■ご質問内容

胎嚢はいつ確認できますか? また、児の心拍はいつから確認できますか?

 

■当院からの回答

★排卵日が確認できているタイミング法、人工授精、体外受精による妊娠成立では、妊娠週数が正確です。

 

★妊娠週数は排卵日から計算します。排卵から2週間目を妊娠4週0日と表現します。

  胚盤胞の融解移植では、移植から10日目が妊娠4週1日になります。                  

 

排卵日が不明な場合は、超音波検査所見で妊娠週数を修正する必要があります。

 

妊娠5週で、hCG(絨毛性・性腺刺激ホルモン)の血中濃度が1000iu/mL以上に達し、胎嚢(羊水が溜まった袋)が確認できるようになります。

 

妊娠5週の間に胎嚢が見えてこない場合は、流産(胎嚢が見えずじまいの流産は、着床はしていても化学的妊娠流産と呼び妊娠としては含めません) や異所性妊娠(子宮外妊娠)を疑うようになります。

         

超音波検査での妊娠経過の目安は以下になります。              

  • 妊娠5週中に、胎嚢 が子宮内に確認できる
  • 妊娠5週後半には、胎嚢の中に卵黄嚢が確認でる                         
  • 妊娠6週中に、胎嚢中に胎芽(妊娠8週以降胎児)が確認できる
  • 妊娠6週中に、心拍が確認できる

 

胎芽サイズ・心拍の目安は下記になります。                            

日本産科婦人科学会

  • 妊娠6週:児の頭殿長 数mm、児心拍数100-120回/分                                 
  • 妊娠7週:児の頭殿長7-10mm、児心拍数130-140回/分                                
  • 妊娠8週:児の頭殿長15mm前後、児心拍数150-180回/分 

 

胎嚢 は羊水が溜まった袋で、完全な円形ではなく楕円形などに変化します。

また、胎芽にフォーカスした断面では、胎嚢の最大計測値となっていないことがありますが、

胎嚢の大きさが数週間にわたり変わらないようであれば胎児発育が問題になる可能性があります。

 

流産は、全妊娠の15%以上で発生し、女性加齢でその頻度が高まります。

 

2017年 日本産科婦人科学会

年齢別の流産率

 

30歳:16.7%

35歳:20.3%

38歳:25.7%

40歳:33.6%

41歳:39.2%

42歳:43.2%

43歳:49.3%

44歳:57.5%

 

流産原因としては、児染色体異常によるものが一番多く(1回流産の70%前後)

この児の染色体異常はご夫婦に異常がなくても起こり、その頻度は女性加齢で高まります。

 

流産回数が多くなるに従って、児染色体異常以外の母体要因の割合が増えてくると考えられますが、この場合も50%以上は児染色体異常によるものです。

 

 流産時に絨毛(受精卵から造られる)染色体検査をすることで、流産原因が児の染色体異常によるものであったかどうか確認することができます。この検査されていない場合は、染色体異常によるものか、それ以外の原因によるものであったのかは確かめることが出来ません。なので流産原因を確認したい場合には、流産手術時の絨毛染色体検査をおすすめします。