■ご質問内容
採卵前周期に、なぜホルモン剤を使用するのですか?
■当院の回答
◆月経3日目からマーベロン(卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤)を内服
- 月経の見通しが立たない場合や排卵後に黄体嚢胞の遺残が想定される場合に使用します。
- 月経開始の目処が立てやすくなります。
- 採卵前周期の排卵を抑制するため黄体嚢胞が残る心配がありません。
◆基礎体温高温中期からプレマリン(卵胞ホルモン剤)を内服
- 定期的に排卵があると判断される方。前周期にタイミング法や人工授精を行うことも可能です(基礎体温高温が14日以上続いた場合は受診して着床診断して陽性であればプレマリンを中止し、体外受精採卵予定も中止します)。
- 2週間以上にわたり下垂体からの性腺刺激ホルモンを抑制する必要がない方、また卵巣機能低下のためにLHホルモンの抑制をしないほうが良いと考えられる方に、おすすめしています。
- 月経周期が不順な方にはおすすめできません。排卵があるかどうか分からず、月経開始の目処が立ちません。
- 排卵後に黄体嚢胞ができて月経時に残っているときは、採卵予定の延期をおすすめするようになります。
◆サプリメントDHEA の使用
卵巣刺激に対する反応が不良で他に方法がない場合、サプリメントDHEAを採卵予定の2〜3周期前から内服することをお勧めしています。 ただし、どのような方にも治療効果があると言えるものではありません。
4月からの体外受精保険適用が検討されていますが、日本生殖医学会の生殖医療ガイドライン(2021年11月発刊)の「(A)強く勧められる」と「(B)勧められる」が保険適用のベースになると予測されています。
生殖医療ガイドラインCQ.7:に下記の記載があります。
体外受精前周期検査・女性ホルモンなどの前処置は患者の利益と不利益を考慮して使用する(推奨レベル: A)
(A)強くすすめられる
(B)勧められる
(C)考慮される
当院が行っている前周期対応も保険適用になることを期待しています。
「保険適用」にも、先進医療としての「保険外併用療養(自費)」にも認められなかった治療はできなくなる可能性があります。
以下の記事もご確認ください。
不妊治療の保険適用について 懸念されること (mhlw.go.jp)
先進医療における不妊治療の対応について (mhlw.go.jp)
PowerPoint プレゼンテーション (mhlw.go.jp)
不妊治療の保険適用 女性43歳未満へ「病気と認知」(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース体外受精の保険適用はどうなる?