下記の一般的な説明もありますが、現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策もあり、移植せず全凍結をおすすめしています。

 

■質問内容

はじめて顕微授精をしました。 

移植は分割胚でするのでしょうか?

もしくは胚盤胞での移植でしょうか? 

たは凍結して別周期に融解移植が良いのでしょうか?

 

■当院からの回答

採卵3日目で、6分割以上、グレードaまたはbの場合(6b以上)の場合に移植可能胚と判断します。

 

初回採卵の場合、採卵3日目に移植可能胚がある場合、下記3つの選択肢があります。

① D3で胚移植を行う

② D5まで培養継続して、胚盤胞で移植を行う

③ D5-6まで培養継続して、全胚凍結を行う

 

初回採卵では上記①~③を選択可能ですが、

下記の1)6)では全胚凍結をおすすめします。

また、胚盤胞培養を希望される場合も、全胚凍結をおすすめします。 

(胚盤胞移植の成績は、凍結融解胚移植>新鮮胚移植)

 

全胚(受精卵)凍結の基準:

現在、当院の全胚凍結基準は以下ですが、個々の患者さまの状況などにより、医師のお勧めは修正が加わる場合があります。

  1. hCG投与日の卵胞ホルモン値が高値(>2400pg/ml

  2. hCG投与日の黄体ホルモン値が上昇(>1.0ng/ml

  3. 採卵数が15-20個以上

  4. 反復着床不全(新鮮胚盤胞移植でも妊娠不成立)

  5. 採卵後6日目になってから移植可能な胚盤胞になった場合

  6. 着床の妨げになると思われる筋腫・子宮内膜ポリープ・子宮腔内液体貯留・卵管水腫などがある場合

Hum Reprod Update 2018; 24: 35

19842016に発表され、凍結胚移植と新鮮胚移植の妊娠予後を比較した26論文メタアナリシスにより分析しました。新鮮胚移植と比較し凍結胚移植で、早産0.90倍、低体重児0.72倍、胎児発育遅延0.61と有意に低下していました。胎児奇形や胎児(周産期)死亡率には有意差を認めませんでした。

 Reprod Med Biol 2017; 16: 228

日本産科婦人科学会に登録された満期産の単胎妊娠124,946件(凍結胚80,660件、新鮮胚44,286件)のデータを後方視的に分析した結果、新鮮胚移植と比べ凍結胚移植で有意に出生児体重が重く(90gダウン症が有意に少なくなっていました。

 

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