないというのは
彼に普段以上の心理的圧力がかかった
結果かもしれません。
戦術部分に注力して心理的アプローチを
誤ったとザックが言ってましたしね。

とりあえず2失点目のシーンの分析については次回
また書きます。
練習を自分だけで担当できるといわれながら別な監督のヘルプに入ったりしてずっと練習を担当できずでしたが、とうとう今日U9、U10の練習を一人で担当しました。

ずっと温めていてた技術練習を行いましたが、練習開始後20分ほど経って、空一面に蜂の大群がなぜか僕の練習エリアであるペナルティエリア付近のみに大挙して押し寄せて僕らの練習のみ一時中断となりました。

僕は子供が刺される危険もあったので避難させましたが、蜂の大群は誰かを刺すというわけではなく、ただ僕らの練習エリアを跳梁し邪魔してるだけでした。
初めての練習をこうも邪魔されるとは我ながらお祓いに行ったほうが良いかもと思ったほどです。

結局、インサイドとアウトサイドのフック、キックフェイントのかけ方だけをドリルトレーニングして練習は中断し、蜂の大群が退散してからAチームと7人制ゲームとなりました。

僕としてはそこから一対一をしてフェイントの発展をした後にゲームに入る予定だったのですが…。

それでも何人かの子供たちは器用にアウトサイドを使うようになったし、別な子は覚えたばかりのキックフェイントを使って相手をかわしていてさすがゴールデンエイジと呼ばれる年代と僕としては感心しきりでした。

ゲームをしながら守備戦術の確認を中心に行いましたが、子供たちの戦術吸収の早さに助かりました。基本的な個人守備戦術は叩き込まれており、あとはそれを発展、習慣化させる感じですね。

次の水曜日が今シーズンの練習最終日となりますが、忘れてしまうような戦術ベースの話はやめて体に染み込ませるような技術練習をこのまま継続していきます。
ワールドカップの開幕戦でブラジル対クロアチアの試合が行われました。

正直、試合の流れよりも日本人が初めて副審も含め3人セットでW杯の開幕戦の笛を吹くということで、そちらの方に気が取られてしまいました。
一応、元3級審判員だったのでそれなりの感想を今回は書きます。

評価でいうとあのPKさえなければ本当に素晴らしいゲームコントロールだったなと思っています。
攻守の切り替わりのタイミングのスプリントが切れていて、さらにファールが起こりやすい状況を先読みしてポジショニングをしており、常にいい場所で判定ができていたと思います。

ただクロアチアのロブレンがブラジルのフレッジを倒したとされPKの判定を主審の西村さんは与えましたが、これはフレッジのシミュレーションを見逃した誤審だと思ってます。

参考映像

西村さんの角度からみるとCBの手がフレッジの肩をおさえて倒したように見えたのだと思います。
しかしスローで見てみると肩に手を触れているのは間違いないですが、その手はフレッジの動きを妨げてはおらず、フレッジが自分から倒れています。本当に手で抑えたならばもっと下半身と上半身で引っ張り合いが発生するはずですが、フレッジは足を振り上げてはいますが下半身の重心はただ下に崩れてるだけです。

まんまとフレッジに騙されたというべきでしょう。

ただスペイン、ポルトガル、南米などで手練のシミュレーションを現場で何度も見て経験しない限り、これを見極めるのは本当に困難だと思います。

なぜならJリーグでは子供が出来心で万引きをするような拙いシミュレーションはあっても、こういう職人芸的なシミュレーションはまず発生しません。そもそも審判を騙してやろうというのはスペインも含めラテン系の国では普通にありますが日本ではあまりありません。そういう意味で西村さんが一番、弱い部分を衝かれたという印象です。

もしかしたらフレッジは西村さんが手を使うファールをきっちり取るという傾向を試合中に学習して、ペナ内で反射的にあの行為をしたのかもと思うほどです。

ただそうはいっても日本でも審判をもっと騙すことが必要だとは全く思いませんが。

スペインのMARCAとかのコメント欄をみると西村さんへの批判がすごいですね。
(見るに耐えないコメントが多いのでいちいち紹介はしませんが…)

スペインではシミュレーションを見逃した西村さんを批判することはあっても、PKを盗んだフレッジに対する批判はほとんどありません。不公平な印象はありますが、生き残るために汚いことをするのは当然というのが彼らの常識なんですよね。

興味深いのは日本、韓国と見分けのつかない人たちが開催国に有利な判定をしたということで2002年の再現かよとコメントしてる人も多かったです。2002年はやはりヨーロッパの人にとってトラウマなんだなぁと。

いずれにせよ、どんなに批判を受けようとも開幕戦で審判を務め上げたということは誇りにすべきで、それについては素晴らしいと思うし、今後の活躍も期待しております。
もうすぐでW杯ですね。
日本での報道も増えててインターネット経由でいろいろ情報を得ております。

その中でよく今までの代表は守備的な戦い方である程度結果を出してきたが、今度の代表はそれを超えてリスクを負って攻めるのである程度の失点は覚悟するべきっていう話があります。

これには現場のサッカー人として違和感があるのそのことを今回は書きます。
そもそも今までW杯で結果を出してきた「今までの代表」は具体的には2002年と2010年を指すと思われますが、それぞれの代表を守備的と一概に評価できないと思ってます。

正しくは守備的な戦い方をしたというよりは相手が強くてそれを強いられたのではと。

2002年は今ほど海外組が少なく代表の練習に充てる時間が今以上にあり、強度の高いプレスを持続できる選手もいて、守備戦術の完成度は今以上だったと思ってます。
ただ相手の状況によって最良の攻撃を選択するという洞察力が足りず、相手の守備組織を崩せなかったのが敗因と思ってます。
攻撃が課題になったものの守備的な戦い方を志向していたとは思いません。

2010年の岡田ジャパンは土壇場になって守備ブロックを自陣深く保つ戦い方に変えて、ボールを奪った後は細かいボール回しを避けて1トップの本田に当てる戦術を多用しました。ある意味では消極的なサッカーといえるかもしれません。
ただこれもDFラインを高く保って連動したプレスで相手のボールを奪うという戦術がW杯出場チームに通用するレベルにまで完成できなかったのが原因で高度な戦術を選手が運用できないためによりイージーだけど比較的に早く仕上がる戦術に替えたという印象です。

さて今回の代表について。確かにラインを高く保って高い位置からプレスをかけており積極的な守備戦術を志向してます。ただ積極的な守備を志向するわりには、プレス強度が90分持続できず、DFラインのコントロールがまずかったり、マーキングの基本ができてなかったり不安を残してます。遠藤選手はコンフェデの惨敗の時に比べて守備の強度についてすこし改善されたように見えましたが、結局何人かの選手のコンディション不良もあいまって全体としては多くの改善を見ずにここまで迎えてしまいました。
一方、ボールを奪った後の連動性に関しては歴代最強だと思います。
ただ失点した分を取り返せば良いというのは精神論としてはアリですが、サッカーの強いチームはまずは最少失点であることが現実で、守備に不安を残す日本はなかなか厳しい戦いを強いられると予想してます。

コートジボワールとの初戦がGL突破のための決戦であり第一戦に注目します。




iPhoneからの投稿
前々回の記事を書いてて少し触れましたが、今回は指導方法について少し。

日本サッカーの指導教本にはフリーズコーチングとシンクロコーチングという分類があります。

フリーズコーチングとはゲームの進行を一旦止めて、修正部分を全体に説明しながら確認する方法であり、シンクロコーチングはゲームの進行を止めずに修正部分を指摘する方法ですね。

選手らに知識として浸透してないときは進行をフリーズさせて確認させ、頭でわかってるけど実践しきれていないときはいちいち説明する必要もないので進行を止めずに簡単に指摘するだけに留めるという感じでしょうか。

ちなみにこっちでは戦術の獲得についてmemoria tactica(戦術記憶)の段階とadaptación tactica(戦術の適応)の段階と分けて考えます。

戦術記憶とはその戦術を頭でわかってる状態。戦術の適応とは考えなくても必要な状況でその戦術が体現できてる状態のことです。

この記憶と適応の考え方は戦術のみならず技術にもいえることで興味深い考え方です。

戦術記憶のない状態でシンクロコーチングをしても、短い指摘で選手が理解しきれないことが多く、戦術記憶のある状態で進行をフリーズされて長々と説明されても時間の無駄ですし選手もウンザリするってことですね。

で、こっちで自然に身についてたんですがフリーズとシンクロの間の第3のコーチングがあることに最近気づきました。一応、セミ・フリーズコーチングと僕は名付けましたが。
つまりゲームは進行してるんですが修正をかけたい選手のみ止めて修正を図る方法です。例えばFWやCBに特化した動きは全体を止めて説明する価値はほとんどないものの、その選手に戦術記憶がなく、きちんと説明せねばならないときに僕はこれを使ってます。あるいは選手によっては全体の進行を止めて自分のことを指摘されると吊るし上げを食らってるみたいで反射的に反発する選手もいるのでそういうときにも使ったりします。逆に全体を止めてお前が悪いみたいな話をするのは選手の自尊心を強く傷つけるので本当に信頼関係ができてないとやりませんね。

こっちの監督学校ではmetodologia(指導方法論)という授業が一科目あるくらい教える内容と同じように教え方についても重要な扱いをしています。


iPhoneからの投稿
元ヴェルディ、元山城高校のエースである石塚さんがバルセロナにうどん屋を開店されたというので本日、行ってきました。↓

地図



奥で黒い服を着て忙しそうにお仕事をされてるのがご本人です。急にお客がバラバラと入ってきて一緒に写真撮影をしにくい感じになったので背中だけ撮影させてもらいました。ちなみに黒地の水玉模様の服に見えますが実は水玉ではなくドクロです。(笑)↓



バルセロナではUDONと称して訳のわからんソバを食わせるチェーン店が幅をきかせて、日本の本当のうどんを出す店は少ないのでかなり価値は高いと思いました。

石塚さんとは胸を張って親しい間柄と自慢できるほどではありませんが、お子さんらの学校の入学手続きのお手伝いをさせてもらったり、偶然、僕のチームのテスト生として現れたりと、近からずとも遠からずという関係です。

多くの方がそうであるように僕にとってもヒーローのような方なので入店して着席した後、店長自ら挨拶してもらったときは思わず立ち上がって直立不動の姿勢になってしまいましたね。(笑)

ただ石塚さん自体はとても腰の低い方で最初に話すと面食らいます。僕も含め多くの方がマスコミの影響で持ちがちな印象と本人が180度違うので。

まだ開店したばかりですし経験のない業界に突入したという意味で慣れない部分や課題は多いとは思いますがそこに踏み込む勇気は本当に素晴らしいなと。

是非、事業が成功しますようお祈りしています。
benjamin B(U9)で初練習。
当初、7人~10人ぐらいの人数ときいてたのに蓋を開けてみたら21人。
前回の揉め事の影響(前々回の記事参照)でU9とU10を統合して練習しなければいけなくなったためらしい。

倍以上の人数を捌くには用具が足りず、僕の用意した練習は延期となり簡単な鬼ごっこでアップをして、ロンドでボールの感覚を確かめた後、3グループに分けたゲームでその日は終わりました。

正直、Aチームの監督がいて僕の目の届かない選手をケアしてくれてたので助かりましたが、正直自分一人では終わってたなと。

というのも
まず挨拶した後すぐに子供たちからの質問責めでたいへんなことになりました。

子供A「へぇー、日本てドラえもんの国でしょ。」

ワシ「ああ、そうだけど」

子供B「すげぇ、ドラえもんって日本でつくられたの?」

ワシ「ああ、そうだね」

子供C「すごい!ドラえもんつくったって!」

ワシ「いや、オレがつくったとは一言もいってないけど・・」

子供D「あ、ごめん。ドラえもんの漫画を描いたってことね」

ワシ「いや、藤子不二雄じゃねぇーよ…」

子供E「あ、そうか、じゃあ実際にドラえもんを製造してる方ね」

「いや、それもちげぇ~わ!」

子供F「で、ドラえもんはいつ完成するの?」

ってな具合に伝言ゲームと暴投行き交う会話のキャッチボールでほとんどカオスでした。

フリーズコーチングをするとこちらの子供はゲームが止まることに嫌気がさして聞く姿勢を保てなかったり晒し者にされてるような感覚になって機嫌を損ねることが多いので、今日はずっとシンクロ・コーチングか、対象の子だけを止めて説明するセミ・フリーズ・コーチングを行いました。でも思っていたよりも子供たちは素直で助かりました。
ただゲームで僕の判定が間違ってたりすると猛然と抗議してくる場面があって、勝負事に関して譲らないところはさすがにスペイン人だなと。怒った選手には自分もせいいっぱいゲームをみてるけど、もし間違ってたら申し訳ない。でもそもそも自分は良い審判ではないし仮に良い審判だとしても、必ずミスはある。だから、そういうミスがあったとしても判定は覆らないしあまり怒らずに許して欲しいと伝えました。

今日の収穫としては試合の中で各々の選手のできることできないこと、好きなプレー嫌いなプレーがわかったことですね。

練習後のMTGで複数の子供から

「次の練習も来てくれるよね?」とか
「すぐに日本に帰らないよね?」

ともいわれ、なんとか1日で子供たちとの信頼関係も築けたかなと。
あと次の練習はさすがに年代ごとに分けてもらって、来期に向けた練習を開始したいなと。